いわゆる”大阪都構想”の住民投票が11月1日に決まった後、初めての討論会が「報道ランナー」で開催。
各会派のキーパーソンが都構想の是非について議論しました。
≪世論調査について≫
関西テレビなどが行った世論調査では、大阪都構想について賛成が49.2%、反対が39.6%と、賛成が10ポイント近く反対を上回りました。
前回の住民投票では、反対が多かった60代で、賛成が反対を上回るなど、特に高齢層で都構想の支持が増えています。
このことに対して、維新の松井一郎代表は「5年前はデマで反対が多かったが、都構想は 役所の制度を変える話で、この制度で水道料金の値上げや、公営住宅値上げが生じるわけではないということが少し理解されてきたのではないか」と話しました。
これに対し、都構想に反対の立場を示す共産党の山中智子団長は、「コロナで大阪府と大阪市が協力して上手くいっているという、かなり作り上げられたものではあるが、これが浸透したことで、コロナを怖がっている高齢者が支持するという傾向 になったのではないか」と話しました。
また、今回賛成に転じた公明党の支持者の半数以上が反対していることに対し、公明党の土岐恭生幹事長は今回の制度案では住民サービスが維持されるため、5年前のものとは違うと強調し、「公明党が安心できる都構想にしたと、一人一人にお願いしていかなければならない」と話しました。
これに対して都構想に反対の立場を示す自民党の北野妙子幹事長は「住民サービスが維持されるだけなら、今の制度を変える必要はなく、向上が必要である。なぜサービスが向上しないのに多額のお金をかけて制度を変えるのか」と反論しました。
さらに今回、公明党が賛成に転じたことに対しては「同じ都構想反対。あるいは同じ候補を応援して一緒に戦ったのにもかかわらず手のひらを返されたのは非常に残念」と話しました。
≪コロナ対応に見る都構想≫
新型コロナの影響で落ち込んだ大阪の観光を支援する「大阪の人・関西の人いらっしゃい!キャンペーン」は、大阪の宿泊施設を利用した人に2500円分のポイント還元をするというものですが、その財源は大阪府と市で出し合っています。
府全体の成長が市の成長にもつながるという考えもある一方、大阪市以外の自治体の 宿泊施設に泊まった場合、大阪市のお金が他の自治体に使われていることになり、市民にメリットはないのではとの声も…
このことについて、公明党大阪府本部の土岐幹事長は、「広域のところにもお金を落として経済をまわしていくことはメリットが大きい」と話しました。
大阪維新の会の松井代表も、大阪市内にホテルが集中していて、投資が集中していることを強調した上で、「市域中心部でお金使ってもらったら、府域にもお金は回る」とのべた。
これに対し共産党大阪市議団の山中団長は、大阪市と同じく政令指定都市の堺市は費用を 負担していないことを挙げ、大阪市だけが二重負担になっているのはいびつだと反論しました。
また、自民党大阪市議団の北野幹事長は、「今こうしたキャンペーンができているのは、大阪府と政令市大阪市が健全に存在しているからで、特別区になってしまったら硬直的な財政になってしまい余裕がない」と述べた。
≪新型コロナの影響で都構想のおカネは大丈夫?≫
特別区の財政が成り立つかを判断するための財政シミュレーション。
大阪メトロの配当と税収が今よりも大幅に増える前提で黒字が続くと試算されています。
しかし新型コロナの影響で、大阪メトロは、今年4月から6月は62億円の赤字、本当にシミュレーションのような黒字が見込めるのかとの懸念もあります。
このシミュレーションについて、自民党大阪市議団の北野幹事長は、「今の(コロナによる)マイナスのことは 繁栄されていないどころか、順調に推移していることが前提になっているので、シュミレーションは間違っている」と批判しました。
一方で、公明党大阪府本部の土岐幹事長は「これから先を考えていったとき、万博もあるし必ず(メトロの収益は)上がってくる」と反論しました。
また大阪維新の会の松井代表も「メトロのポテンシャルから言うと、コロナが収束すれば十分2025年からシュミレーションは成り立つ」と主張しました。
カンテレ「報道ランナー」2020年9月8日放送『大阪都構想討論会SP』より