向かったのは京都市上京区。
【新実キャスター】
「今日の方はですね、かなり個性的だという風に聞いておりますが…ここ!お店…ですかね。お邪魔します。こんにちは、失礼致します。新実と申します、今日はよろしくお願い致します」
【山田晋也さん】「こんにちは、よろしくお願い致します」
【新実キャスター】「お名前は…伺ってよろしいですか?」
【山田晋也さん】「山田晋也と言います」
【新実キャスター】「山田さん…股上…個性的ですね。オシャレですね」
【山田晋也さん】「そうですかね、ありがとうございます。短いんやったら短いなりに見せようかなと…」
【新実キャスター】「いやいや」
こちらが、山田晋也さん。
京都の着物屋の家に生まれ育ち、15年前、自分の店をオープンしました!
しかし彼が生み出した新たなアートは着物…ではないんです。
【新実キャスター】「屏風絵っていうんですか?」
【山田晋也さん】「そうなんですよ。屏風にあるモノが描かれているんですけども…」
【新実キャスター】「あ、ここ隠れているんですか?」
【山田晋也さん】「そうなんです、そうなんですよ」
【新実キャスター】「これも気になるんですけども、まずこれ、そもそも描かはったのが驚きなんですが」
【山田晋也さん】「松島の波って言って、尾形光琳が描いた作品なんですよ」
【新実キャスター】「模写ってことですか?」
【山田晋也さん】「そうですね」
【新実キャスター】「ちょ、なんか見えてるんです…」
【山田晋也さん】「チラ見えしてますけどね」
【新実キャスター】「鳥ですよね?これね…行きますね!はい…あ!」
【山田晋也さん】「ご存知ですか?」
【新実キャスター】「僕でもわかりますよ。手塚治虫さん“火の鳥”」
【山田晋也さん】「はい。手塚治虫先生が昔から好きで、いつかこういう風に一緒に描きたいなっていうのもあって…で、コレ蓬莱山っていう山の姿なんですけど、そのところに火の鳥が住んでいて、飛んでいる姿っていうのを描いたんです」
【新実キャスター】「あの…着物屋さんですよね?忘れかけるんですけども」
【山田晋也さん】「着物ってでも元々日本画で図案を描くんですよ。それをこういう紙に書くのか、着物に書くのかの違いなんですよ。やってる作業はそんなに変わらないですよ」
山田さんの新たなアート。
それは、伝統的な日本画と現代的なキャラクターを融合させること。
描くのは手塚治虫作品だけではありません。
【新実キャスター】「うわ、いきなり来た!初音ミク!」
【山田晋也さん】「コレはこの前、二条城に飾られた作品ですね」
【新実キャスター】「え、二条城に飾られたんですか!?」
この作品、先日二条城で開かれた国際博物館会議で展示され、
海外の人からも注目を浴びたそうです!
【新実キャスター】「どこまでがその模写になるんですか?ここまで?」
【山田晋也さん】「ここまで模写ですね。そこからはもう足してるっていうか、描いてます」
【新実キャスター】「全くシームレスというか、違和感なく切れ目なく繋がってますよね」
【山田晋也さん】「はい。ブラックジャックってすごく切ない方なんですね。それをどうしてもイメージに出したかったので、こういう描き方をしましたね」
【新実キャスター】「初音ミクは…かなり初音ミクが全面になってますね」
【山田晋也さん】「初音ミクの髪と(鶏の)尾っぽ、流れる美っていうものを、共通言語を自分の中で探して合わせてたんですね」
【新実キャスター】「その日本画と現代のキャラクターの絵がこれだけマッチするんですね」
【山田晋也さん】「日本の絵ってね、平面の表現なんですよね」
【新実キャスター】「平面の表現…2次元ってことですか?」
【山田晋也さん】「2次元の描き方でやっぱりこうマッチングしやすいんですよね」
一見合わなさそうなのに、実は相性バツグン!
それにしてもなぜ、山田さんはこのような表現に挑むのでしょうか?
【山田晋也さん】「メッセージがやりたいんですよね。考えてメッセージがやりたいっていうより、なんかこう自分で伝えたいんですよね。今の時代にジレンマしている自分も嫌なんですよね…」
作品は固定概念に縛られた今の時代へのメッセージ。
そんな山田さんが表現するのは絵画だけにとどまらず…
【山田晋也さん】「♪今日も火の鳥、小鳥がなくように聞こえる、僕たち小鳥のカゴの中で生きている人生、完成されることもない…」
なんと、ヒップホップアーティストとしても活動している山田さん。
2007年にはその力を試すため単身ニューヨークへ!
これが人生の大きな転機になったと言います。
【山田晋也さん】「日本人で日本語のラップなんですね。それでも結構評価してくださって…僕らが思っている固定概念って実はすごいちっちゃな出来事かもしれないですね。やってみないとわからないことっていっぱいあるし」
【新実キャスター】「確かに」
子供の頃から大好きだった漫画と、受け継いだ伝統技術を融合させる。
このアイデアはそうした想いと体験から生まれたんです。
そして作品に描くキャラクターにはあるこだわりが…
【山田晋也さん】「キャラクターって、日本語に直したら人格とか性格っていうんですね。ほな人格とか性格っていうもので一番古いキャラクターって何かなって自分の中で考えたんですよ。誰の家にもあって…と思った時に、僕の中でそれが仏像とか仏画である、お釈迦様やったんですね。戦後に無宗教化みたいなんが起きて…その時にやっぱり頼るものってみんな欲しいじゃないですか。それが例えばブラックジャックであったり、鉄腕アトムであったりっていうものになったのかなと思って」
【新実キャスター】「現代のある種、偶像崇拝の対象がキャラクター?」
【山田晋也さん】「そうです。対象物かなって思っているんです、キャラクターって」
【新実キャスター】「初音ミクさんは?」
【山田晋也さん】「初音ミクさんは、やっぱり僕、こう女性社会ができて、男性を追い抜いてしまったと思うんですね。なんで逆に男性の人たちは優しい女性観とか、憧れ…これ僕放送大丈夫ですか?これ女性の人に…(笑)」
【新実キャスター】「男が作り出した偶像(笑)」
特別に、制作現場を見せて頂きました。
そこにいらっしゃったのは一緒に作品を作っている平尾勉さん。
元々は山田さんの実家の着物屋で絵師をしていたそうで
山田さんにとってはパートナーであり、師匠のような存在です。
【新実キャスター】「何年日本画を描かれているんですか?」
【平尾勉さん】「日本画って、絵自体は50年くらい」
【新実キャスター】「50年!半世紀!」
【山田晋也さん】「半世紀」
【新実キャスター】「そしてここに来て初音ミク…初音ミクってご存知でした?」
【平尾勉さん】「知らんかったね」
【新実キャスター】「ですよね」
【平尾勉さん】「私はでもこの社長に出会わなかったら、こんなに絵が上手になっているとは思いませんね」
【新実キャスター】「平尾さんは上達されたんですか?」
【平尾勉さん】「それは60過ぎからですよね。こういうお仕事さしてもらって」
【山田晋也さん】「どんどんどんどん上手くなるんですよ。人間ってやっぱり挑戦するってすごい大切やなって思いました。展覧会の時なんかミクファンの人から囲まれてはりましたもんね。握手してくださいとか、サインくださいとか」
【新実キャスター】「そんなんなってんですか、今」
【平尾勉さん】「嬉しいですね」
【新実キャスター】「嬉しいですよね」
そんなお二人が今取り組んでいる最新の作品がこちら!
キャラクターはゲゲゲの鬼太郎です。
実はこの作品、世界遺産にも登録されている比叡山延暦寺で展示されることが決まっているんです。来月から始まる展示会の打ち合わせにカメラも同行させて頂きました。
【お坊さん】「いいですね」「芸術やな」
【山田晋也さん】「ええ感じですか?」
【お坊さん】「ええ感じ」
【比叡山延暦寺 参拝部長 今出川行戒さん】
「もともとこの書院を一般公開させるにあたって、素晴らしい建物ではあるんですが、興味のある人、無い人とかもあると思うんですね。ぜひ何かこの機会にアート的な何かを展示したいなという思いがありまして…であれば比叡山にも七不思議というお化け妖怪系のお話が昔から伝わってますのでそれとゲゲゲの鬼太郎を合わせたような、お軸なり屏風なりそういったものを展示できたら面白いよねっていう打ち合わせをしてやってきたのが、ようやくこういう形になるというのが本当に感無量ですね」
【新実キャスター】「本当にその山田さんの話を聞いて、平尾さんの話を聞いて、なおさらですけど、いろいろ人間って勝手に区切り作ったり、壁作ったりして可能性狭めてしまってるんやろなってめっちゃ感じましたね」
【山田晋也さん】「僕よく進化と成長って思うんですけど、進化って都合のいいところだけをピックアップして、今の時代に一番必要なものはこれだよみたいな。僕はちゃんと昔のことも理解しながら、こういう先人の方々の知恵も理解しながらどう成長させていくかっていうのが、僕これが一番大切かなと思うんですよ」
山田さんのアートが人々の心に響くのは、
ただ新しいだけではない伝統へのリスペクト、それがあるからなんだと感じました。
【平尾勉さん】「ワクワクしている。次何を行ってくれるのかなというのはありますよね」
【新実キャスター】「そうか、平尾さんは待っているんですね。山田さんから次のキャラクターが提示されるのを。他にもっと、もしかしたら合うんじゃないって思っているキャラクターとかあるんですか?」
【山田晋也さん】「ポケモンとかかな…」
【新実キャスター】「鶏の横に、ピカチュウとか…♪過去と現在のミクスチャー、二人にしか書けないピクチャー…」
【平尾勉さん】「ヨーヨーヨー」
【新実キャスター】「…なんで言うたんやろ」