〈滋賀県内のとある場所〉
『ウイルステージ』代表取締役・大谷洋士さん(51)「ウイルステージの大谷と申します。」
新実アナ「大谷さん、陸上養殖をやられていると?今までにない形で!建物の中ですか?」
大谷さん「この1階なんですけど」
その養殖場は、とある部屋の中にあるそう…。
新実アナ「え、こんなスペースで?あ、いるいる!」
大谷さん「フグとヒラメを一緒に飼育しています。(フグ?ヒラメ?)私どもの一番のポイントは、一切排水をしないで同じ水を循環させて魚を飼い続けています。(同じ水を循環させて?)これでもう半年以上、一度も替えていない水なんです。
一般的な陸上養殖では、外部の水源から常に新しい水を取り込まなければならないのですが、ウイルステージでは、特殊な水質浄化システムを使って水を循環させ続けているんです。
新実アナ「ここに、なんか機械というかタンクみたいなものがありますが…?」
大谷さん「一番肝心な場所。この中は特殊な弊社が特許を持っている構造になっていて、その中で水の浄化をやっています。」
新実アナ「(覗いてみたが…)何もわからないですよ…」
ウイルステージの中核事業となっているのが、このシステムを使った水の浄化作業。京都・平等院の阿字池や鎌倉・円覚寺の妙香池など、全国の名だたる場所で実績を残してきました。そして新たな試みとしてチャレンジした『陸上養殖』。そこには、これまでの常識を覆す画期的な特徴が!
大谷さん「水の浄化能力が高いシステムなので、環境が悪くならないから、そもそも魚が病気にならない。水質が悪化すると魚はすぐに体調を崩して病気になるんです。それを治すために薬を使うんですけど、そういうことがないので、いわばずっと”オーガニック”な飼い方ができているんです。(オーガニックな魚?)安心してお刺身で食べていただけるんです。」
さらに、コスト面でも…。
大谷さん「今に至るまでで、水道代は3千円弱くらいしか使っていません。半年で。(半年で水道代3千円?)電気代は電球4個がずっと付いているくらいで終わりです。」(一般家庭でも飼える?)飼えると思います、お風呂で。(イメージとして)”お母さん、ヒラメ取ってきて”と言ったら風呂ですくってくるというのができるような…」
大谷さん「滋賀県の場合は、日本で最も”排水規制”が厳しいんです。」
新実アナ「琵琶湖があるから?」
大谷さん「このやり方(循環システム)をやることで、滋賀の名物になるような高級魚を飼えないかなと、始めてみました。」
新実アナ「滋賀県産のヒラメ、フグを作りたいと?パッと言われたら、うん???ってなりますよね…」
大谷さん「そうですよね。海はないんですけどね。」
とはいえ、養殖に関しての知識があったわけではありません。そこで手を結んだのが立命館大学!実は、この養殖施設も大学の一室を使っているんです。
大谷さん「今、IoTというインターネットを使った技術で、スマホを使ってエサやりや、水槽のモニタリングが出来ます。」
最先端の技術を惜しむことなく投入!これも産学連携ならではの強みです。
大谷さん「何万匹くらいまでなら、このシステムを使えば1人で管理できます。」
新実アナ「大学が協力するということは、大学側も将来性を当然見込んでいる訳ですよね?」
大学は、今後の展開をどう考えているんでしょうか?
立命館大学常務理事・建山和由教授「まだ今、構想段階なんですけれども、大学の食堂で学生たちがそれ(養殖したフグやヒラメ)を昼食で楽しむとかですね、国内ではそういうものを流通、普及させていくのと、さらに言えばそれを海外にも展開していける。そういうところを目指していけたらいいなと思っています。留学生呼んだり外国人が学ぶ仕組みは、一定、我々ノウハウ持ってますんので。」
一番気になるのは、やはり味!実際に、食べさせていただくことに…
〈京料理『貴与次郎』〉
案内してもらったのは、京都にある料亭”貴与次郎”。高級老舗旅館として名高い”柊屋”で料理長まで務めたという堀井哲也さん(49)にヒラメをさばいていただきました。早速いただきます!
新実アナ「うん、とてもしっかりした歯ごたえもあって、旨味がじわ~っと出てきます。おいしい。」
大谷さん「さばいてすぐは、そんなには旨味が出ないんですけど、なぜかうちのヒラメは甘みがあってうまいんですよ。これから大学の先生方ともう少しメカニズムを研究してもらう必要があるのかなと思うんですけど…」
〈天然モノとの味比べ〉
与えられたミッションは2つ!それぞれの味の違いをリポートし、どちらが陸上養殖のヒラメかを当てること!いざチャレンジです。まずはAのヒラメから…
新実アナ「あ、結構歯ごたえが強いな。噛んでいけばじわじわと旨味も出てくる。プ~ンと磯の香りがする気がします。」
続いてBのヒラメ…
新実アナ「ふん、ふん、コレもしっかり弾力があります。嫌な臭みとかが全然なくて、まろやかな甘みがきます。(Bが陸上養殖で)間違いない!」
天然モノは、季節によってものすごくうま味が増す時期があるとのことですが、一年間を通じて安定的に高品質のうまみを提供できるのが、陸上養殖の強みだといいます。
新実アナ「一流の料理人の方は、(食材の)作り方も含めて懐疑的な印象は持たれなかったですか?」
堀井さん「やはり、みなさんに健康なものを食べてもらいたいというコンセプトに、キュンときました。高級食材をもっとリーズナブルな価格でもっとみなさんに食べていただきたい。ものすごくいいと思うんですよね。」
料理人の立場から、魚の美味しさを引き出すポイントを教えてもらったところ…
大谷さん「さばいていただいた時の身の状態に影響が出るというのが露骨に分かったんです。その辺りの工夫を積み重ねて今の状態まできたので大変私は感謝しております。」
新実アナ「水の浄化技術が日本の食を今後を変えるかもしれないですね。」
大谷さん「一助になれば嬉しいです。」
堀井さん「常にワクワクです。」