■リコールの対象は自動車メーカー8社 383万台に
自動車部品最大手・デンソー製の「燃料ポンプ」の不具合が相次ぎ、リコールの対象は自動車メーカー8社383万台にまで広がっています。中には、救急車やタクシーも含まれていて、車を持っていない人にも影響が及ぶ問題に発展しています。
380万台以上という大規模なリコール、修理まで時間がかかる中、このまま車に乗って大丈夫なのか?リコールとは関係ない人への影響についても、交通事故鑑定人の中島博史さんに詳しく聞きます。
リコールの対象となるのが、主に2017年から2020年に製造された車です。ホンダのN-BOXやフィットなどダイハツのムーヴ、タントなど、そして、トヨタのノア、ヴォクシーなどとなっています。こちら以外にもリコール対象の車はありますので、メーカーのHPなどでご確認ください。 今回のリコールどうご覧になっていますか?
【交通事故鑑定人 中島博史さん】 「対象車種がこれほどの台数になるという、そんな大規模なリコールというのは、かなり驚いています。基本的な部品なので多くの車種で使われているということが原因だと思います。これほどの規模になるというのは、やはり珍しいですね」
■自分の車がリコール対象だったらどうすればいい?
気になるポイントとしては、生活必需品ともされる車が、修理に1カ月待たなければならない人もいるという状況となっており、このまま乗っても大丈夫なのでしょうか?
【交通事故鑑定人 中島博史さん】 「最悪の場合エンジンストール(エンスト)を起こしてしまう部品ですので、大丈夫と言い切るのは難しいです。ただ現実問題として、乗らないというわけにはいかないと思いますので、こういうトラブルが起きうるということを考えつつ、運転してほしいと思います」
どうしても乗らないといけない場合に気を付けるべきことはどのようなことでしょうか?
【交通事故鑑定人 中島博史さん】 「燃料ポンプと言って、ガソリンタンクからエンジンへ燃料を送る部分の部品なのですが、最悪の場合には、そこで燃料が送れなくなってしまい、エンジンストールを起こしてしまうと言われています。ですので走行中に、急にエンジンが回らなくなって、そのまま減速してしまうというようなことが起きます。仮にトラブルが起きたとしても、その場で車が急激に止まってしまうというようなものではないので、気づいた時点で、ハザードランプをつけて、路肩に寄せるぐらいの勢いがある状態で、運転できるのではないかと思います」
例えば走行距離が長い車ほど注意が必要っていうことになりますか?
【交通事故鑑定人 中島博史さん】 「実際に発生する条件がかなり複雑と言われているんですけれども、やはり劣化が関係する事なので、古い車の方が注意した方がいいと思います。ただ新しいからといっても、当然リコールの対象となるということは、部品を交換しなくてはいけない状態なので、新しいから自分は大丈夫というような過信は禁物です」
■自分は大丈夫と思わない「追突事故に巻き込まれる恐れ」あり
今回の大規模リコール、対象車に乗っている方以外にも、影響が広がっています。 救急車、パトカーなどの緊急車両にもリコール車両が含まれており、さらに、レンタカーにも対象車が含まれています。 さらに、「追突事故に巻き込まれる恐れ」がある、と中島さんは警鐘を鳴らしています。
【交通事故鑑定人 中島博史さん】 「最悪の場合、エンジンストール(エンスト)を起こしてしまうということなので、前を走っている車が対象車だったりすると、急に減速をして止まってしまうという可能性があります。自分の車が巻き込まれない、自分が事故を起こさないためにも、やはり車間距離をきちんと確保して、前の車が何かトラブルで止まったとしても、それに衝突しないように安全を確保するという運転が、特にこれから年末にかけて、急ぎたくなる心理があると思いますが、やはり安全第一で車間距離を守るということをしてほしいと思います」
■リコール対象車じゃなくても運転の時には注意が必要
視聴者からLINE質問がきています。
‐Q:不具合になる前兆はありますか?
【交通事故鑑定人 中島博史さん】 「燃料タンクの近くで回転しているプロペラなので、本当に燃料が来なくなるまで、気づくのは難しいと思います。音にしても、車が走ってる時に音がするので、擦れるような音を感じるということも難しいと思います。(では、前兆はほとんどないと思った方がよろしいですか?)そうですね。前兆として気づくというのは、非常に難しいと思います。おそらく事実上無理だと思います」
‐Q:リコール車で事故した場合の責任はどこにありますか?
【交通事故鑑定人 中島博史さん】 「今回のトラブルは最悪の場合でエンジンが止まってしまうというトラブルです。ですので、直接の事故の原因にはなりにくいものです。車が止まってしまったからといって、それに追突していいわけではないので、リコール車が事故を起こす可能性はあまりないと思います。やはり、トラブルが起きて止まってしまったところに、追突されるという危険が高いですけれども、その場合には当然トラブル等があって車が止まっている可能性というのは、運転する人は責任を持って、確認をしなくてはいけないので、ほぼ追突した側の全面的な責任になると思います」
運転をするときにはしっかりと車間距離をとるということが大事だということです。 年末年始は、車に乗る機会も増えますから、くれぐれもご注意いただきたいと思います。
(関西テレビ「newsランナー」2023年12月18日放送)