箕面自由学園高校チアリーダー部、「ゴールデン・ベアーズ」。
今年創部30年を迎え、華やかな演技で、何度も日本一に輝いてきた名門チームです。
新型コロナウイルスの影響で、約3ヵ月間、部活動ができない日々を過ごしましたが、先月、チームでの練習を再開しました。
部員73人を引っ張るのは、キャプテンの原礼華さん。
【原礼華キャプテン】
「悔しかったです。今まですっと練習もできていてみんなとも一緒に集まっていたのが、一瞬で会えなくて練習もできなくて…」
毎年夏に行われる全国大会は、11月に延期。
活動再開後、最初の舞台はベアーズに入部を考えている中学3年生の体験会です。
そこで、久しぶりにチアリーディングを披露することになっています。
【コーチ】
「みんなも悔しい思いしているように、中学3年生だって同じ3年生同士だから分かることっていっぱいあると思う。みんなはココに来て、日本一を目指せるんやから、だから一緒に頑張ろうって」
礼華さんも中学3年生の時に体験会に参加して、ベアーズへの入部を決意しました。
活動を再開した今も日本チアリーディング協会のガイドラインにより密を避けるため、「スタンツなど、人を持ち上げたりする技」が禁止に…チアの”花形”ともいえる技ができなくなっているのです。
【原礼華キャプテン】
「チアと言ったらスタンツなんで、それはめっちゃ悔しい。(スタンツ見て)なんか「は」って、心にくるものがあって、チアを自分も始めようと思ったんで」
【原礼華キャプテン】
「今回はこの自粛期間中で、中学3年生もそうだし、全国のチアをやってる子達が、チアの楽しさとかあんまり分かんなくなってやめちゃう子が多かったり、スタンツは出来ないけどチアは楽しいよという感じを演技の中で伝えて欲しいと思います」
コロナで変わってしまった演技のカタチ。
チームでの大技ができない分、ダンスやバク転などのタンブリングを磨き、日本一のチアリーダー部をアピールします。
――Q:創部から30年、こういうことあった?
【チアリーダー部野田一江監督】
「ないですないです。阪神淡路大震災の時も、ちょっと部活動できない時期はありましたけれども、でも終わりが見えてたというか、『この時期になったら動けるよな』っていうのが大体分かってたので、もう戸惑いしかない」
部員全員が書いている「チアノート」。
礼華さんは毎日、キャプテンとして感じた思いをつづっています。
(原礼華キャプテン チアノートより)
「6月15日、73人で初めて集まれた。たくさんルールも新しくあって大変なこともあるけど、練習できるってことに感謝」
(原礼華キャプテン チアノートより)
「7月4日、きょうは最初に体験会の練習をした。自分たちのコロナの中での気持ちを伝えるのは緊張するけどチアをずっと続けて、ベアーズに入りたいって思ってもらえるように伝える」
久しぶりの人前での演技。
今できる範囲で”最高のチアリーディング”を目指します。
体験会を2日後に控えたこの日…
【副顧問の教師】
「ちょっときょう、部活動ができなくなってしまいまして…。発熱者が出てしまったんで、早退させたんです」
部員の生徒が発熱したのです。
【副顧問の教師】
「こういった状況の中で今日、普通に活動をするわけにはいかない。19日の体験会に関しては実施できない。皆にお願いしたいことは発熱したことが別に悪いことじゃない。仲間を守るためにも、クラブを守るためにも、正直に『発熱した』、『体調が悪い』というのは今後も言ってほしい。活動ができひんくなるかもしれへんけど、でもそれは、クラブってすごく大事やけど、一番大事なのは命」
学校は体験会の中止を決断。
発熱した生徒は翌日にPCR検査を受け、結果は「陰性」でした。
(原礼華キャプテン チアノートより)
「7月17日。自分たちの学年は、頑張っても頑張っても途中でなくなってしまうのかなって思った。今回みたいにどんどんなくなってしまうのかなって思ったら、すごく悔しいし悲しすぎる。心に穴が開いた感じ」
その数日後…体育館に集まった部員たち。それぞれの思いを吐き出しました。
【3年生部員】
「やっと自分たちが引っ張ってきて自分たちの代やって思っていたのに…全然できひんくて、それがめっちゃ悔しくて…」
【3年生部員】
「親の前は泣けへんくて…お風呂でめっちゃ泣いて…」
【3年生部員】
「1年前とか考えたら、大会前でめっちゃしんどい練習やったけどあれがめっちゃ恋しいなって…しんどかったけどやりたいなって思う。」
【原礼華キャプテン】
「体験会がなくなっても次の大会もまだあるし、絶対強い気持ちでやるって決めた。」
体験会が中止になった翌週。
別の形の本番に向けて、準備を進めていました。
【原礼華キャプテン】
「緊張します」
オンラインで行われた体験会。
中止になった体験会に来るはずだった中学3年生も参加しました。
画面越しに、ダンスの振付やトレーニングの方法などを指導。
精一杯思いを伝えました。
【参加した中学3年生は…】
「めっちゃ難しかったんですけど、皆さんが応援してくれたから、その難しいのが楽しくなりました」
「みんなが盛り上げてくれてとっても楽しかったです。(ベアーズに)入りたいで」
そして、練習してきた演技を動画で届けました。
【原礼華キャプテン】
「自分たちの目標は日本一って変わらないので、今できることを全力でやるというポジティブに練習するように心がけています。」
苦難にぶち当たりながらも前に進む日々。
彼女たちは次にどんな演技を見せてくれるのでしょうか。