17日、寝屋川市議会で可決された「子どもたちをいじめから守るための条例」
寝屋川市では10月に市長直轄でいじめ対応を行う「監察課」が設置されていて、今回の条例はその活動の法的な根拠となります。
【寝屋川市広瀬慶輔市長】
「一刻も早くいじめの被害にあってる子どもを日常生活に戻すというのを最優先にするのが、われわれの最も大きな考え方です」
これまで教育委員会が行っていたいじめ対応を市役所に移す背景にあるのが…
『教育委員会の機能不全』
いじめへの教育委員会の対応が、問題視されるケースは後を絶ちません。
今月山口県下関市では自殺をほのめかした女子児童への対応が遅れ、自殺未遂に追い込まれていたことがわかりました。
また、3年前、神戸市の女子中学生が自殺したケースでは、学校側の聞き取り調査のメモが教育委員会によって隠ぺいされ、大きな問題に…。
いじめ被害の当事者らは、どんな対応を求めているのかー。
大阪府八尾市では、おととし小学4年生だった女子児童が暴力を伴ういじめが原因で、PTSDになり今も登校出来ていません。
【被害者母親】
「娘に対して寄り添ってくれる機関という立場の人は、今までいないという風に感じています」
【被害者父親】
「(いじめ)対策の中でスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの外部人材を導入して、彼らが何をするのかと言ったら相談を聞く、聞いた後にどう解決するのかというそこまでの対策をとってもらいたい。解決するまでの対策」
こうしたなか寝屋川市では学校や教育委員会はいじめの『予防』に専念し、実際のいじめの『対応』は監察課が行うことにしたのです。
17日に可決された条例には市長が関係者へ聞き取り調査を行うことや、加害児童のクラス替え・出席停止を学校へ勧告できることなどが盛り込まれました。
【寝屋川市 広瀬慶輔 市長】
「行政的アプローチでは被害者加害者という概念をしっかり盛り込んでいくことになるので、(加害者に)厳しい対応を行政としてはすることになります」
教育委員会も「監察課と役割を分けることで、いじめに対しての効果的な取り組みとなる」と期待を寄せます。
しかし教育の専門家は、戦前の反省を教訓にした「行政」と「教育」の独立が脅かされる可能性や、加害児童の厳罰化のリスクがあるといいます。
【関西学院大学桜井智恵子教授】
「加害子供もSOSを出しているというのが人権分野の基本ですから、それを受け取ることなしにまず暴力やいじめがあったということで取り締まるのならば、本来の関係性の不全や加害とされてる子の持つ痛みが分からないままに、取り締まることばかりが広がっていく」
教育委員会制度が限界を迎える中、寝屋川市の取り組みはいじめ問題への新たな処方箋となるのでしょうか?