31日、最後の営業日を迎えたレジャー施設「みさき公園」。
63年間多くの人を楽しませてきました。
1957年、動物園・水族館・遊園地が揃った複合レジャー施設として、南海電鉄が開業しました。展示や設備は、当時の“最先端”を行くものばかり!
動物園で、狭い檻の中ではなく、放し飼いにされた動物たちを間近に見ることができるのは貴重なことでした。
水族館には、 “日本初”となる300トンの巨大な水槽が設置され、子共たちが上からも、横からも、魚やカメが泳ぐ姿を見ることができました。
遊園地では“日本一長い”ジェットコースターが大人気で(開園当時)ピークの年間来場者数は、72万人(1989年度)を記録しました。
しかし、年を追うごとに来場者数が減少し、ここ数年はピークの半分以下に…赤字の増加にも歯止めが掛からず、2月、経営母体の南海電鉄は閉園を発表しました。
そんな中起こったのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。
みさき公園は、2月末から臨時休園。
予定されていたお別れイベントは、ほとんどが中止となりました。
【みさき公園 真貝 征志郎園長】
「我々が頑張っても出来るものでもないので、その辺は歯がゆいなと思いながらも、なんとか開園できないかなという気持ちでおりました。屋外でかなり限定的なことなんですが、来ていただいた方には雰囲気だけでも楽しんで頂けるかなと思っております」
約3週間の休園を経て、3月24日、再開に踏み切りました。
しかし…最後の週末は、異例の「外出自粛要請」によって、再び臨時休園を余儀なくされたのです。
【スタッフ】
「めっちゃ最近食いつき良い気がする」
「入口で待ってますもんね」
多くの人で賑わうはずだった、日曜日。
それでも、スタッフはいつも通り動物たちの体調を管理します。
ショーのトレーニングに励む動物の姿もありました。
動物たちは、閉園後は、それぞれ他の動物園に引き取られます。
そして31日。
来場者一人一人に検温と消毒を行い、観覧車など密閉空間のアトラクションやイベントを休止にして、厳戒態勢の中、最後のオープンを迎えました。
【訪れた人は…】
「もう1回乗りたい」
――Q:そのTシャツは?
(子供)「12月ぐらいに買ってもらいました」
(母親)「ここが残ればいいなと希望を込めて、ちょっとでもお金を使ってたら、残ってくれたらいいなと思ってたんですけどね」
そして、午後5時。歴史に幕が下りました。
【みさき公園 真貝 征志郎園長】
「63年間本当にありがとうございました。最後このような形になり、私共も非常に残念ではございますが現状考えますとみなさまに速やかにお帰りいただきたいと思います」
試練を乗り越え訪れた最後の日、公園は歓声と笑顔に包まれました。