【新実キャスター】
「カンカン照りでございます。姫路の沖合いです。いっぱい島あるんですね、瀬戸内海ね。島の間を縫うように進んでおりますけれども。目的地、あれです。正面のあの島、黒島!」
姫路の沖合に浮かぶ黒島は、端から端まで、1キロに満たない小さな無人島。
そこで迎えてくれたのが…
【新実キャスター】
「よろしくお願いします。新実と申します」
【梶さん】
「無人島プロジェクトの梶です。よろしくお願いします」
【新実キャスター】
「無人島プロジェクト?なんですか?」
【梶さん】
「見ての通り、電気も水道も何もない無人島で生きるを学ぶっていうツアーを、今やっています」
【新実キャスター】
「生きるを学ぶツアー?へ?え、みんななんかやってはりますね。煙が上がってますね」
【梶さん】
「今まさに火起こしを」
【新実キャスター】
「はぁ、そっからですか?」
【梶さん】
「朝から火起こしをしないと朝ごはん食べられないと」
【新実キャスター】
「朝ごはんまだなんですか?皆さん」
【梶さん】
「朝ごはんまだですね」
【新実キャスター】
「もう10時ごろ…今?」
梶さんは無人島を活用して2泊3日のサバイバルキャンプを企画、運営しています。
【新実キャスター】
「なんであえて、ある種日常では簡単にできることを、できなくしているんですか?」
【梶さん】
「いかに自分たちが普段恵まれた生活をしているのかっていうことを感じて、生きるっていうことは人と助け合わなきゃいけないし、人間関係とか小さな社会ってこうやって生まれるんだなっていうことを実感して帰ってもらうことができるので…」
【新実キャスター】
「じゃあ、今もうこれが梶さんにとってのビジネスなんですか?なんで?」
【梶さん】
「学生時代、12年前に無人島でキャンプしたら面白いんじゃないかなと思うようになって、そこからずっと趣味で続けていたんですけど、最初とある人材系の大手会社に入社しまして、その後も趣味だったり、副業で続けていまして、なんだかんだキャンプツアー続けて12年」
3年前には日本で唯一の無人島に特化した旅行会社を設立。
さて、この日はツアー2日目。私もお邪魔させて頂きました!
【梶さん】
「大きく回転ができるだけするように」
【新実キャスター】
「ほう、上手とかあるんですか…?いい感じ…?おお、煙…来た、来た」
【梶さん】
「その調子です、その調子。いい調子、いい調子…そのままもうちょっと頑張ってください。もうちょっともうちょっと。(種火を)移すの手伝ってあげて」
紐を引く人、板を押さえる人、種火を大きく育てる人。
火を起こすだけでも、皆が協力しないとできません。
そしてついに!
【梶さん】
「ついたね~!」
【新実キャスター】
「いけた?よっしゃ、やった!ありがとうございます」
【梶さん】
「今、多分2時間半くらいやって、点いた瞬間です」
【新実キャスター】
「マジですか?めちゃめちゃエエとこ取り、すみません」
さぁ、やっとありつけた朝食は…
【新実キャスター】
「タコ茹でてる!」
【参加者女性】
「獲ってきました、朝」
【新実キャスター】
「朝獲ったんですか?」
【梶さん】
「今朝、獲ったものです。食べ物は原則(持ち込みを)やめてくださいねと言っています」
道具や調味料は用意されていますが、食材はお米などを除き現地調達が基本。
まさにサバイバル!!
【新実キャスター】
「皆さん、おいくつですか?」
【参加者たち】
「私、21です」「自分、ハタチです」「24です」
参加者は若い人だけではなく、最年長は74歳!
バラバラなのは年齢だけではありません。
【新実キャスター】
「どちらから皆さんいらっしゃったんですか?」
【参加者たち】
「自分、岡山です」「僕は東京ですね」「私、島根」「大阪です」
【新実キャスター】
「大阪ですか…バラバラですね。そんなに身の上話もまだしてないんですか?」
【参加者女性】
「本名もわからないですね、ニックネームなんで」
【新実キャスター】
「そうなんだ…その状態でも共同生活スタートするんですか?」
【梶さん】
「一番最初集合した時に、何個かやることがあって、ひとつがニックネームを一人ひとり付けること。“なんて呼んで欲しい?”っていう風に確認すること。もう一個が、敬語を禁止っていうことを伝えることなんですよ」
【新実キャスター】
「マジか…禁止ですか?」
【梶さん】
「禁止です。何歳だとか、どういう仕事をやってるとか、社会人だとか学生だとか、ご年配だとか。そういうのを置いて、一人の人として接することができる環境を作れば、みんな心の壁がどんどん無くなっていって」
【参加者男性】
「みんなあの、新実さんのあだ名考えよ!何がいい?あだ名!…にいさん?」
【新実キャスター】
「どういうこと?」
【参加者たち】
「単純やな、めっちゃ」「に~みん?」女性「に~みんカワイイ!」「に~みん、あ、めっちゃカワイ!」「趣味何なんですか?」
【新実キャスター】
「趣味?…趣味、野球ですかね?」
【参加者男性】
「野球…野球やってる人!」
【新実キャスター】
「野球やってた人!」
【参加者男性】
「あ、結構いる、結構いる」
【新実キャスター】
「めっちゃいる!」
【参加者男性】
「強いメンバー!」
【新実キャスター】
「そうなんですか?」
【参加者男性】
「どこ守ってるんですか?」
【新実キャスター】
「キャッチャー、キャッチャー」
【参加者男性たち】
「キャッチャーだって!」「ピッチャーです!」「イェー!」「「ボールあったよな?」「たまに流れ着いてる」
【新実キャスター】
「流れ着いたボールで、キャッチボールするんですか?」
【参加者たち】
「そこにあるもので遊ぶ!」「ありましたボール!」「ボールあった、ボールあった!」
そして!
【新実キャスター】
「あだ名なんですか?」
【ゆっけ】
「“ゆっけ”です」
【新実キャスター】
「ゆっけ!(ボールを投げる)」
【ゆっけ】
「うわ、青春…にいみん!」
【参加者男性】
「バック、夕日に差し替えて!」
【新実キャスター】
「生まれ変わってもまた、バッテリー組もうな!」
【ゆっけ】
「当たり前だろ!」
【新実キャスター】
「ありがとう、ゆっけ…(抱き合う)」
【ゆっけ】
「甲子園球場ですね…」
【新実キャスター】
「甲子園球場…、俺たちの甲子園っすね」
【ゆっけ】
「俺たちの夏は!」
ほとんどの人が ツアーで初めて出会ったはずなのにとにかくみんな明るくて笑顔なんです!
【梶さん】
「自分もそうでした。自分のことが結構嫌いで、人前でしゃべるのも苦手で。そんな自分がすごく嫌いだったのが、(無人島で過ごすと)どんどん自分が自己開示できるようになっていったっていうところがあるんですけれども」
【新実キャスター】
「自分を出すことがもともと難しかったんですか?」
【梶さん】
「そうなんですよ」
コミュニケーションが苦手だった自分を変えてくれた無人島での体験。
それを多くの人と同じ視点で共有したい。
そんな梶さんさんの思いは参加者にも伝わっています。
【参加者男性】
「もう、本音とかどんどん言えちゃうっていう…」
【新実キャスター】
「初めて会った人に?」
【参加者女性】
「でもなんか(誰かが)言ってたのが、“ちょっと仕事転職しようかな”って考えました、みたいな」
【参加者男性】
「言ってたね」
【梶さん】
「あの、離婚を決意した人もいれば…」
【新実キャスター】
「ここでですか?」
【梶さん】
「(最終日の)キャンプファイヤーで、“あ、私この人と結婚する”って思って、結婚した人もいます」
【新実キャスター】
「そんなターニングポイントになるんですね」
(食べさせてもらって…)
【新実キャスター】「なになに、絶対熱い、絶対熱い、あかんって…あぁ、おいしい!」
ほんの数時間いただけで私もすっかり仲良くなっちゃいました!
【新実キャスター】
「だいぶ参加者は増えてるんですか?年々?」
【梶さん】
「増えていってますね。僕らは全国で40か所くらい、いろんな無人島を活用して、そういったアテンドができるので。個人以外にもウチでは企業さんの研修だとか団体旅行のツアーとか。例えば電力会社が電力のない生活をするっていう研修とか」
【新実キャスター】
「そんなんあるんや」
【梶さん】
「逆にお客さんから気付かされて、あ、こういう使い方もある、ああいう使い方もあるっていうノウハウが蓄積されていきますから」
【新実キャスター】
「そうか、無人島の使い方の引き出しがどんどん増えてるんですね」
【梶さん】
「そうそう」
そんな新たな使い方を発見した無人島が、和歌山県にある地ノ島。
【梶さん】
「もともと海水浴客しか、夏しか人が来ない。でも行政はそこを観光資源として活用して行きたいっていう気持ちがあったので、観光協会さんとか地権者さんとか、そういう方々と協議会を組ませてもらって、その島の運営をやらせてもらってますね」
”町おこし”のため、地元の人と話し合って、この島でライブや シネマキャンプを開催した梶さんたち!すると…
【梶さん】
「ゴールデンウィークは、去年と比べて30倍以上のお客さんが来たんですよ」
【新実キャスター】
「へぇ!去年までは夏の海水浴だけだった…わぁ!」
地元の人も期待しています。
【有田市観光協会副会長 石垣泰伸さん】
「(以前は)ただ単に泳いでもらう、キャンプしてもらう、あとはもうお任せして(観光の)内容を作るのではなく、(そのまま)どうぞ、という形しかしてない。我々の感覚ではない、都会もしくは世の中を見てくる人らが構想した、なかなか面白い企画です」
【有田市産業振興課 係長 網谷彰洋さん】
「遊びに来たきっかけで、有田市っていいとこやなと思ってくれたら、そのまま空き家を利用して移住してくれても嬉しいですし」
無人島を地方の資源として 打ち出すことで移住も増えるかも!
これには国も注目しているそうです。
【新実キャスター】
「(ツアー参加後に)いわゆる地方に移住されるような決断をされる方もいらっしゃるんですか?」
【梶さん】
「屋久島に移住したっていう話を聞いていたり、沖縄で今は違う仕事をしているっていう話も聞いたりだとか…やっぱりなんとなく“島”方面に行きがちなんですけど…ありますね」
【新実キャスター】
「なんかいろんな人の人生のターニングポイント、作ってますよね」
【梶さん】
「それがなんというか、やりたいことだったなという風に思います。無人島というのは非日常に一番なれて心を解放できるというか、そういうところがあるので、一番向いているなぁと。それで好きになってずっと続けていると、気が付いたら無人島のスペシャリストになってしまって」
【新実キャスター】
「手段だったのに。無人島は、もうメインになっちゃって。ありがとうございます」
【梶さん】
「はい、に~みん、ありがとうございます」
【新実キャスター】
「に~みんでしたね僕」