感染が拡大し続ける第5波で、大阪府の医療体制はどうなっているのでしょうか。
大阪府守口市の関西医科大学総合医療センター。
28の重症病床と24の軽症・中等症病床を確保している、大阪府内最大規模の新型コロナ対応病院です。
16日夜の時点で、中等症病床には21人が入院していて、病床の使用率は90%に迫っています。
【関西医科大学総合医療センター軽症中等症病床 河田裕美子 看護師長】
「先週の頭くらいから急に増えてきました。年齢は30代から50代の方が多いです。20代の方もいらっしゃいます。(入院患者は)ほとんどワクチンを打ってない状態ですね」
大阪の感染拡大に合わせて、入院者数は急増しています。
ただ、事実上の「医療崩壊」ともいわれた第4波のときと比べると、陽性が確認されてから症状が軽いうちに入院する体制が整っているため、比較的重症化せずに1週間程度で退院する患者が多いといいます。
【河田看護師長】
「第4波の時は、呼吸状態がすごく悪化してから入院されるので、大量の酸素投与を必要とする人や呼吸器管理が必要だったりする人が3分の2ぐらいいてました。今は、中等症といっても軽症に近い方が多いので、酸素投与する人は少ない」
「体験的には、第4波の時に重症寄りの方が多くて急変する方が多かったので、今回の入院の時にはそういうところを教訓にして、モニター観察や患者さんの様子をしっかりみることが大事かなと教育をしています」
さらに、病院では第4波の教訓を踏まえて、早期の治療で患者を重症化させないよう力を入れています。
早期入院ができているからこそ、発症後の早い段階で比較的症状が軽い患者に有効とされる点滴治療「抗体カクテル療法」を行うこともできているということです。
【関西医科大総合医療センター 中森靖教授】
「自宅で症状がある人はなるべく早く入院してもらえるように、早めに中等症の段階から受け入れているというところです。抗体カクテル療法を、今必死でやっていて。16日までで39人。せっせと早いうちにカクテル療法をして、なんとか重症化しないようにしたい」
「中等症は、ぐるぐる回して1日に5~6人入院して、5~6人退院していくような状況が続いています。なんとか中等症で踏みとどまってくれるように(病床を)回しています。いつまでこんなことが続けられるか分かりません」
■「早期入院・早期治療」の体制を維持できるか…大阪府の対応は
重症の患者は徐々に増えてきて、重症病床も28床のうち、約半分が埋まっています。
これから先、感染者数が増え続けると、早期入院、早期治療ができる体制を維持することはできるのでしょうか。
大阪府は、第5波での「早期治療・早期退院」を維持できるように新たな対策を打ち出しています。
一つは、ホテル連携病院に早期入院し、「抗体カクテル療法」を受けた後、すぐに宿泊療養に移ってもらう方法です。
軽症中等症病床のひっ迫を防ぐ狙いですが、ホテルへの搬送を依頼するタクシー等を十分に確保できるかが課題となります。
もう一つは、ホテルを「臨時の医療施設」にして、そこで「抗体カクテル療法」を受けられるようにする方法です。
先週、厚生労働省もこの方法を認める方針を示していて、17日、吉村知事も「20日をめどに、まずは1カ所のホテルから開始したい」としています。
「抗体カクテル療法」を受けられる体制の拡充を急ぐ大阪府ですが、治療に当たる医師など医療従事者の体制を整えることが出来るかが課題となりそうです。
(カンテレ「報道ランナー」8月17日放送)