「何歳まで生きるかわからない」悩む“年金受給”のタイミング 60歳なら減額、75歳なら月額27万円超も 専門家が明かした“逆転年齢”に注目 “額”だけでは見えない本当の価値と受給世代のリアルを調査10月18日 11:00
老後の暮らしを支える年金。多くの人が「65歳になってからもらうもの」というイメージを持っているかと思いますが…
実は、60歳から75歳までの間で、受け取り始める時期を「自由に選べる」ってご存知でしたか?
しかも、その選択によって月々の受給額が大きく変わるといいます。
早くもらうか、それとも待つか。寿命という最大の不確定要素が絡む、まさに「人生最後のギャンブル」とも言えるこの決断。
関西テレビ・秦令欧奈アナウンサーが年金事情について調査しました。
■年金のシステムとは “65歳”が基準
現在の年金のシステムとはどういうものなのでしょうか。
65歳を基準に、1年早めるごとに4.8%の「減額」となります。
逆に1年遅らせるごとに8.4%の「増額」に。
たとえば65歳時点で月15万円もらえる人が、60歳で受け取り始めると月11万4000円に、75歳まで待つと月27万6000円にまで跳ね上がります。
その差は、なんと16万2000円になるということです。
■「何歳まで生きれるか分からない」「(早くお金があると)使っちゃう」
まずは、“まだ年金を受け取っていない”現役世代のもとに、『年金を何歳で受け取る予定なのか』秦アナがインタビュー。
すると回答は見事にバラけました。
【60歳からの受給を希望する男性】「金額が少なくなるのは分かってるんやけども、何歳まで生きれるか分からへんからね」
【70歳からの受給を希望する女性】「(早くお金があると)使っちゃうと思うんで」
なかには、当初65歳からと考えていたのに、親の介護や仕事のしんどさから「63歳に前倒しも…」と計画変更を検討中の女性も。
さらに、「賭け要素ありますよ。めっちゃありますよ。長生きするかな、しないかなと思って。しなかったら早くもらった方がいいじゃないですか」と続けます。
その潔さと覚悟に、秦アナもただうなずくしかありません。
現役世代25人に調査した結果、「65歳」と答えた人が12人と最多。しかし2番目以降は意見が割れ、「正解」を一概には言いにくいことがよくわかりました。
■専門家が教える、損得の「クロスポイント」
一体、何歳から受け取るのが正解なのでしょうか?
年金の仕組みに詳しいファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏に話を聞くと、核心を突く一言が返ってきました。
【風呂内亜矢氏】「寿命が分からないので、損得は出せないんですよ」
ただし、「現実的に考えるなら」という前置きのうえで、風呂内氏は指標を提示します。
60歳から受け取り始めた場合と65歳から受け取り始めた場合、受給総額が「逆転(クロス)」するのは、おおよそ81歳頃。70歳開始と75歳開始を比べると、逆転するのは87歳頃になるそうです。
秦アナの「受け取る年齢を決めるときに、何か考えておくべきポイントみたいなのはありますか?」という質問に対しては、
【風呂内亜矢氏】「どのぐらいまで自分が生きそうか、みたいなところを想像しながらっていうのも、1つ検討材料になるでしょう」
と解説します。
■すでに受け取っている人のリアル 「額だけで見るべきではない」
続いて、実際に年金を受け取っている世代にも話を聞きました。
65歳と66歳から受け取り始めたというご夫婦は、合わせて月30万円ほど。
【秦令欧奈アナ】「65歳のとき15万円だとしたら、75歳からなら27.6万円!」
【妻(65)】「でも、(65歳から)10年あるんですよ。今おかしいと思いません? 歳いってからたくさんもらっても、どこも行動もできへんのに。おかしいよね、この世の中」
【秦令欧奈アナ】「単純に額だけで見るべきではない?」
【妻(65)】「ない。行動できるのは65~70歳やのに、その間は少なくて、75歳になって多くなったって仕方ない」
これには、秦アナも「すごく納得するご意見」と頷きます。
■81歳、いまも現役 「楽しいですよ」
門真市のシルバー人材センターで出会ったのは、21年間にわたって年金を受け取り続け、いまも元気に働く81歳の細江さんです。
60歳から受け取り始めたという細江さんは「(受け取るのが)遅いほど金額がいいよって言われたけど、5年って長いですよ。歳いってからは。もし何かがあったら受け取れないでしょ?」と話します。
続けて、「いま、81歳まで生きていますが」と笑いながら話す細江さん。
秦アナの「となると、もうちょっと遅くてもよかった?」という質問に対しては、
【細江さん(81)】「それは思わないです。自分でそういうふうに決めたし。それでいいと思う」
一度決断したら、後悔しない。その潔さは、なんとも清々しいです。
最後に、81歳まで働き続ける理由を尋ねると、「もともと、人と接するの好き。いま楽しいですよ」と笑顔で答えてくれました。
■現役世代と受給世代 “2歳”のギャップ
現役世代が「受け取りたい」と考えている年齢の平均は「65歳10カ月」。
一方、実際に受け取り始めた方の年齢平均は「63歳10カ月」でした。
年金の受け取り時期は、金額だけでなく、自分の体力・健康状態・ライフスタイルをトータルで考えることが大切。
「いくらもらえるか」の前に、「いつ・どう使いたいか」を問い直すことが、一番の近道かもしれません。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月16日放送)