「子どもだけの留守番は虐待にあたり禁止」そんな条例案が、埼玉県議会で議論されています。可決されたら「虐待」の範囲を大きく広げることとなり賛否の声が上がっています。大阪市民の声を取材しました。
4日、埼玉県の自民党県議団が県議会に「虐待禁止条例の改正案」を提出しました。
そこに書かれていたのは…「児童を住居、その他の場所に残したまま外出することその他の放置をしてはならない」。
【埼玉県議会 小久保憲一議員】
「当該児童が熱中症や事故、誘拐、火災、転落などの状況にあう可能性があり児童の放置をなくす取り組みを構築する必要性がある」
放置された児童の死亡事案が多発していることを受け、改正案では、保護者などの大人が小学3年生以下の子供を、車や自宅に残したまま外出すること公園などに放置すること子供だけで集団下校することなどを禁止としています。議会内では慎重な意見も…
【埼玉県議会 伊藤はつみ議員】
「禁止する内容があまりに広すぎることから特にワンオペ育児で苦しんでいる擁護者などに過度な負担を強いる結果となりかねないと」
埼玉県議会では、賛成が過半数を超えていて13日の議会で可決されれば、全国で初めて「置き去りの禁止」を明文化した条例が2024年4月1日から施行されることになります。これを受け、埼玉県に住む子育て世代は、困惑の色を隠せません。
【埼玉県在住・3歳児の母森島聖子さん(40)】
「えっ? と思って、まず、正直、そんなこと可能なのかなって思いました。もう少し子供が大きくなったら復職しようとは思っていたのですが、しづらくなるなと。どういう対策していくかというのをきちんと説明があった上でのそういうの(条例)であればいいと思うんですけど、急にこういうことがあります、はいじゃあ可決されました、じゃあ施行しますって言われてもなんか戸惑いしかない」
この条例がもし大阪でも施行されたら?街では賛否の声が…
【小1と小5の親(40代)】
「賛成かな。3年生までだったら私としても不安だから、他の家族に預けたりとかどこか預けるところにお願いして1人とかでは放置しないと思います」
【小学5年の子どもは】
「反対です、理由は、いちいち大人と一緒に行くのが面倒くさいからです」
【9歳の親(40代)】
「一瞬置いちゃうとか置いていかないと仕方がない状況も絶対あるからそこを分けてほしい」
大阪市に住む鶴山りかさんは夫と共に働きながら、高校生から幼稚園児までの8人の子どもを育てていて、埼玉県の条例案なら「守るのは不可能」だといいます。
【8人の子どもの母親・鶴山りかさん】
「うちの場合は子供が多いので、ぞろぞろつれて買い物に行くのも結構大変な作業だったりしますし、帰ってくる時間が違う1年生を送りに行って、3年生を迎えに行って、また1年生を迎えに行ってとかこういうこともしないといけないのかと思うと無理だと」
埼玉県の条例案では、虐待を見つけたら通報することが義務付けられています。 以前、鶴山さんには子どもたちだけで留守番をさせていて通報された経験も…。
【8人の子どもの母親・鶴山りかさん】
「留守番をするために特訓をちゃんとしてたんですけどいきなりピンポンと児童相談所が来て、『子供だけで留守番をさせているという通報があったから詳しく話を聞かせてほしい』とか、『留守番と放置の見極めをするために子供たちがどういう状態か見せてほしい』と。すごく怖かったというか、どうして、えっ!なんで?という気持ちとがあった。小学校3年生になるまで(働くのが)難しいってなったら、ますます子ども産もうってならないかもしれないなっていう気はすごくします」
今回、埼玉県議会に提出された条例案、みなさんはどう考えますか?
(関西テレビ「newsランナー」 2023年10月9日放送)