日本人の生活に欠かせないお茶!しかしながら、その生産現場に目を向けると、高齢化や後継問題など様々な理由から農家の数は大きく減少しています。そんな中、今、日本茶の新しい楽しみ方がちょっとした話題になっています。
ー京都・八坂神社の近くー
新実アナ「京都の中でも八坂神社のそばですからね、一等地、ものすごくいい場所です。この近くのお店で、今日はお話を伺います。」
細い路地に入り、お目当ての店「MAVO(マヴォ)」に到着です。
『MAVO』オーナーシェフ西村勉さん(47)「ようこそ、いらっしゃいませ。」
新実アナ「とてもダンディーですね。スタイリッシュな格好ですが…、これが普段のお仕事着ですか?」
西村シェフ「これが私のスタイルです。」
新実アナ「(店内へ)ワインとか並んでいますね、ワイングラスがずらっと並んでいますが…」
西村シェフ「当店はフランス料理店です。」
新実アナ「フランス料理とお茶?ちょっとよく分からないです…」
5年前にオープンした「MAVO」は、海外の王族の方も訪れるというフレンチの名店。オーナーシェフである西村さんが考え出した日本茶の新しい楽しみ方とは?
西村シェフ「一皿に一杯のお茶。日本茶のうま味っていう部分を、上手にフランス料理のエッセンスと結びつけるというものです。(Q.ワインでは、そういうこと聞きますが?)元々、アメリカ発祥のワインペアリング参考に、僕はこの空間の中でお酒を飲まれる方と飲めない方が、いかに楽しさを共有できるかという観点で考案しました。今までお酒が飲めない方は選択肢がなかったので…」
西村さんが考え出したのは、コース料理の一皿ごとにその料理に合わせたお茶を提供する『ティーペアリング』。日本茶をベースに、ハーブやスパイスをブレンドし味だけでなく色も楽しめるよう演出しています。
新実アナ「ワイングラスでいただくんですか?」
西村シェフ「お茶にもそれぞれワインと同じく味わいの骨格ラインがあり、香りとか味わいっていうのはグラスの形状一つで、すごく表情を変えますので。(Q.何品あるんですか?)お茶のスパークリングから始まって7種類です。(Q.お茶のスパークリング?)最初はやはり、ワインの方と乾杯される時は泡がシュワっと出ている方がいいと思います。そこまで追求しています。」
味の決め手となるお茶の入れ方も特別なんです。研究を重ねたどり着いたのが、『減圧器』を使った抽出法!なんと、特許出願中なんだそう…。西村さん自慢の『ティーペアリング』を前菜とメイン2種で特別に体験させていただきました!まずは前菜から…
新実アナ「んっ?コンソメも味がしっかりしていてチーズのテイストもあるんで結構ガツンと来ます。味も食感も香りもあります。合わせるお茶は?」
西村シェフ「こちらのお茶になります。」
新実アナ「え!!ちょっと嗅いだことのない香り、紅茶のようなテイストの香りもするんですけど…」
福岡県産の和紅茶に、イチジク・アンズ・リンゴをブレンドしたそう…。
新実アナ「サラッと(料理の後味を)流してくれて、すっきりとした香りが残って、またスープに手が伸びますね。」
西村シェフ「今のサラッとっていう言葉が、ピッタリ当たっています!若干の脂質を持ったものを発酵茶は切ってくれるんです。お肉のうま味ですか、すっと追いかけてくるような感じに。」
続いては、メイン料理”石鯛のポワレ”で、また別のお茶を合わせます。
新実アナ「海のうま味ですね。濃い玉露は本当に昆布だしに近いようなうま味があるな?って思っていたんですけれども、海のものと合うんですね、こんなに?」
西村シェフ「合います!」
最後は、鴨肉とフォアグラ。こちらに合わせたお茶は、本来はかなりスパイシーなものなんですが…
新実アナ「お肉の味と香りがかなり強いんで、その後にお茶いただいたらスパイシーだなという感覚は特になく、お茶が消えて肉の持つ強い香りが和らげられていく感じがします…」
西村シェフ「いやぁ、素晴らしい嗅覚と味覚をされていると思います。(Q.かなり主張の強いお茶だと思っていましたが…)やはり、料理があっての完成されたお茶という立ち位置でしょうかね。」
新実アナ「お酒が飲めない、飲まない方にも楽しんで欲しいというところがスタートだと思うんですけど、その中でお茶に目を付けたのはなぜですか?」
西村シェフ「このお店が準備段階の時に、京田辺の玉露を飲ませて頂いて、その時の味わいっていうのが、『日本人でありながら、どうしてこの素晴らしい、お茶に気づかなかったんだろう…』と、もう狂ったようにお茶を集めて入れて…」
そうして日本茶の世界にハマるうち、”ある問題点”に気づいたといいます。
西村シェフ「日本ではお茶が、飲食店ではサービス品として振舞われていた…今もそうなんですが、それではいつまでたってもいいお茶を店舗では扱えませんし、農家側も飲食店に卸すこともできない。」
必要なのは、日本茶の価値を高め、関わる人全てに利益をもたらす取り組み。ティーペアリングにはその可能性があるんです!
新実アナ「1か月でどれくらい利益は上がっているんですか?」
西村シェフ「利益はちょっと生々しくて言えないんですが、今はこのお茶のティーペアリングコースが6000円(税・サ別)(Q.お茶6000円!?)だいたい月々150セットは販売しておりますので…」
実際、お客さんの7割がティーペアリングを注文するそう!
女性客「基本的に、わたしたちはお酒をほとんど飲まないので。どうしても夜、ディナーとなるとお酒のペアリングというお店がとても多いと思うんで、こういうティーペアリングは貴重だなと思います。やはり、お茶ごとに違うグラスを準備していただいて、それはこうやっぱりお金を払う価値があるものだと感じます!」
日本茶の新たなマーケットを生み出すこと。それが日本茶の未来を守ることにつながると西村さんは考えているんです!そのために、去年から準備を進めてきた『ティーペアリング協会』を今月から始動。生み出した技術を多くの人に伝えようとしています。
新実アナ「フレンチだけ合う訳ではないですもんね?可能性はもっともっとあるんじゃないですか?」
西村シェフ「もっともっとありますね。もちろん日本料理、お寿司なんかはものすごく可能性があると思っています」
新実アナ「お店の売り上げや利益のことを考えると、自分の店だけのものにしておいたほうが、いいような気がするんですけど…」
西村シェフ「ライバルは増えると思います。ただ、僕が言えることは…誰にもどこにも負けない自信と根拠がありますので、ずっとトップランナーで走れますね!」
新実アナ「ブームが広まったとしても、負けないと!?」
西村シェフ「負けないですね!」