■会議2日目 海外パビリオンの建設準備は加速するのか…
大阪・関西万博への参加を表明しているおよそ150カ国などが一堂に介する国際会議が、14・15日の2日間にわたって開かれました。
2日目の15日は、パビリオンの建設に向け、より実務的な内容が個別に話し合われています。会場には、海外パビリオンの着工や建設に必要な準備、それに各国が抱える課題などについて個別に相談に応じるブースなどが設けられています。
こうした相談ブースが必要とされる理由に、建設の遅れがあります。独自パビリオンの建設を当初目指していた60カ国のうち、建設業者が決まったのは24カ国のみです。既に4カ国が独自建設を断念したほかメキシコが出展そのものを取りやめているため、いまだ31カ国が建設業者すら決まっていない状況です。
大阪・関西万博の開幕まであと515日。博覧会協会としては、この会議で海外パビリオンの建設準備を加速させようと躍起です。
【博覧会協会 櫟 真夏副事務総長】
「一つ一つの国の具体的な課題、要請を真摯に受け止めて、私どもも寄り添いながら出展に向けた準備を進めて行きたい」
■“独自の工夫”で順調のイタリア
こうした中、“独自の工夫”で順調に準備を進めている国も。
【イタリア政府代表】
「スケジュール通りに動いています。建設ももうすぐ始まります」
イタリアが建設するのは、ルネサンス時代の劇場や庭園などを再現したパビリオン。屋上にはイタリアの食事を楽しめるレストランを作ります。
建設準備が順調なワケは…
【イタリア政府代表】
「プロジェクトを始めたとき、コストの話もあったし色々な材料が高くなるから。変えやすい形のパビリオンを作ろうとしていました」
参加国の多くは、デザインを決めてから建設会社を選んでいます。一方、イタリアは、デザイン段階から日本の建設会社と相談することで、予算内で実現可能なパビリオンを探りました。12月にも建設を開始したいとしています。
【イタリア政府代表】
「初めから日本側も一緒に座って『これはできない』とか、『これをしたら?』と提案がたくさん出て、その方がいいです。『私たちのプロジェクトこれです』、『作ってください』というのは、今の状況では難しい」
■スイスは大阪に領事館を開き準備を加速
そして、2023年2月に一番乗りでパビリオンのコンセプトを発表したのが「スイス」です。11月新たに、大阪市に領事館を開設し、万博の拠点としても活用できるよう準備を加速させています。
スイスは、合成樹脂を使った「万博史上最も軽いパビリオン」を作る予定で、屋上にはハイジと会えるバーも計画しています。
準備を進める中で他の国と同じく資材高騰などの課題に直面。日本側から建物を建設代行して引き渡す「タイプX」も提案されたということですが…
【スイス政府代表】
「タイプXは万博の本質が変わってしまう。私たちは、パビリオンのバックヤードなどで、いくつか規模を縮小するなどして、予算に収めました。来場者から見える部分は、全く変わりません」
■懸念は「島へのアクセス」
その一方で、ある懸念も…
【スイス政府代表】
「これまでの万博と違って、アクセスが限られた島(夢洲)で、各国が一斉に工事を始めるというのが課題になるのは明らかです。“物流”がカギになるでしょう」
今回、明らかになった各国の準備状況の差。それぞれの国の事情に応じた支援がパビリオン建設の加速につながるカギとなりそうです。
(関西テレビ「newsランナー」2023年11月15日放送)