もうすぐ10月なのに、28日は各地で30度を超える真夏日となりました。静岡では観測史上最も遅い猛暑日を記録しました。異例の残暑です。彦根市の小学校では児童約30名が熱中症とみられる体調不良を訴えるなど、まだまだ熱中症にも注意が必要な状況です。
その一方で、朝晩はだいぶ涼しくなってきました。街で話を聞くと、体調がすぐれないという声がありました。その疲れ、もしかしたら「寒暖差疲労」かもしれません。専門家によると、夏の猛暑と秋の残暑で今年は特に注意が必要だそうです。
どう対処すればいいのか、明治国際医療大学の伊藤和憲教授に聞きました。
■寒暖差疲労は自律神経が弱ることで起きやすくなる
まず寒暖差疲労とはどういうものなのか。寒暖差疲労は、体温を一定に保つために自律神経を使いすぎて、疲労がたまってしまうことです。1日の中での気温差が7度以上あると特に注意が必要なのだそうです。
【明治国際医療大学 伊藤和憲教授】
「人間は体温を一定に保つようになっています。大体36度5分ぐらいに保たれるようになっています。自律神経によって、暑いと熱を放出し、寒いと血管が収縮して熱をこもらせたりしていて、この自律神経のバランスが大切ですけれども、温暖差が広くなると調整の幅が大きすぎて、急激に体を調節するので、寒暖差疲労が起こると言われています」
実際に患者さんを診ていて、最近、寒暖差疲労を訴える人は増えているのでしょうか?
【明治国際医療大学 伊藤和憲教授】
「特に昨年はコロナで外に出ていなかったこともあり、もともと自律神経の機能が落ちてる方が多くなってるので、寒暖差疲労が起きやすくなっています。また暑さが続いていて、例年よりも厳しい状態で、調整の幅がなくなって、体がしんどくなっているのではないかと思います。 今年は特に暑い期間が長いうえに、コロナもあって、自律神経が特に弱っている人が多くなっていると思いますので、注意が必要かと思います」
寒暖差疲労の症状についてまとめる、倦怠感、、頭痛、肩こり、めまい、不眠、さらに「うつ」などの症状があるということです。
【明治国際医療大学 伊藤和憲教授】
「自律神経は体温だけではなくて、いろいろなところに影響します。自律神経のオン・オフが多くなると、体が疲れて倦怠感から始まります。体温を調節するために筋肉を使いますが、筋肉を固くすることによって、体温を閉じ込める役割がありますので、寒暖差が大きい日が続くと筋肉が固まって頭痛や腰痛になったり、肩こりが起こります。また自律神経のバランスが全体的に崩れると、めまいや不眠が起きます。最終的には、集中力の低下や気分の落ち込み、ひどくなるとうつというような症状に発展していくことが知られています」
さらに、「寒暖差アレルギー」という言葉があります。
【明治国際医療大学 伊藤和憲教授】
「寒暖差疲労には自律神経が関係していますが、自律神経は免疫機能にも大きく影響しています。免疫機能の異常が生じると、アレルギーが起こり、くしゃみとか鼻水といったものがよく起こり、粘膜が過敏になったりします。さらに進むと、この時期にコロナやインフルエンザが流行しているのも、もしかしたら自律神経が乱れて免疫機能が落ちて、感染症状を起こしている可能性があります。ちょっと最近疲れているな、肩こりがあるなという方は、ウイルス感染に注意が必要かもしれません」
「(自覚症状について)普段とあまり変わらなかったり、ときどき症状が起きていたりすると、寒暖差のせいではないと考えるかもしれませんが、実際は寒暖差疲労である可能性も考えられます」
寒暖差疲労になりやすい人は、体力がない、高齢者、普段から顔がほてりやすい人などだということです。
【明治国際医療大学 伊藤和憲教授】
「自律神経の調子がベースになっていますので、高齢者や体力ない方はどうしても自律神経の機能が調整する幅が少ないのでどうしても寒暖差疲労が起きやすいです。普段足のむくみがない方でも自律神経で筋肉の硬さや循環をコントロールしていますので、もしかするとむくみが起こっていたり手足が冷えるということがある方は十分注意が必要だと思います」
■寒暖差疲労への対策と予防 耳マッサージが効果的
寒暖差疲労への対策と予防です。
・38度~40度のぬるめのお風呂に15分間入り、体を温める。
・寝る前に”さゆ”を飲むのも良い。
伊藤教授も実践しているそうです。
【明治国際医療大学 伊藤和憲教授】
「そうですね。体が冷えますと体の中心に熱が集まってきまして、逆に手足が冷えてしまうことが起こります。特に暑い昼は冷たいものを飲んでいることが多いので、内臓が冷えていることがありますので、寝る前に”さゆ”を飲んで温度を高めておくと体の中心が温まり、よく眠れたりリラックスできるんじゃないかなという風に思います」
・根菜を食べことも対策になるということです。
【明治国際医療大学 伊藤和憲教授】
「東洋医学では、土の中にある食べ物は体を温めると言われています。この時期ですとサツマイモや山芋が旬を迎えます。日本料理ではこの季節に小芋を食べます。この時期に根菜類を食べて、季節の物で体を整えるとすごく調子が良くなるという風に言われています」
最後の対策
・耳マッサージ。
伊藤教授に教えてもらいます。
【明治国際医療大学 伊藤和憲教授】
「耳はリラックスするために良いツボです。 ・まず上に引っ張る。次に横、下。強すぎると逆効果になります。 ・それからゆっくり5回ぐらい回す。 ・耳を折り曲げる。5秒ぐらい曲げて、戻す。 リラックス効果が高いので、ぜひ寝る前などにやってみてください」
他にも実践した方がいい対策や予防はありますか?
【明治国際医療大学 伊藤和憲教授】
「指のツボを刺激。爪の生え際を両サイド上から持って、痛気持ちいい程度に刺激する。薬指以外の指を刺激してください。 定期的に刺激をしてもらうのがいいと思います」
「運動で汗をかくと自律神経を鍛えることができますので、ぜひ季節がいいこの時期に運動することをおすすめします」
■この先、寒暖差が大きい日が多いので要注意
【浅田麻実気象予報士】
「9月21日から28日までの1週間だけで6日間も寒暖差7度以上の日がありました。気付かないうちに体の中に寒暖差の疲れがたまっているかもしれません。 この先、来週は最低気温がもう1段低くなりそうで、10度以上の寒暖差になる日もある見通しです。大阪の向こう1週間の気温の予想では、寒暖差が7度以上という日が続いていく見通しです。特に注意が必要なのは来週前半で、最低気温が一段と低くなり、10月3日火曜日には大阪でも最低気温が18度、昼との差が12度になる見通しです。体調管理にご注意ください」
■寒暖差疲労とかぜを見分けるのは難しい
最後に関西テレビ「newsランナー」視聴者から質問です。
Q.寒暖差疲労とかぜの見分け方は?
【明治国際医療大学 伊藤和憲教授】
「少し見極めが難しいかもしれません。寒暖差疲労は免疫力が落ちますので、最終的にはかぜをひいたような状態になりますが、疲労がメインの症状ですと寒暖差疲労かと思いますし、せきやくしゃみが出るようなら風邪だと考える方がいいかもしれません」
この先、寒暖差が大きい日が多くなる予想ですので、寒暖差疲労に十分注意するようにしてください。このところ体調がすぐれないという方は寒暖差疲労かもしれませんので、耳をマッサージしたり、15分間ぬるめのお風呂に入るなどの対策をしていただけたらと思います。
(関西テレビ「newsランナー」2023年9月28日放送)