中東のイスラエルと、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織、「ハマス」が大規模に衝突し、双方の死者が1,100人を超えました。一体何が起きているのか、現地在住の日本人に話を聞くことができました。
7日の朝パレスチナのガザ地区からイスラエルに放たれたロケット弾。
ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織「ハマス」はこの日、2200発のロケット弾でイスラエルを攻撃したほか、戦闘員が境界線を越えてイスラエル側に侵入。
地元メディアによるとイスラエル側で少なくとも700人が死亡し、兵士や市民100人以上が人質として連れ去られたということです。
これを受けてイスラエル側は正式に「戦争状態」を宣言し、報復としてガザ地区を空爆。 パレスチナ側で413人が犠牲となりました。日本の外務省によると、イスラエルやガザ地区には1200人余りの日本人が在留しています。
イスラエルのテルアビブに住む岡田隆さんに話を聞くことができました。
【イスラエル・テルアビブ在住 岡田隆さん】
「(おととい)テルアビブに向かって集中攻撃をするという情報が流れて、実際にその1時間前にそれが始まって、その時にはかなり近くで迎撃する音が聞こえたので、これは危ないと思ってシェルターに行くようになりました」
岡田さんによるとイスラエルではシェルターが整っている上、迎撃システムの成功率が96%にものぼるということですが…。
【イスラエル・テルアビブ在住 岡田隆さん】
「ただ、本当に近くで迎撃された時は衝撃波で物が揺れるんです。その時はさすがに緊迫感がありました。街中でテロがおこるとかは考えていた。しかしながらこれだけ大規模なものは私の現地の友人たちも想定していなかったという感覚ですね」
国連の安全保障理事会は8日、非公開の緊急会合を開き、各国からハマスによる民間人への攻撃を非難する声が相次ぎましたが声明はまとまりませんでした。
ハマスはなぜ攻撃を始めたのか、イスラム地域に詳しい同志社大学の内藤教授は。
【同志社大学 内藤正典教授】
「(ガザは)青空監獄と言いますけれども、もう16年ガザの人たちは外に出られないんですよ。電気もろくに来ない、清潔な水も得られない。その状況で16年耐えてきたんですから。(ハマスは)最後の一戦に出たんでしょうね。撃ったロケット弾の数が多いということもそうですけれども、ハマス側の軍事行動は極めてよくコーディネートされていて連携がとられている」
2007年から、封鎖されてきたガザ地区を解放しようと、捨て身の攻撃に出たと見る専門家。それに対してイスラエルは…。
【同志社大学 内藤正典教授】
「地上部隊・戦車などがガザに向かって進行中でおそらくガザを消滅させるくらいの勢いで攻撃するだろうと思います」
ただ、内藤教授はガザの人たちが全員ハマスを支持しているわけではないと強調。 だとすれば、イスラエルからの報復でハマスとは無関係の市民が巻き込まれる恐れがあります。また、外国人の犠牲も明らかになっていて、タイ政府によるとハマスによる攻撃で12人が死亡したということです。
イスラエルとハマスの報復の連鎖が予想される中、事態の収束が見通せない状況が続いています。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年10月9日放送)