◆大阪・西区のとあるビル
新実アナ「食品ロスをなくす取り組みということなんですが、リサイクル工場とかかな?と思ったら全然違いますね…。『リトルムーン』さん、ショールーム?なんか小物が並んでますよ、食品ロスはどこいきました?」
目の前に現れたのは『食品』ではなく、ヘアアクセサリーばかり。どういうことなのか?
新実アナ「場所を間違えましたかね?」
文さん「ここで食品ロスの扱いをしています。」
文美月さん、49歳。なぜ、食品ロスにヘアアクセサリーが関係しているのか?はひとまず置いておき…、文さんは、『ロスゼロ』というブランドを立ち上げ、食品ロスの中でも『お菓子』という分野に目をつけ、ロス削減への取り組みをしています。なんと、これまでに2t以上ものロスを削減。この成功には、どのような背景があるのでしょうか?
新実アナ「(袋に入った様々なお菓子類)これらがロスの商品なんですか?」
文さん「実は消費期限などは問題なく、様々な原因でロスの”予備軍”ですね。(ロス)発生の原因は色々ありまして、例えば、イベント用に作られたものだと、需要の予測がなかなか難しくて、”余るくらいだったら多い目に作ろう”と…。結果、作り過ぎるということが商慣習上、考えられます。」
ロスになる原因は様々で、例えばこちらは神戸・元町にある創業140年以上続く、瓦せんべいが有名な「亀井堂総本店」で瓦せんべいの生地を使って、イベント限定に作られ”余り”が出たもの。ほかにも…
文さん「節分のお豆に、砂糖を新しくコーティングして全く別のお菓子にしたり。」
新実アナ「普通のシンプルなお豆だったんですか?」
節分当日を過ぎると価値が下がり、売れなくなってしまうという老舗豆菓子店の節分豆を、グラニュー糖と食用のカラーパウダーをコーティングし、彩り豊かにして新しい商品に。賞味期限には全く問題がないのに、ロスになってしまう…。日本にはこのような『もったいない』食品が本当にたくさん溢れているのです。
新実アナ「いいですね、美味しい!節分の時って大豆は余りがちなんですね。」
文さん「年によっては、曜日とか天気とかに左右されるんですけど、(余りが)100kgを超えることもあるそうです。」
その他にも、こちらのプリンのように食品業界の商慣習『1/3ルール』で、まだ賞味期限まで期間があるのに、ロスになってしまったものも。文さんは、これらの商品を買い取り、インターネットで販売。割れて売れなくなったマカロンも”ロス商品”で、ホームページを見ると、実は新人さんの失敗作。購入者は、商品それぞれの『ロスストーリー』を知った上で購入でき、さらにそれが直接、食品ロス削減へもつながる。そんな他とは違う販売法がメーカーにも消費者にも人気なんです。
『冨士屋製菓本舗』北野登己郎・代表取締役「どうしても…、節分の時に売れ残ったりするというのは、心が傷みます。それが商品としてみなさんに喜んでもらい社会貢献できるなら、これ以上会社として喜ばしいことはないです。」
『亀井堂総本店』六代目・松井隆昌さん「ただ安売りをするのではない、というところが大きなポイントです。付加価値を高めていけるんです。パートナーとして、ただのロスでなく、新しいものを生み出した時にそれを顧客に伝えていただく。これは我々だけでは足りない部分ですので、『ロスゼロ』を通して、多くの方の目に触れるというのは大きなチャンスだと思います。」
文さんのオフィスに陳列されていたアクセサリーは、実は、『ロスゼロ』の原点なんです。
結婚出産を機に、独学でヘアアクセサリーのネット販売をスタート。17年をかけてノウハウを身につけました。その中で出会ったのが、『ヘアアクセサリーのロス』。それを発展途上国に提供すると、予想外に反響があったということです。『モッタイナイものを笑顔へ』。これをきっかけに食品ロスへの活動も始めました。
文さん「”ロス”ってちょっとネガティブワードですけど…(余りモノというイメージを)全面的にポジティブに、ワクワクするようなショッピングをして頂いて、結果的に社会課題に参加しているような『巻き込み型』にしたいです。経済的な合理性も持ちつつ、企業としての存続、持続可能性を持ちたい。Win-Winになったらいいなと思います。」
実際にオフィス用のお菓子として購入されているという弁護士さんの元へ伺いました。大阪市内で勤められている弁護士の寺田有美子さん。半年ほど前から、オフィス用のお菓子としてロスゼロのお菓子を導入しているそうです。
事務職員・大伊涼子さん「『ロスゼロ』さんという存在を知らなくて、普通においしいお菓子として食べていました。」
寺田弁護士「弁護士会館で会議がある時やホームパーティーに、持ち寄りのお菓子で持っていくと話題作りに目立っていい感じです。」
『ロスゼロ』が今後、目指すところは…、
文さん「モッタイナイものを削減しようとしている行政やベンチャーや大きな事業会社などと提携し、ソーシャル的なインパクトを『ロスゼロ』としては持つというのが目標です。子供たちの為にも”循環型社会”がきっちりくるように自分が役立てられたらいいなと思っています。」