【シタンダリンタ監督】
「いきます!よ~いハイ」「OKですOKです」
スマートフォン片手に指示を出すこちらの若者。
彼こそが今注目を集めている16歳の映画監督、四反田凛太(シタンダリンタ)さんです。
撮影に使っている機材はカメラではありません。
【シタンダ監督】
「i Phone です。i Phone にマイクをつけて。だいたいここで色を決めてやる感じ。
そういうアプリがあって i Phoneさまさまです」
この日撮影していたのは、この春に公開予定の新作映画。
中学時代の同級生がアシスタントを務め、全編スマートフォンで撮影しています。
小学3年生の頃、「小説を映像化してみたい」と、
家にあった古いビデオカメラで撮影を始めたというシタンダ監督。
中学3年生の時には、脚本、演出、編集をひとりで手がけた青春SF映画「或いは。」を
お年玉の7000円で製作。出演したのは小中学校の同級生たちでした。
「出演者や時間をさいてやってくれているから出展しないともったいない」と、
国内外からおよそ1000の作品が集まる「門真国際映画祭2019」に「或いは。」を出品したところ、
「スマホで撮影したとは思えない」などと評価され、最優秀編集賞と優秀作品賞を受賞したのです。
【シタンダ監督】
「ポンと出したら こんな事になって。見てもらって「良かった」と言ってもらえたし、
もっといっぱいの人に見てもらいたいとなって、で、今という感じですね」
シタンダ監督は現在、通信制の高校に通いながら映画製作に取り組んでいます。
撮影した画はスマホの編集アプリで繋いで行きます。
【シタンダ監督】
「あんまりCGとか好きじゃなくて。見るのはいいのですけど。
撮った画がひたすら並んでいて、そのリズムとかそれこそ画の強さとか1枚画の良さとか
そういうので2時間の映画を作りたいんで」
シナリオ作りから撮影、編集にいたるまで、すべて独学で身につけたというシタンダ監督。
作品作りに欠かせないのが映画鑑賞です。
【シタンダ監督】
「毎日 観ています 映画を。映画のDVDが一番多いんじゃないかな。お金使うのは」
【シタンダ監督】
「作品自体を観ると(特典映像の)メイキングを観たくなる。
どうやって撮ってるんだろ?と。気になるシーンが1個でもあれば、メイキングが観たくなりますね」
影響を一番強く受けているのが・・・
【シタンダ監督】
「タランティーノはヤバいでしょ!これくらいやらないと映画じゃないなって、
毎回作品を観るたびに思わされる。説明できないくらい好きですね」
大阪生まれのシタンダ監督。音響関係の仕事をしている父と、ボーカリストとして活躍する母のもとで育ちました。
【母・リカさん】
「ずっと音楽のあるところにいてたので、そういうのが影響しているかもしれない。
音楽フェスとかに一緒に行っても知らない間にいなくなったと思ったら
全然知らない大学生の中に入って一緒に遊んでいたりとか、その辺はすごいたくましいなと思っていました。
早いうちから映画でやっていくと決めたからできたらそのまま自分のやりたい事で突き進んで欲しい」
現在取り組んでいる作品は初めてキャスト全員に大人を起用した映画です。
去年、フジテレビヤングシナリオ大賞で「佳作」に選ばれた時の賞金100万円の一部を製作費に充てています。
新作「そのママ弾いて」は、1本のアコースティックギターを巡るドタバタ劇。
主人公の売れないミュージシャンが使っていたギターが、
著名なギタリストが亡くなるまで使ったものと同じ種類とわかり…
というところからストーリーは展開していきます。
主役を演じるのは、大阪・ミナミを中心に活動するミュージシャンの桜川春子さん(50)。
演技の経験はありませんでしたが、友人の息子であり、
幼い頃からよく知るシタンダ監督からの「オファー」を快諾。
しかし、注文の細かさには驚かされたといいます。
【桜川春子さん(50)】
「まず衣装は黒。化粧も薄めで 派手なメイクはしないでくださいと。髪も伸ばしてください。
しかも標準語でしゃべってください。挙げ句の果てに言いにくいんやけど、
もうちょっと痩せてと言われて、私8キロ痩せたんですよ」
四反田監督との撮影はプロの役者にとっても刺激的なようです。
【女優・篠崎雅美さん(35)】
「いつも撮影していてもワクワクしてらっしゃる。いろんなものを吸収し続けてらっしゃるので、
才能というか1つの素晴らしい能力だなと思ったので、そばでそれに触れられる、
感じられるのがいい経験だなって思いました」
大阪を拠点に活躍するバンド「赤犬」のクスミヒデオさん(47)は、主人公の友人役を引き受けました。
【クスミヒデオさん(47)】
「彼みたいに僕も16歳の頃、本気でいろんなことに挑戦していたら、
もっと今の自分が違う自分だったじゃないかなとか、そういうこと想像したりするんです。
それを彼に照らし合わせているというか、多分、彼に今回協力しているみんなってそういうところがあると思う」
親子ほど年の離れた大人たちをも、熱い気持ちにさせるのが四反田監督。
出演料はありませんが、キャスト全員が監督の思いにこたえようと協力しています。
今月10日。シタンダ監督の新作映画は無事クランクアップ。大方の編集を終えた10日後、最後の仕事へ・・・。
【シタンダ監督】
「自分がいいなと思ったアーティストさんにお願いして、映画用に曲を作ってくださいって」
たずねたのは母との縁でつながったミュージシャン。
それぞれに得意分野を持つ三人の作曲家に映画の音楽を依頼することにしたのです。
映像を全て見てもらい、曲のイメージや効果音のタイミングを共有します。
【シタンダ監督】
「ここです!振り向いた瞬間に(効果音)バーンと行きたいんですよ」
【音楽家女性】
「すごい超大作ですね」
映画はこの春、関西の映画館などで上映される予定。シタンダ監督にとって、新たな一歩となります。
【シタンダ監督】
「タランティーノになりたいです。「タランティーノ」っていう映画のジャンルになってると
僕は思っていてそういう映画を撮る監督に僕はなりたいです。
「シタンダリンタってこうよね」ってわかる映画を撮り続ける人生にしたいですね」