10日間で2度の失態
覚せい剤取締法違反などで公判中だった大植良太郎被告(42)が東大阪市で逃走しました。護送中の車内で大植被告が「手錠がきつい」と訴えたため、検察事務官が左手の手錠を外した隙に暴れ、ドアを開けて逃走しました。
結局、逃走から2日後に約18キロ離れた大阪市内で身柄を確保されました。
大阪地検は、10月にも岸和田支部で収容手続き中だった被告に逃げられており、10日間で2度目の失態です。
住民の安全を考えた情報発信を
大阪で相次いだ被告の逃走事件であらわになったのは検察の情報発信への消極的な姿勢です。東大阪で自治体に知らせたのは約2時間後、岸和田では約5時間後でした。検察が懸念すべきことは、逃走した被告によって市民に新たな危害が及ばないようにすることです。
捜査関係者によりますと、警察は大植被告が知人の協力で大阪市内に潜伏していると判断し、翌日に住吉区内で知人の車を発見し追跡。再び逃走を許したものの、その車を北区の駐車場で見つけていました。東大阪市の現場周辺では、保護者が児童に付き添って通学するなど警戒を強めていましたが、実際に被告が潜伏していた大阪市では、普段通りに登校していました。
少なくとも、取り逃がした時点で、検察は自治体に通知するとともに、周辺住民にも警戒を呼び掛ける必要があったはずです。
検察は反省し、説明責任を果たせ
大阪地検の上野曉総務部長は、「住民に不安を覚えさせる結果になった点について、申し訳なく思っている。今後の収容の在り方についてしっかりと検討してまいりたい」と報道陣に話したものの、自治体に連絡しなかったことについて何度質しても、「今後の収容業務に支障をきたす恐れがあるので回答を差し控える」と同じ言葉を続け、回答を拒みました。
説明責任を果たさない検察の態度には、住民に不安を与えたことに対する反省がまったく見られません。
情報発信のあり方も見直せ
大阪地検は今回の逃走事件を受け、被告人の収容作業を見直すプロジェクトチームを立ち上げました。10月の岸和田の事件も含めて検証するようですが、収容業務だけでなく情報の発信、特に自治体や市民にどう情報を伝えるかなどを改めて見直すべきではないでしょうか。