弁護側は「抗拒不能ではなかった」 検察側は「検事正という立場で被害言い出せないと認識」 部下の女性に性的暴行加えた罪に問われた元大阪地検・検事正の裁判再開 初公判から一転し無罪主張 双方の“主張”とは10月27日 14:53
元大阪地方検察庁検事正・北川健太郎被告(67)は、2018年に懇親会で飲酒して酩酊し抵抗することができない状態だった部下の検事(当時)・ひかりさん(仮名)に官舎で性的暴行を加えた罪に問われています。
北川被告は2024年に開かれた初公判で起訴内容を認めたものの、そのおよそ2か月後に無罪主張に転じることを弁護人に伝えました。
これを受け、争点の整理のため第二回公判が開かれるまでにおよそ2年という年月がかかった異例の裁判。
27日の公判では検察側と弁護側が改めて主張をしました。
■弁護側「抗拒不能状態ではない」「同意したもの」
弁護側は、「被害者は当時、抗拒不能(抵抗できない)状態ではなく、被告との性交等に同意していたものであり、準強制性交等罪の客観的構成要件を満たしません。また被告には被害者が抗拒不能であったことや同意していなかったことの認識もなく、故意も存在しません」として無罪を主張しました。
そのうえで、「被害者が抗拒不能であったことや同意の有無を直接立証する客観的な証拠、当日の飲食店付近の防犯カメラ映像やタクシー車内のドライブレコーダー、官舎の防犯カメラなどが被害申告までに時間がかかりすべて失われた」と指摘。
さらに「被害者の供述は、懇親会の途中から性交の途中まで記憶が全くないというもので、抗拒不能、同意の不存在を認定するための最も重要な事実について、供述によっては何ら立証されていません」と説明しました。
また、当日の被害者が酒に酔っていた状態について、「一人で歩くことに支障はなかった」などとしたほか、「性交時にも抵抗はなかった」「懇親会でも『私のこと好きなんでしょ』と発言していて合意があった」など主張。
これらのことから北川被告も抗拒不能という認識がなく、同意があったと認識していたと述べました。
このほか、事件のあと、ひかりさんが北川被告に、性的暴行を受けたと主張し対応を求め、「不誠実な対応をするようであればすぐに高検や最高検に報告します」としたことを「脅迫した」とも主張しています。
■無罪主張に転じた理由は「会見で事態が深刻化することに衝撃受け」
北川被告が一度は起訴内容を認めたものの、無罪主張に転じたことについても説明。
当初、起訴内容を認めた理由については「大規模庁の長でありながら、軽率な行為で多大な迷惑をかけたと思い悩んでいた。犯罪の成否と関係なく、道義的に責任を感じていた。一日も早く裁判を終えて事態を終息させることを考えた」などと述べました。
しかし、ひかりさんが初公判の後に記者会見を開いたことを受け、「関係者に対する強い非難や検察組織批判を公然と訴えたことにより、事態がさらに深刻化することに衝撃を受けた」などとして無罪主張に転じたとしています。
■検察側 ひかりさんはやめるよう「何度も懇願」北川被告は「検事正という立場で被害を言い出せないことを認識できた」
一方、検察側は「被害者は性的暴行を受けている間、北川被告に対し、『夫が心配するので帰りたい』『家族が心配するので帰りたい』などと何度も懇願していたほか、夫婦仲は良好で、また当時の被害者の体調から性交に同意することはなかった」と指摘。
さらに性的暴行を受ける前、北川被告らとの懇親会で相当な量の飲酒をしていたと述べ、「被害者はろれつが回らず、座ったまま机に突っ伏していた」と抗拒不能な状態だったと主張。
そして「北川被告は大阪地方検察庁検事正という立場で性犯罪の被害者の心理も熟知し、性被害にあった被害者が被害を言い出せないことがあるなどと認識できた」と指摘して「故意があった」などと主張しました。