〈ならやま研究パーク(奈良市)にある『ATOUN』〉
新実アナ「”着るロボット”を生み出したのが、こちらの会社です。」
『ATOUN』藤本弘道・代表取締役社長(48)「この中で開発しています。(Q.この中で開発?)平屋で和風のおしゃれなオフィスなオフィスですね。
見た目は古風ですが、中に入ると…
新実アナ「お?早速ですね」
藤本社長「パワードスーツっていう人間の力を何倍にも増幅するようなロボットです」
新実アナ「めちゃくちゃ滑らかな動き!僕の手、掴んでもらってもいいですか?」
社員さん「やめたほうがいいと思います。握力だけで300kgほど出ますので」
新実アナ「藤本さんはお好きだったんですか?元々こういうロボット?」
藤本社長「SFが好きだったので、これ昔、エイリアンを倒したパワーローダーというやつにすごく似ているんですよ」
子供の頃から大のSF好きだった藤本さん。一度はパナソニックに就職したものの夢を追いかけるため、社内のベンチャー制度を利用して企業を決意!2003年、念願のロボット開発会社「アトウン」をスタートさせました。
藤本社長「このロボットは、建設とか災害救助とかそういったところで使えたらいいなと思って研究はしていますけれど、実用というのは10年、20年先の話やと思います。」
新実アナ「まだ、このロボットは研究段階なんですか?もし、販売されるとしたらどれくらいですか?」
藤本社長「今やったら3億円くらい欲しいですね。」
新実アナ「ウソ?ちょっと想像していたのとケタが2コくらい違いました。」
それくらい研究費と時間が費やされているんです!そして今回の本命、”着るロボット”はすでに販売が開始されている「アトウン・モデル・ワイ」。
新実アナ「先ほどのロボットと比べると、非常に小ぶりですね?」
藤本社長「そうですね。腰につけて作業を楽にするタイプのパワードウェアになります。(Q.片手でも持てますね)4.5kgです。先ほど見ていただいてようなパワードスーツというのが”力持ち”になる装置。こちらのパワードウェアというのが、”作業が楽になる””装置物。流など重い荷物を持ち運ぶことが多い分野向けのロボット、装着してみると体にぴったりフィットします。
(重さ20kgのビールケースで試してみると…)
新実アナ「コレでそんなに楽になりますかね…、うぉ?!楽です!」
藤本社長「ビールケースの上げ下げをずっと繰り返していただくと、より効果を体感できると思います。」
(一方、電源をOFFにすると…)
新実アナ「はい、うわっ!腰に一気にガクンと重みが来ましたね。」
ポイントは、腰と太ももをつなぐこのアーム。腰の動きをセンサーが捉え、モーターの力でアームが稼働。最大で10kg分の力をアシストしてくれるんです。
藤本社長「実際に現場では、もっと荷物が遠くにあり変な取り方をせざるを得ないが、そういう状況でもアシスト可能です。(Q.販売状況は?)半年ちょっとで、250台近くの受注がありました。」
奈良の南都銀行では、硬貨や書類の運搬作業に利用していて、日本航空でも手荷物の積み下ろしに大活躍!今回、このロボットを導入した尼崎の食品リサイクル会社で実際に話を聞いてみました。
男性社員「一番重い一斗缶で20kgくらいあると思います。腰の負担が一気に軽くなります。」
男性社員「着けているのと着けていないのとでは全然違いますね。私は(以前に)腰を痛めたりしているので助かります。」
物理的な負担が減るだけでなく、作業時間短縮にも効果的!社長によると、さらなるメリットも…
『浜田化学』岡野嘉市・代表取締役「頑丈な男の人でしかできなかった仕事が、普通の女性やちょっと体力の落ちた高齢者の方でもできる仕事に変わります。この先、将来的には若年層の方の採用が非常に難しくなっているので助かります。」
現代社会が抱える問題を解消することが期待されるパワードウェア。2018年の『ロボット大賞』では、優秀賞に選ばれています!
新実アナ「ロボットは人の仕事を奪ってしまうんじゃないか、コレからの時代、そういう風に思っている人も多いと思うんですけど?」
藤本社長「我々は人間がもっともっと活躍できるようになって、ロボットと一緒に働く未来っていうのが存在すると思っています。」
新実アナ「ロボットは人間の職を奪わない。人間が活躍する場を増やすのだ…ということですね」
藤本社長「だから、今はヒューマノイドの1.0かもしれないし、コレが1.2とかってバージョンアップしているんですよね。だけど、ロボットと一緒になれば、いきなり2.0になれるんです、ヒューマノイド2.0。自分自身がロボット使えば2.0になれる。(Q.急にオタク感が出ますね?)SFオタクですからね…」
子供の頃から持ち続けている未来への夢。重要なのは、ビジネスだからとそれを諦めるのではなく、いかに社会が求めるものとマッチさせるか!そのような考えを持っているのは社長だけではありません。
社員の中野基輝さん(35)「入社は7年前です。」
藤本社長「で、その時にいきなり”巨大ロボをやりたいんだ”と言っていて、こちらはキター!っていう感じでした。」
新実アナ「どうですか?商品として売っていかないといけない、事業が回っていかなければという両面も。現実の部分と夢の部分とあると思うんですけど?」
中野さん「そこは時間をかけて作っていきたいなと思っています。」
新実アナ「諦めてないんですね、やっぱり?」
藤本社長「夢を肯定するところからスタートしようという風に考えていますね。(Q.できない理由を言うのではなく?)できない理由なんか言うとイノベーション起こらないですからね。ずっと大事にしている言葉で”想像できるものは創造できる”っていう。イメージできるものはクリエイト(創造)できる、それが行動力というか、モチベーションの源泉になっているんです。」
新実アナ「創造できるものは、創造できる、作れる?」
藤本社長「絶対作れます」コレこそが”ものづくりの原点”!そのように感じさせられる一言でした。」
最後に、開発中の最新パワードウェアを特別に見せていただくことに。
藤本社長「コレは体に着用することで歩いている時の負担を減らす装置になります。」
キーワードは歩くことによる健康増進!支援だけでなく負荷をかけ、トレーニング用としても使えるんです。
新実アナ「階段の上りが楽!分かり易い。コレは僕でも影響感じるわけですから、もっとお年寄りとか?」
藤本社長「そうですね高齢者とか、この前97歳のおばあちゃんに着けてもらったんです。本当に久々に歩いたので泣きはったんですよ。『もう死ぬ前に歩けてよかった』と。その場に立ち会ってて技術者やっててよかったって思ったんです。」