開催までまもなく500日となる大阪・関西万博。14日から参加を表明している国などが一堂に介する初の国際会議が始まりました。海外パビリオンの建設の遅れが懸念される中、各国の準備状況はどうなっているのでしょうか?
■大阪・関西万博の参加国が世界各地から集結 国際会議始まる
大阪・関西万博への参加を表明しているおよそ150カ国などが一堂に介した国際会議が、14日から始まりました。大阪市内の会場は世界各地から集まった万博の担当者でにぎわいました。
会議の重要な目的は、海外パビリオンの建設遅れの解消です。
万博の「華」と呼ばれる、参加国が独自で建設する海外パビリオン。大阪・関西万博では、当初は、60カ国が56の独自パビリオンを出展する予定でした。
【セルビアの担当者】
「今はスケジュール通りと考えています。もちろん課題もありますが…。過去の万博の経験から、最終的にはうまくいくと思います」
準備が順調に進む国があるとはいえ、現時点で建設会社が決まっているのはわずか24カ国。資材価格や人件費の高騰で焦りを募らせる参加国も少なくありません。
【ポーランドの担当者】
「ゼネコンを見つけるのがすごく大変で、建材の確保ができるか…。間に合うかどうかすごく心配しています」
【ネパールの担当者】
「資材高騰が10パーセントを超えるとなれば、(独自パビリオンを)断念することになるかもしれない。(Q.資材高騰でパビリオン変更を考えるということ?)ネパールだけではなく、他の国もそうなるでしょう、やはり予算に影響を与えることになるので」
こうした懸念に対し、万博の運営主体である博覧会協会は、展示や内装を手がける業者との商談の場を設けるなどして、円滑な建設につなげたい考えです。
■メキシコやエストニア…独自パビリオンの建設を“断念”した国も
一方、独自パビリオンの建設を既に断念した国も…
【ブラジルの担当者】
「ブラジルは既に、タイプX(博覧会協会が建設を代行する簡易施設)に変更することを決めました。不運です。国際的に建設資材の事が注目されているし、計画通りに行かないです」
また、ナイジェリアも関西テレビの取材に対し独自建設を断念する意向を明らかにしました。
そんな中、自見万博担当大臣は…
【自見英子万博相】
「エストニア、メキシコからそれぞれの国内事情により、参加を辞退したいとの正式な通知がありました」
参加を辞退する国が2カ国出たことを明らかに。一方で、カメルーンなど新たに4カ国が参加することも分かりました。
15日も行われる国際会議。この2日間で、各国が抱える課題はどの程度解消できるのか注目されます。
■日本のサポートがあっても「手遅れ」と語る国も
【沖田菜緒記者リポート】
メキシコ・エストニアが、万博から撤退することが明らかになりましたが、他にも驚きの話が入っています。14日、関西テレビ取材班は、およそ20カ国の代表に話を聞きました。
「タイプA」という、独自で大きなパビリオンを建てる予定のアメリカやベルギーなどは、順調に準備が進んでいる印象です。一方で、「タイプA」の、とある国が匿名を条件に「状況次第では撤退も視野に入れている」と明かしました。
この国は、現時点で建設会社が決まっていないため、パビリオンの規模縮小を考えていて、今後の状況次第では、撤退も視野に入れています。「日本側からどのようなサポートがあれば、進みそうですか?」と聞くと、「もう手遅れです」と話していました。
–Q:手遅れという言葉は衝撃的ですが、他に国も含めて建設は間に合う?
万博開催まで、14日であと500日ほどなのですが、タイプAの工事を始めている国は、一つもありませんでした。14日にプロジェクトが順調に進んでいるとポジティブに話したベルギーでも、2024年1月に始めるとのことでした。
建設会社が見つかり、比較的順調に進んでいるスイスからも「夢洲という島での工事はアクセスも限られ渋滞が予測されるため予定通りに工事が進むかは全く分からない」と懸念の声もありました。
こうした声を総合すると、開幕しているのに、まだ工事が続いているとか、当初の計画よりも、空き地が目立つ万博になることも十分考えられると思われます。
ホスト側である日本は、ここで、各国の課題を受け止め、少しでも不安を取り除けるよう努力する必要がありそうです。
(関西テレビ「newsランナー」2023年11月14日放送)