感染者の急増で発熱外来がひっ迫している大阪。
20代から40代の軽症者のうち重症化リスクの低い人に医療機関の受診を控えてもらう方針を、8月中をめどに検討するとしています。
発熱外来のひっ迫や大阪府の新たな方針に対して、私たちはどうしたらいいのか。
関西医科大学附属病院の宮下修行教授に聞きました。
Q1:発熱外来のひっ迫で医療機関に行けない。もしコロナの症状があった場合はどうすれば?
A:基礎疾患のない若者は3日間様子を見よう。ただし、気になることがあれば迷わず自治体の相談窓口へ
【宮下教授】
「皆さん不安だとは思いますが、第1波の頃、まだ PCR がまだ全然普及してなかった頃は、『4日以上続くのなら病院に行きましょう』という政策でした。現在のオミクロンも、大体3日以内で若い方は治っています。そういう意味では、正直『対症療法』で十分であると私は考えております」
ーー検査キットが入手できれば、自分で陽性なのか陰性なのか確認するということもできますよね
「病気が分かれば安心ができます。一方、分かったことで不安になることもあります。ただ現在は、20代から40代の基礎疾患のない人に使える薬がないんですね。そうなると、どちらにしても対症療法になってしまいます」
Q2:市販薬は使っていいの?
A:薬局にある薬でも問題なし。解熱剤・鎮痛剤・鼻炎薬など
【宮下教授】
「本来ならば、生体は、入ってきたウイルスを退治するために熱を出す。熱でウイルスを弱らせるというのが本来の免疫機構ですけど、それだと患者さんが大変です。そこで解熱鎮痛剤を服用するというのは間違いではありません。現在のウイルスは『セルフリミット』といって勝手に出ていきますから、そういった意味では、対症療法でまったく問題ありません。現在認可されているコロナ治療薬は、高齢者や基礎疾患で重症化する因子のある方が色々な登録をして始めて使えるもので、タミフルのように簡単に使える薬ではないんです。飲み合わせの問題もありますし」
Q3:自宅療養中に悪化。緊急性の基準は?
A:「1分間で20回以上の呼吸」「パルスオキシメーター(酸素飽和度を測る機械)で93以下の数値」「意識がもうろうとしている」など
【宮下教授】
「呼吸が苦しくなると、人間は息をして酸素を取り入れようようとするので、呼吸数が必ず増えます。1分間で20回以上というのが一つの目安です。酸素飽和度が90を切ると絶対的に入院の対象になるので、93というのも目安です。また、意識がおかしくなるということは、脳に影響が出ている可能性がありますので、危険なサインと考えてください」
症状の悪化で病院に行くことの是非についての宮下教授の見解は、「マスクをしてしゃべらなければ人にはうつらない。ただ、公共交通機関を使うのは避けて自家用車などで」です。
大阪府は、新たな取り組みとして、20代から40代の軽症者に医療機関の受診を控えてもらう代わりに、外来を受診せずに検査・確定診断ができる検査体制を検討していくということです。
窓口相談(自宅待機SOS)や オンライン診療による薬剤処方(宅配)も充実させるとしています。
この対応について、宮下教授は…
【宮下教授】
「まず、現在は『診断する』ということが『治療する』に直結しています。若い方には治療方法がないのが現状なので、それならば無理に診断する必要はない。ただ、オンライン診療という『頼るところ』があるのは非常に重要だと思います。何らかの助言をもらえるだけでも患者さんは安心を得ることができますので」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月28日放送)