滋賀県大津市で、保護司の新庄博志さんが殺害された事件。 逮捕された保護観察中の男が、面談の際に襲った疑いがあることがわかりました。
新庄さんの支援を受けていた男性が、11日、取材に答え、新庄さんへの感謝と悔しい思いを語りました。
【保護司の新庄さんから支援を受けていた男性】「サポートしてあげるから、社会で立ち直れるように頑張っていこうって言われて、すごく助けられた人」
大津市の保護司・新庄博志さん(60)が殺害された事件。 無職・飯塚紘平容疑者(35)が、刃物で複数回刺すなどして殺害した疑いで逮捕されました。
■容疑者は、6年前コンビニ強盗事件を起こし、保護観察中だった
6年前、コンビニで強盗事件を起こして、保護観察中だった飯塚容疑者。 新庄さんは、当初から保護司として、飯塚容疑者の更生支援を担当していました。 死亡したとみられる5月24日も、面談の予定があり、午後7時ごろ、飯塚容疑者が新庄さんの自宅を訪問。 その後、数十分以内に、歩いて立ち去る姿が、周辺の防犯カメラに映っていたということです。 警察は、飯塚容疑者が、面談の際に襲った疑いがあるとみて調べています。
■新庄さんは「寄り添ってくれる人」だった
レストランなどの経営をする傍ら、長年、保護司として活動していた新庄さん。 ことし2月まで支援を受けていたという男性が、取材に応じました。
【保護司の新庄さんから支援を受けていたAさん(27)】「18歳のときにて捕まって、そのとき保護観察がついてたので、偶然、新庄さんがみてくれるっていうので。最初は、僕もまだ子供だったので、保護司の存在が、まあちょっと煩わしかったというか。年重ねて時間かけていくうちに、心を開くようになって。僕らのような立場の人間を理解しようと、寄り添ってくれる人でした」
■犯罪を繰り返したAさんを見捨てず、社会復帰をサポートし続けた…
その後も、新庄さんは、何度か犯罪を犯したAさんを見捨てず、刑務所にも面会に訪れ、手紙を届けました。
【Aさん】「僕が裏切ったなって思わせられた内容でした」
【新庄さんからの手紙】「基本的には、あなたの考えや行動を、是として認めてきました。否定すると、あなたが心を開いて話してくれなくなると、不安もありました。しかし今は、ダメなことはダメと、しっかり伝えるべきだと思っています」
【Aさん】「保護司の立場を超えて、ほんまに心配してくれてるんやなって感じてきて、なんかこの人にはちょっと嘘つけへんなとか。少なからず、あの人の存在で、僕の考え方が変わりましたし、初めて、こういう人裏切ったらあかんなって」
社会復帰を目指すAさんに、新庄さんは、自身が着ていたジャケットをプレゼントしたことも。
【Aさん】「全然恩返しができない状態でお別れすることになったことは悔しいですし、僕のいろんな良い話を、そういうことができないっていうのは、すごいまだまだ全然、あのショックが大きいところです」
■大津保護観察所は、県内の保護司480人から聞き取り
事件を受けて、大津保護観察所では、保護観察中の対象者との間にトラブルなどがないか、県内の保護司およそ480人から聞き取りを進めていますが、新庄さんと飯塚容疑者の間に、これまでトラブルは確認できていないとしています。 警察の調べに対し、飯塚容疑者は「私はやっていませんし、何も答えたくありません」と容疑を否認しています。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年6月11日放送)