産後パパの育休制度が始まってまもなく1年です。
男性の育児休業の取得率は、17.13%と、過去最高を更新しました。 その一方で、まだ乗り越えなければならない課題もあるようです。
育休パパの実状を知るため小森さんの一日をのぞかせてもらいました。
大阪府松原市に住む、会社員の小森将司さん(31)。 妻と子供3人の5人家族です。長男・橙也(とうや)ちゃんは、2023年8月に産まれたばかりです。 8月から育児休業を取得して、小森さんはただいま育児の真っ最中です。
【小森将司さん(31)】
「3人目(の子育て)はより一層、大変になることは目に見えていたので、自分が育休をとることで家族の負担が少しでも抑えられるなら、育休をとったほうがいいかなと思いまして、今回育休をとることにした」
■男性の育休の取得率は増加傾向にはあるが、取得率はまだ17%
国も”男性の育休取得”を後押ししていて、育休を2回に分けて取ることなどができる「産後パパ育児制度」が2022年10月にスタートしています。制度が始まってまもなく1年です。
育休中の小森さんの一日は、毎朝5時に起きるとすぐに掃除から始めて、朝食の準備や子供の送迎をします。
そして夕ごはんの買い出しや洗濯物に赤ちゃんの授乳も…赤ちゃんにゲップをさせるのも手慣れたものです。
午後からは昼ごはんの準備や、長男の定期健診など、出産後間もない妻をサポートしています。
厚生労働省が2023年7月に発表した調査によると、女性の育休の取得率は80%台を推移しています。一方で男性の育休の取得率は増加傾向にはありますが、未だ17.13%と低いのが現状です。
■パタニティハラスメントとは
取得を妨げる原因の一つとされているのが… 『パタハラ』と呼ばれる育児休業などを理由とした男性への嫌がらせです。
~『パタハラ』となる上司と部下のやり取りイメージ~
【部下】
「育児休業が取りたいんですけれども…」
【上司】
「どれくらいほしいの?」
【部下】
「1カ月くらい…」
【上司】
「1カ月!?」
部下の男性からの育休取得の申し出に対して、上司は話している間もイライラとした様子です。
厚生労働省によると男性の26.2%、実に4人に1人がパタハラを受けているという調査もあります。
■実際にパタハラを受け、育休をあきらめた人も
街で取材すると、パタハラで育休取得をあきらめた人もいました。
【5歳の子を持つ父親(30代)】
「僕はちょっと(育休を)取れなかったです。『取りたいんですけど』って言ったら、その時の上司から圧迫があったんで」
-Q:なんて言われた?
「『(育休)取った後、帰ってきてから(キャリア)はわからんで』って言われました。それ(キャリア)を考えると一歩踏み出せなかった」
■パタハラ以外にも育休取得時には不安に感じることがいっぱい
小森さんは、パタハラを受けることはなかったと話しますが、やはり様々な面で不安はあったようです。
【妻・美帆さん(37)】
「復帰したときに仕事は大丈夫なのか、休んでいる間のお金大丈夫かなとか、というのは不安がありましたね」
そんな小森さんですが育休に入る前日に、普段は会話をしない60代の先輩社員からあるメールをもらったそうです。
【先輩社員(60代)】
「子供はあっという間に大きくなります。むかし子供から『パパまた来週』と言われたことがあります。子供が寝てから帰って、起きる前に出勤していたからです。仕事も良いですが、濃密な子供との時間を持つのは人生において素晴らしいことだと思います。ある意味うらやましいです。良い経験をされてください」
【小森将司さん(31)】
「良い経験になると思いますと言ってくれたので、その言葉が励みになったと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2023年9月27日放送)