年間643万トン。
これは食べられるのに捨てられる食品の量です。
この食品ロスを解決しようと、今、様々なアイデアが登場しています!
5月、『食品ロス削減推進法』が成立。
「食品ロス」を減らす努力は“国民運動”であるとする法律です。その取り組みの一つとして、こちらの大手コンビニが6月11日から始めたのが“実質値引き作戦”です。
消費期限が近い商品を買うと、ローソンで使えるポイントが5%分、客に還元される仕組みで、廃棄する前に少しでも多くの客に手に取ってもらおうというのが狙いです。
“お得に買うことで”食品ロスを減らす。
その究極の形が、“商売の街”大阪にありました!
大阪市福島区に、2019年4月にオープンしたこちらのお店。
【薄田アナ】
「結構色々ありますね、飲料水からレトルトに…揃ってますね~」
実はこのお店、商品のほとんどが賞味期限ギリギリか、期限をすでに過ぎてしまったものが売られているんです。5月、賞味期限が切れた炭酸水は、驚きの90%値下げ。1本15円で販売されています!
【女性客】 「とても安くていいと思います」
【女性客】 「日にちが過ぎてても、すぐ食べてしまうんやったら別に。時々のぞきに来てます」
賞味期限とは、消費期限とは違い、あくまでも「おいしく食べられる期限」のこと。
期限切れを販売することは法律上問題ありません。
専門家によると「保管状態が悪く、劣化が早くなる可能性も考慮して本来の美味しく食べられる期間より3割程度短く設定されていて、期限が切れたからと言って、すぐ痛むものではない」とのこと。
例えば非常食用のパンの缶詰。去年の夏に賞味期限が切れたものなんですが…
【薄田アナ試食】
「うん、おいしい。全然わかんないですね、」
激安で販売されるこれらの食品。一体、どのようにして手に入れているのでしょうか?
【薄田アナ】
「こんなに集まってくるんですね!すごい量!」
倉庫に山積みの食品は、店を運営するNPO法人が、賞味期限が迫り、廃棄処分寸前の商品をメーカーなどから買い取ったもの。
【NPO法人「全国もったいない市場」高津博司代表】
「災害備蓄品であれば、企業が保管してるもの、自治体や官公庁の備蓄品も入ってきます。他にもここみたいな倉庫、2つあります」
元々捨てられる予定だった食品なので、格安で大量に仕入れることができ、一方、メーカーなどは廃棄コストを無くすことができるというウィンウィンな仕組みなのです。
【NPO法人「全国もったいない市場」高津博司代表】
「食品ロスを減らすために販売もして、安心して食べられますよと理解もしていただいて、ビジネスとして継続できればそれが理想じゃないかなと」
お得な買い物で食品ロスを減らそうというビジネスの一方、お得に食べてもらってロスを減らすサービスも登場しました。
こちらは新鮮な魚料理がウリの居酒屋。
こちらのお客さん、席に着くなり、スマートフォンで…
【男性客】「このフードパスポートで、海鮮丼いけます?」
お客さんが見せていたのは「フードパスポート」というアプリです。月額980円払えば、1日に1つの料理、月10回まで、加盟したお店で“お金を払わず”料理を食べられるのです!
提供される料理は、急なキャンセルや売れ残って無駄になりそうな食材を使ったもので、500円から1000円相当の料理だそうです。このお店の海鮮丼も、700円近くするのですが…フードパスポートを使えば、タダなんです。
【男性客】
「めちゃくちゃお得。本来捨てられるはずだったものが捨てないで僕らが食べられる。食品ロス(削減)に貢献してると思います」
【店長】
「(ロスは)前よりかは少なくはなってますね。刺身はその日に入荷して、その日に使わないといけないので、お客に食べてもらって、美味しかったという声を聞けてよかった。」
現在、大阪を中心に430店舗以上が加盟していますが利用者が増えれば増えるほど、食品ロスが減っていくというこのサービス。
【アプリ開発「リアーズ」後藤靖佳代表】
「売り上げの2%は、基本的には食品ロスに対して動いてるNPO法人に寄付。お店とユーザーと、社会、この3つがウィンウィンになる仕掛けを作りたい。全国で何万店舗ってなってくるとほんとにロスが減ってくるような仕掛けになればいいのかなと」
客にお得感を味わってもらいながら食品ロスを減らすそんな店側の取組みが進む一方で、こんな気になるデータも・・・
実は、食品ロスの半数近くは、家庭から出ているもので、その量は1家族あたり年間6万円分にものぼります。
この現状を受けて、今月から西宮市は、コープこうべなどとタッグを組んで、ある取り組みを始めました。
こちらのお店では、お客さんが何やら、箱に入れていきます…
【女性客】
「あまったものは持ってこさせてもらってます」
これは、家庭に余っている食品を引き取ってもらえる、「フードドライブ」というサービス。
未開封で賞味期限が1カ月以上あり、常温で保存できるものに限られますが、ここに集まった食品は、地域の子どもたちに食事を提供する「子ども食堂」や福祉施設に寄付されます。
【女性客】
「子どもさんの食事のちょっとたしになったら嬉しいなと。ちょっといいことしたような感じ」
さらに、西宮市はこの取り組みは“住民側にも”メリットがあると話します。
【西宮市環境局美化企画課 森川信也課長】
「ごみの処理コストが減れば、皆さんからの税金も、他の行政サービスに回すことも可能になる。市民の皆さんも、食品ロスの削減には積極的に協力していただければと思ってます」
お得感や地域貢献といった“価値”が付くことで、私たち消費者は、意外と簡単に食品ロス削減に貢献できるのかもしれません。