2022年12月、大阪府堺市で、男性4人がひき逃げされ死傷した事件で大坂地方裁判所は危険運転致死傷の罪に問われた男に懲役10年の判決を言い渡しました。
危険運転致死傷の罪に問われている猪木康之被告(49)。
酒を飲んだ末に悲惨なひき逃げを起こした罪に問われています。
2022年12月27日、堺市中区。 町内会の夜間パトロール中だった男性4人が後ろから走ってきた車にはねられ、その後、車は逃走しました。 2人が死亡し、2人がケガをしました。
犠牲者の1人である大阪市の職員山中正規さん(46)は、ずっと子供たちのために町内会の活動に参加していました。
【山中さんの妻】
「子どももまだ小さいので成長を見守りたかったでしょうし、仕事でも働きざかりの年齢だったと思うのでやりたいことがあったはずなんですけどね」
ハイボールなど8杯という大量の飲酒で運転に支障が出る恐れがある中、ハンドルをにぎり、ひき逃げをしたとして逮捕起訴された猪木被告は、これまでの裁判で飲酒運転は認めるものの運転への酒の影響が定かではなく、危険運転にはあたらないと起訴内容を否認。
家族が見守る前行われた被告人質問では、飲酒運転をした理由について、「近いから。大丈夫だと思った」などと話し、「どうして衝突したのか」「亡くなった2人はどんなけがをしたか」という質問に「わからない」と繰り返しました。
【山中さんの妻】
「お酒の影響で事故が起きたか分からないと言われた時は意味がわからなくて、信じられない。『(主人を)電柱だと思った』って言って、はねて逃げた上にそんな全く理解できない発言をされるのは本当に悔しい」
猪木被告が否定する「酒の影響」はどう判断されるのか…
29日の判決で大阪地裁堺支部は「被害者に気が付かないという通常ではありえない事故。注意力、思考力、判断力が相当減退していて、その原因は飲酒以外考えられない」と指摘し、猪木被告に懲役10年を言い渡しました。
【山中さんの妻】
「危険運転だと認められたってところは(夫に)報告したい。飲酒運転してひき逃げしたら、2人亡くなっても10年はやっぱり理解ができないです。2人亡くなった殺人事件やったらもっと重たくなるのに何が違うんだろうと思う」
山中さんの妻は「このような思いをする人が私で最後になってほしい」と話しました。
(関西テレビ「newsランナー」2023年9月29日放送)