自然が広がる、のどかな風景。のんびり田舎暮らしもいいですね。
【参議院本会議・安倍首相 施政方針演説 1月20日】
「地方にこそ、チャンスがある。そう考え、地方に飛び込む若者を、力強く応援してまいります。
国がいま、強く推し進めているのが「田舎暮らし」です。
【移住希望の女性】
「幼稚園の間に移住出来たら」「今しかないなって…」
中でも、兵庫県北部の但馬地方が今アツい!!
【兵庫・朝来市への移住者】
「一粒で二度おいしいような人生になってる」
一体、但馬地方にどんな魅力があるのか取材しました。
【薄田ジュリアキャスター】
「兵庫県北部の但馬地方にやってきました。実は今、ここが近畿地方で『もっとも住みたい田舎』として、注目が集まっている場所なんです。
3つの市2つの町からなる、兵庫・但馬地方に今、熱い視線が…
(豊岡市、朝来市、養父市、香美町、新温泉町)
今年1月出版された雑誌で発表された「住みたい田舎ベストランキング2月号」を見てみると…。
全国629の市町村に対し、暮らしやすいと思う田舎をアンケート調査したところ、近畿エリアでは、トップ3を但馬地方が独占したんです。
一体この但馬地方にはどんな魅力があるのでしょうか。
【但馬地方が今アツい!住宅・就労支援も充実】
大阪市内で開催された田舎暮らしの相談会。
全国32の自治体がブースを出展していて、移住希望者が相談に訪れていました。(今年173人 去年143人)
【大阪市在住 50代夫婦 移住本気度バロメーター50%】
「将来、引退した後に田舎暮らしを描いているという感じ」
【大阪在住 30代母親 移住本気度バロメーター70%】
「いま(息子が)3歳なんですけど、幼稚園の間に移住できたらな」
【大阪市在住 40代母親 移住本気度バロメーター90%】
「子育てしたかったのは今になったら田舎かなと思ったんで」
――Q:今しかない?
「はい!今年に入り、とくに!」
この相談会には、ランキングで3位となった兵庫県朝来市にブースも…。
【朝来市・総合政策課 山内睦係長】
「(ランクインは)とても嬉しいことですよね。朝来市としては地域のつながりであったりとか、人と人のつながりであったり、受け入れ態勢を充実する。そういったところをすごく力を入れていますので…」
兵庫県の中央部に位置し、天空の城・竹田城で有名な朝来市。約3万人の人が暮らしていますが、ここ数年は人口減少という、大きな課題に直面しています。(過去15年で人口約5000人減)
そこで朝来市は、空き家を購入して、リフォームした場合は最大70万円。空き店舗を活用して新たな店を出す場合は最大180万円など、移住者に対する手厚い支援を打ち出しています。
こうした支援に魅力を感じて、移り住む人が徐々に増えてきているんです。
(2017年度 107人 2018年度 131人)
大西利幸さん(58)は、3年前に大手百貨店を早期退職し、妻の三果さん(56)と京都市内から朝来市に移住しました。
大西さんは、築90年の空き家を含む1400坪の土地を、500万円に満たない破格の値段で購入。市からの支援で、とてもきれいにリフォームすることができました。
田舎暮らしを満喫する日々を送っていますが、気になるのはオカネのこと。
――Q:どこに収入があるんですか?
【大西さん】
「収入はないです。割り増し退職金ですけど、定年退職した時と同じくらい出ましたかね、55歳で。その退職金と京都の持ち家、これはローンが済んでましたので…」
しばらくは貯金を切り崩して生活し、65歳以降は年金を頼りにするプランです。また、ほぼ独学で農業を勉強し、無肥料・無農薬の野菜などを作って、自給自足に近い生活を送っています。
では、都会暮らしと比べ、生活はどう変わったのでしょうか。
【田舎暮らしは、生活費が下がります!】
京都市に住んでいた時は、月35万円かかっていたという生活費。
【大西利幸さん】
「たぶん20万円もいかないくらいかな。生活費だけで。お米は(去年から)自分で作りだしましたけど、黒豆もあり、麦もあり、野菜を山ほど、近隣の方からいただくので…」
【妻・三果さん】
「ご近所さんとかのお付き合いが多かったりしますね」
【大西利幸さん】
「二人ともお友達は自分より年上ばかりになりましたね」
利幸さんは、サラリーマン時代と比べ、外見がまったく変わってしまい、元同僚に会っても気づかれないといいます。
【大西利幸さん】
「山々に囲まれて、鳥のさえずりを聞いて、虫やカエルの声を聞いて…まったく新しい人生がイチから始まっているような一粒で二度おいしいような人生になっている」
【子育て世帯にも支援がアツいんです!】
その朝来市のお隣り、人口約2万3000人が暮らす養父市は、「田舎暮らしランキング」で、2年連続・近畿エリア1位という人気ぶり。実は、過去4年、養父市と朝来市が常に1位を独占しているんです。
但馬地方が人気のワケ。
「田舎暮らしの本」の柳順一編集長によると、但馬地方の自治体が移住者の受け入れ態勢について、切磋琢磨していることに加え、神戸の街や日本海に出るにも利便性が高く、海や山の幸に恵まれ、四季折々の風景が楽しめることが最大の魅力と分析しています。
養父市の強みは充実した「子育て支援」です。
第2子からは給食費半額。遠距離通学には交通費を補助する制度などがあります。妊娠のサポートから、子供の大学進学までの子育て支援などが支持され、年々、移住者も増えています。
(2017年度 82人 2018年度 94人)
子育て移住によってずっと住み続けると、こんなお得なことも…。
――Q:養父市で特に力を入れているサポートは?
【養父市やぶぐらし課・富田雄士さん】
「大学進学の際の…養父市独自の支援になるんですけど。最大240万円が奨学金として受け取れる制度」
――Q:それは返す必要のない奨学金?
「はいそうなんです」
大学卒業後、養父市に戻り8年間さらに住み続ければ、奨学金の返済が免除されるというものです。
4年前に兵庫県明石市から、養父市に移住した狭間健治さん(39)。元々、飲食業界で働いていました。
ただ『自分で有機野菜を作り、販売したい』という夢があり、農業を習うため、養父市に1年間通った末に、専業農家になる道を選びました。
――Q:月々の生活費は?
【狭間健治さん】
「だいたい全部含めて月15万円ぐらいですかね。食費などが野菜で自分ところの野菜を食べたりするし、家賃も安いのでその分、生活費のトータルとしては安い」
狭間さんは、妻・瞳(ひとみ)さん(30)、長女・絢心(あやみ)ちゃん(2)と賃貸物件に住んでいます。
実はこの取材翌日に瞳さんが次女を出産しました。移住者が養父市の人口増加に貢献するというとてもハッピーな話です。子育てのためにも農業に一層力が入ります。
1200坪の農地は、地主の好意で無料で借りていて、収穫した野菜は主に、地元の直売所を中心に出荷しています。
【狭間健治さん】
「やはり自分が育てた野菜を自分の名前を付けて売り場に並んでるというのを見た時は、すごくうれしかった…。手に取ってもらったときは『よしっ!』って感じで」
今は農閑期ですが、こんな仕事もやってます。
【狭間健治さん】
「スキー場でアルバイトしたりとかという形で生計を立てています」
――Q:今後、(子育てなどの)支援を受けたい?
「そうですね。使えるものがあれば使わせていただきたい」
取材中には、こんな場面も…。
【地元消防団の元団長】
「給湯器大丈夫?」
【狭間さん】
「大丈夫です。ありがとうございます」
地元の知り合いに給湯器を新しくしてもらった狭間さん。人との距離が近くなるのも田舎暮らしならではです。
【地元消防団の元団長】
「いい子やでぇ~。『(移住直後)消防に入ってください』って僕、家に行ったんですけど」
――Q:その時の答えは?
「『入ります。お願いします』って…田舎って閉鎖的なところあるんでね。けど最近この地区にも何人も移住してきてもらってるんで、僕はいいと思いますよ。野菜もようけもらっとるし…」
実は同じ養父市内でも、市とは別で独自の移住支援を行っているのが、ここ人口約750人の宿南地区です。
この宿南地区では、地域独自の取り組みとして、小学生を持つ世帯がこの地区に移住すると、お祝い金として最大10万円がもらえるんです。
【宿南地区移住コーディネーター・森本知子さん】
「こちらになります」
――Q:立派なおウチですね。
「このおウチと目の前にあるガレージ。その向こう側に畑があるんですけど」
宿南地区にあるこの空き家は9LDKで、ガレージや畑を含めて、約100坪。その気になるお値段は…
【森本さん】
「値段は税込みで620万円」
――Q:これだけついて620万円!?
「はい。そうです」
いきなりの購入は、ハードルが高いと思われるかもしれませんが、月々5万円の賃貸物件として、移住体験することもできます。
実は、兵庫県内の新婚夫婦がこの家を見学し、気に入ったことで賃貸契約することにしています。
手厚い移住支援に、自然や食、人も豊かな但馬地方。その人気はこの先も続きそうです。