夫や交際相手に青酸化合物を飲ませ殺害した、などとして死刑判決を受けた筧千佐子被告の控訴審が、3月1日から大阪高等裁判所で始まります。
2月、関西テレビの記者が3回にわたって拘置所の千佐子被告と面会しました。
そこで語られた言葉とは。
連続殺人事件の被告…時折「笑顔」で語る
【記者と面会する千佐子被告】
「しゃべってたら元気です。しゃべってなかったら元気じゃない。私が早く死刑になるのを待ってはるでしょ?」
大阪拘置所の面会室に姿を見せた筧千佐子被告(72)。
連続殺人事件の被告人とは信じがたいほど時折笑顔を見せながら語り続けました。
事件の発覚は2013年。京都府向日市の自宅で千佐子被告の夫・筧勇夫さん(当時75)が突然倒れて死亡しました。勇夫さんの遺体からは青酸化合物が検出され、千佐子被告が捨てたプランターの土の中からは青酸化合物が付着したポリ袋が見つかりました。
【逮捕前の千佐子被告】
「私が毒を手に入れる手段がないですよ。2人暮らしで亡くなった場合に、まず一番最初に疑われるのは連れ合いですよ。それを分かっていて敢えて私が殺すということをするほど、私はまだぼけてませんからね」
135日…異例の長さで混迷を極めた一審
千佐子被告の周辺では勇夫さんの他にも、交際していた男性たちが次々と不審な状況で死亡していて千佐子被告は、遺産目的で殺害したなどとして4件の殺人罪などで起訴されました。
おととし、京都地方裁判所で135日間という異例の長さで行われた一審は混迷を極めました。
被告人質問で千佐子被告は「黙秘します」と話しますが、その直後、検察側から「殺害したのは間違いないか」と聞かれると・・。
【一審・被告人質問での千佐子被告】
「はい、間違いないです」
と、一転して罪を認める供述を始めたのです。その後は「自分が殺した」と言ったり「殺した記憶がない」と言ったり発言は二転三転。
千佐子被告の「認知症」が大きな争点となりました。
弁護側は無罪を主張し、「事件当時は認知症で責任能力がなく、そもそも裁判を理解する能力もない」などと訴えましたが、京都地裁は「認知症の症状は軽い」として「死刑」を言い渡したのです。
弁護側は控訴し、争いの場は大阪高裁へ移ることになりました。
記者のもとに手紙…「面会待ってま~す」
関西テレビには、千佐子被告からの手紙が何通も届きました。
【千佐子被告の手紙】
「人こいしいです」「ほんの数分でもOKです」「面会待ってまーす」
控訴審を前に今、何を思うのか。関西テレビは拘置所の千佐子被告と何度も面会を重ねてきました。
【記者】
「また、裁判が始まりますね」
【千佐子被告】
「好きなようにしてって感じ。弁護士が決めてるし。期待してないし、なるようになれって」
問題となった「認知症」について尋ねると…。
【千佐子被告】
「自覚はあるね。認知症と言うより物忘れがひどい。こうですか?と言われたら、はいはいって言ってしまう。隠すとか嘘をつくとかじゃなくて、ほんまに覚えてない」
【記者】
「認知症で裁判のやりとりも理解してないんじゃないかって言われていますけど?」
【千佐子被告】
「それはないわ!そこまで何でもかんでもね、ぼけてないです。全部がぼけてたら逆に楽や!」
しかし、一審で二転三転した「4人のうち誰を殺害したのか」ということについては…。
【千佐子被告】
「言われたら思い出すけど、今ここに写真もないのに、いちいちこの人は殺したとかそんなん覚えてません」
そこで、被害者たちの顔写真を見せると身を乗り出して具体的なことを語り始めました。
【千佐子被告】
「思い出しますね。勇夫さんは一緒になったんです。本田さん日置さんも思い出すけど、あんまりお金がなかったね。末広さんもええおっちゃんやったね。でもね、この4人殺してないです。殺して利益があるの?って」
しかし、記者が質問を重ねると今度は全く別の証言を始めます。
【記者】
「以前は勇夫さんは殺めたと話していましたけど?」
【千佐子被告】
「うん、勇夫さんは殺めたって私言ったと思うけどね。何もないのに殺しませんよ。あの人には差別されました」
【記者】
「青酸はどうやって飲ませたんですか?」
【千佐子被告】
「薬。毒と薬は紙一重って言うでしょ?どうぞって感じで飲ませたということですよね」
【記者】
「被害者に対して、思うことはありますか?」
【千佐子被告】
「私はいつも言ってますよ。私は殺めた人に対しては責任取るし、死刑です。死刑です」
最後に「やり直せるならどんな人生を送りたいか」尋ねました。
【千佐子被告】
「それを言うんやったらはっきり言うわ。お金持ちの家に生まれて、一人の人と結婚生活を送って、再婚なんかしたくない!今は一日も早く殺してほしい。一人で何かしたいという夢も希望もありませんからね」
事件の真相はどこにあるのか。
控訴審は3月1日に開かれます。