『さて、住民票を取りに市役所まで…あっ!6時20分、もう閉まってる』
…という、役所の今の「常識」が大阪府寝屋川市から変わるかもしれません。
お役所仕事、卒業します!
「お役所仕事卒業します」をスローガンに掲げるのは大阪府寝屋川市。
4月から、全国で初めて、平日午前8時から午後8時まで窓口を延長!さらに土曜も開けようというのです。
【男性市民】
「便利にはなるかなと思う。仕事休むとかしなあかんかったから」
【女性市民】
「夫とか仕事とかしてたら代わりに行ってくれ的な。委任状とかめんどくさいですよね。(自分で)行ってきてって言えますよね(笑)」
職員の「働き方」は…大丈夫?
市民にとっては嬉しい話ですが、職員のみなさんの「働き方」は大丈夫なのでしょうか?役所の中を覗いてみました。
午後5時。黙々と仕事に打ち込む職員のなか…ひとりの女性職員が定時より30分早いのに片づけ始めちゃいました!
【女性職員】
「お先にしつれいしまーす、お疲れさまでした」
――Q:もう帰られるんですか!?
【女性職員】
「はい、もう帰ります。子どもの学童のお迎えに行ってきます」
実はこれ「早退」じゃないんです。去年10月に導入された「フレックス制度」なんです!
これまでは職員の勤務時間は午前9時~午後5時半まででしたが、上司の許可が出れば午前8時から午後8時までの間で希望する時間に働くことができます。
そして、必ず働かなければならない時間帯、いわゆる「コアタイム」もありません。コアタイムのない公務員のフレックスは全国初だそうですよ!
【女性職員】
「父親の病院の送り迎えとか、母の介護というところで、朝フレックスでお昼ごろこさっせていただいたり、ほんまに助かってます」
【男性職員】
「結構朝が強いほうなので、早く来てその分を早く帰って、家のことを手伝うというメリハリが出来ているので結構喜んでます」
現在は8割以上の職員が利用していて、フレックス導入後の秋採用では応募人数が約10倍に増えました。
「Mr.スピード感」の異名持つ市長
これらの改革の立役者というのが…
【男性職員】
「これまでよりかスピード感がはやくて」
【男性職員】
「すごいスピード感がある」
【女性職員】
「もうスピード感がすごくて、」
”Mr.スピード感”こと広瀬慶輔市長です。
寝屋川市生まれ、寝屋川市育ち。就任から9カ月の新人市長です。
【寝屋川市 広瀬慶輔市長】
「市民の方が求めてるのは、スピード感は当然でしょうし、今まで行政でこれやからできませんとか、これやから難しいですという当たり前に言ってきたものは、実はそうじゃないというのはありますよね。働き方というかライフスタイルが多様化してるので、それにもっと合わせて仕事をやっていかないとならない時代じゃないかと思います」
「市民サービス向上」と「職員の働き方改革」の両立を掲げる寝屋川市。
そんな広瀬市長には市民から直接手紙で要望が届くことも…
【寝屋川市 広瀬慶輔市長】
「子供からのやつは結構ありますよ。これは公園の砂場に犬のうんちというか、分があってそれで遊べなのでこういう状態になってるから枠で囲って入れないようにして下さいと」
――Q:実際にこれはされたんですか?
「してあります。小さな市民に敬意を表して特別に」
広瀬市長が今力をいれているのが、窓口改革。変わるのは時間だけじゃありません。
サービスの質も向上させるため、専門の職員を採用するというのです
職員の採用も「ロールプレイング」で
週末、市役所で開かれた公開オーディション。
参加したのは、デパートの受付やキャビンアテンダントなどの経験がある、接客のプロたち。
”役所の日常”が詰まった、模擬窓口でのロールプレイイングで採用を目指します。
ひとつひとつの”所作”に、役所のお偉いさんたちの目が光ります。30倍以上の倍率を勝ち抜いた12人は、4月から実際に窓口で働くことです。
【元・旅行代理店勤務の参加者(20代)】
「一番は市民の方の気持ちに寄り添ったものをできればと考えてたんですけども、緊張して焦ってしまってというところが反省点ではあったんですが」
【元・百貨店勤務の参加者(20代)】
「オーディションの面接は緊張しましたけども、結構楽しくできました。笑顔と元気はあるので、周りのいらっしゃったご来場された方にも元気をあたえられたらいいと思います」
【寝屋川市 広瀬慶輔市長】
「ひとつの自治体が成功事例を作れば横の自治体のレベルがぐっとあがるのは十分にありうると思ってます。寝屋川市は中核市に去年なった、中核市と言っても地方の中核市は県庁所在地であったり伝統のある町、そうではなくて寝屋川は政策で中核的な役割を果たしていくことはできるだろうと思ってます」
行政の常識に捕らわれない寝屋川流。全国のスタンダードになる日は来るのでしょうか?