両チーム1勝1敗となり、白熱する日本シリーズ。阪神とオリックスで活躍された超人・糸井嘉男さんに、ここまでの2試合についての解説と10月31日からの甲子園球場での対決の行方を聞きます。
1戦目は、8対0で阪神が完封勝利、2戦目は、逆に8対0でオリックスが完封返しで、2戦でこのような展開になるのは珍しく、誰もが予想できない展開となりました。
■第1戦 ヒーローは先発の阪神・村上投手
第1戦は阪神がオリックスを8対0で制しましたが、なんといってもヒーローは先発の阪神・村上投手ではないでしょうか。7回無失点、日本シリーズという大舞台にもかかわらず自己最速の152kmを記録しています。
【糸井嘉男さん】
「集中力がすごかったです。山本由伸投手と同級生なので負けられないという気持ちがすごく伝わってきましたね。(Q.テンポも良くてすごくひょうひょうと投げていませんでした?)はい。コントロールもシーズン中と変わりなく絶妙な所を突いて、完璧な投球でした」
オリックスの絶対的エース山本由伸投手への対策が注目されていましたが、対猛虎打線が爆発しました。 岡田監督は試合後、「山本対策はストレート狙い一本勝負や」と話していました。
山本投手の攻略に関して、先日の番組で糸井さんは「“日本のエース”ですから、絶対的エースなんで攻略するのは難しいですけど、人間なので“何が起こるか分からない”」と話していました。
【糸井嘉男さん】
「野球は何が起こるか分からない、ここがおもしろいですよね。まさにそういう展開でした」
■勝利のポイントは“サトテルの盗塁”
この阪神の勝利のポイントは『奇襲!? 5回表、サトテルの盗塁』です。盗塁が得点につながったのではないかとのことです。
【糸井嘉男さん】
「(山本投手の投球は)見たことない球筋ですし、変化球も鋭くて、打ち返せるのかな?と思っていたんですが、攻略するためには足を使ったりする必要があると思っていたら、初球からランナーが出て、佐藤選手が行った。あれで流れがかなり変わりましたし、山本投手のボールもちょっと上ずってきましたね。これはやっぱり作戦勝ちなところがありますね」
見事な盗塁でしたが、この盗塁が勝利を呼び寄せたというのは?
【糸井嘉男さん】
「初球から行ったということは、(ベンチから)何らかのアクションがあって、初球から100%いけるという、絶対に盗塁ができるという根拠が何かしらあったと思います。阪神はそういう観察力がすごいんです」
何とか山本投手を攻略するためにデータを集めたり、チームが一丸となったという作戦勝ちということですね。
【糸井嘉男さん】
「それぐらいしないと、山本由伸投手は攻略できませんから」
■第2戦はオリックス勝利 宮城投手はベテランのようなピッチング
続いては、第2戦を振り返ります。前日とは全く逆のスコアとなりオリックスが勝利しました。
オリックス先発の宮城投手は、6回無失点の好投。珍しく力強いガッツポーズも見られましたけども宮城投手のどのあたりがよかったですか?
【糸井嘉男さん】
「若い投手なのにベテランのようなピッチングをしますよね。テンポもいいですし、完璧な投球をしましたね」
宮城投手はまだ22歳、プロ4年目ですよね。そして山本選手に憧れていているということで、前日、山本投手が負けてしまって“仇を取る”というような思いがあったのかもしれません。
また阪神では3番を打つルーキーの森下選手が、まだ調子が出てきてないように思えますがどうみていますか?
【糸井嘉男さん】
「結果は出てませんけど、しっかりスイングできているので、タイミングもばっちり合ってますし、もう若干少しのズレがあるぐらいで甲子園に帰って微調整できると思うので(オリックスにとって)怖いバッターですよね」
■京セラドームがファンで真っ二つに!
選手を後押ししたのはファンのみなさんです。
第1・2戦は京セラドームがオリックスファンと阪神ファンで真っ二つになりました。応援合戦のような熱い空間になっていたそうです。
京セラドームはこのようになりましたけど、甲子園球場はどのようになりそうでしょうか?
【関西テレビ 神崎博報道デスク】
「甲子園は今まで通りのチケット販売方法ですので、ビジターサイドとしてオリックス側は1カ所ぐらいになってしまって、あとは阪神ファンで埋まるんじゃないかなと思います。なぜ今回、京セラドームがきれいに半分になったかというと、普通に販売すると阪神ファンにとって京セラは第二のホームみたいなものなので、阪神ファンに埋め尽くされてしまうのではないかと危惧して、チケットの販売方法を工夫してオリックスファン用のシートを作って、オリックスファンに多く来てもらえるように、かなり考えた上で販売したそうです。オリックスファンも応援につめかけてきてくれたので半々の状態になったということです」
■第2戦の勝利のポイントは“ナカジマジック”
オリックス勝利のポイントは『これぞ、ナカジマジック!スタメンを刷新!』です。スタメンの9人中8人を変更しました。3人が入れかわり、さらに打順も頓宮選手以外はかわっています。
【糸井嘉男さん】
「2番西野選手はスタメンでもなくベンチ外でしたから。その西野選手が先制打を生みましたね。1番中川選手も打ちましたし、廣岡選手も。このように選手のモチベーションを上げるのがナカジマジックじゃないかなって思いますね」
普通だったら初戦に出てなくて、2戦目からの出場となると緊張しそうなものですが…。
【糸井嘉男さん】
「緊張じゃなくて、『よし、きた!』と思えるように、1シーズン通してナカジマジックでやってきているので」
選手としても、準備ができているということですね。
【糸井嘉男さん】
「スタメン発表を選手は楽しみに見てると思いますよ」
■今後カギとなるのは…オリックス森友哉選手、阪神は佐藤輝明選手
1勝1敗となった関西ダービーですが、気になるのはこれからの流れがどちらにあるのか、です。10月31日からは、第3・4・5戦は阪神のホームの甲子園球場で試合が行われます。そして、6・7戦は、ふたたびオリックスの本拠地、京セラドームに戻ります。どうなると思いますか?
【糸井嘉男さん】
「7戦目までいくんじゃないですか?」
そこまでの接戦になるだろうと、先日もお話しされていました。7戦目はカンテレの中継もあります。
31日からの甲子園での3連戦でカギになる選手は?
【糸井嘉男さん】
「カギになるのはクリーンナップかなと思います。クリーンナップを打ってる、オリックスの森友哉選手、阪神は佐藤輝明選手。そのあたりの打点がカギになるのではないかと。ここ2試合は佐藤選手の満塁からのサードゴロの打点1こだけなんですよ。両チームともクリーンナップではないので、それがクリーンナップでタイムリーが出たりホームランが出て打点がついてくると、より勢いが増してくると思います。野球は主軸がどしっとしていないとね」
さまざまお話し聞いてきましたが、最後にこれだけは聞きたいのは「日本一になるのはどっち?」です。
【糸井嘉男さん】
「どっちもがんばれ!まだわからないですよ。まだまだ楽しませてほしい」
■甲子園の阪神ファンの大声援、影響は?
視聴者からのLINE質問です。
‐Q:甲子園の阪神ファンの大声援になると、オリックスの選手のプレーへの影響はある?
【糸井嘉男さん】
「甲子園ではかわいそうなぐらい阪神ファンの割合が多くなる日もあるので…。僕はそれが力になりました。オリックスが打つと(歓声が)悲鳴に変わるんですよ。それがたまらない時がある」
何を言ってるか聞こえてるんですか?
【糸井嘉男さん】
「めっちゃ聞こえてます。聞いてます。名物だから」
‐Q:糸井さんが阪神の監督なら、0-8の負けから、どうチームを建て直して行きますか?
【糸井嘉男さん】
「しっかりと切り替えます。大差で負けているので切り替え易い。諦めやすい。良い負け方というとあれですけど、切り替えやすい負け方ですよ」
まだまだ楽しませてもらえそうですね。日本シリーズの盛り上がり、今後さらにヒートアップしそうです。
(関西テレビ「newsランナー」2023年10月30日放送)