【異常事態】印旛沼堤防決壊で“地球上最悪の侵略植物”ナガエツルノゲイトウが水田に侵食 水害被害の千葉農家「とどめを刺される思い」 さらに都内でも増殖中…10月17日 09:00
千葉県有数の米どころ、成田市の農家をいま、南米原産の特定外来生物「ナガエツルノゲイトウ」が追い詰めています。
驚異的な繁殖力から“地球上最悪の侵略植物”とも呼ばれるこの水草は、台風25号がもたらした堤防決壊をきっかけに流出し、田んぼや河川、さらには東京都内にまで勢力を広げています。
田中良幸レポーターが追い詰められている現地の状況と農家の声を報告しました。
■ 台風25号の大雨で起きた印旛沼の“堤防決壊”が引き金に
千葉県によると、印旛沼やその周辺の河川には、以前からナガエツルノゲイトウが群生していたといいます。
事態が一変したのは、先月の台風25号による記録的な大雨でした。堤防が決壊したことで、それまで沼の中に収まっていた大量のナガエツルノゲイトウが流出し、周辺の水田や河川へと拡散し始めたのです。
決壊場所からおよそ650メートル離れた成田市内の田んぼも、その被害を受けた場所の一つです。本来であれば、収穫後の平らな大地が広がり、翌年の田植えに向けて静かに休んでいるはずの田んぼは、今では一面に水草が広がる異様な光景に変わっていました。
現地で取材に応じた農家の男性は、「田植えしたときに、こっちもだんだん育ってくるので、せっかくの栄養がこっちの雑草に取られちゃう」
「(農機を)入れたとしても、うまく刈れなくて、結局収量も減ってしまうと思います」と、春の農作業への影響を深刻に受け止めていました。
■ わずか1センチの断片からも再生 驚異的な繁殖力の正体
ナガエツルノゲイトウがここまで警戒される最大の理由は、その凄まじい繁殖力にあります。
東洋大学の廣津直樹教授によると、「見たことがある植物の中では断トツに成長が早い」といいます。
さらに脅威なのは、折れた茎や根の断面から次々と再生するという点です。農林水産省によると、茎や根のわずか1センチの断片からも再生が可能だといいます。
また、茎の中が空洞になっているため水に浮きやすく、水上でも大繁殖するという特性があります。
台風や大雨によって水流に乗り、広範囲に拡散しやすい構造を、この植物はもともと備えているということです。
冬の間は表面上は枯れたように見えますが、土の中に残った根や断片が、暖かくなった翌年のシーズンに再び再生してくるといいます。
■ 排水ポンプ停止 インフラへの深刻な影響
台風25号の前、8月に千葉県を豪雨が襲った際にも、ナガエツルノゲイトウは既に問題を起こしていました。
印旛沼の水位が上昇した際に東京湾へ向けて排水する施設「大和田排水機場」(千葉県八千代市)では、上流からナガエツルノゲイトウとみられる植物が大量に押し寄せ、ごみの流入を防ぐ柵に絡みついた結果、排水ポンプ1台が停止する事態となりました。
夜通し重機での除去作業が行われましたが、地域住民からは「もともとあんなのはなかった。ものすごいあそこに引っかかってたから、ポンプが思うように稼働できない」という不安の声が上がっています。
茨城県稲敷市を流れる新利根川では、橋の下を中心にナガエツルノゲイトウが川をほぼ埋め尽くすほど繁茂し、離れたところから見ると陸地のようにも見える状況になっています。
また、水中では太い茎と根がびっしりと絡み合い、水門を目指す船が先に進めないほど、水面を広く覆う状態にもなっています。
■ 東京・葛西臨海公園にも漂着 全国30都府県で確認
ナガエツルノゲイトウの脅威は、農村地帯だけにとどまりません。
先月11日には、東京江戸川区の葛西臨海公園の海岸近くでも確認されました。
この公園には過去にも何度か漂着したことがあるといいますが、ことしは台風や長雨の影響で特に大量に流れ着いたといいます。
葛西臨海公園の松井映樹 公園長は、「生育することによって、ほかにどんどん拡散していくという恐れがありますので、ここに定着しないようにまずはしたい」と語る一方で、取り除いても取り除いても再び生えてくる“イタチごっこ”の状態が続いていると明かしました。
16日現在、ナガエツルノゲイトウはこれまでに全国30の都府県で確認されているといいます。
■ 処理は土地所有者が原則 法的制約と費用の壁
厄介なのは、繁殖力の強さだけではありません。
ナガエツルノゲイトウは特定外来生物に指定されているため、原則として土地の所有者しか処理することができず、生きたまま持ち運ぶことは禁止されています。
無許可で行った場合、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科せられる恐れもあります。
千葉県によると、適切な処理方法は、土の中からしっかりと根ごと除去したうえで、袋などに密閉して枯らすことです。
枯死した後であれば移動させることも可能となり、各自治体の処分方法に従って廃棄することになります。
■「とどめを刺される思い」農家の声
県には水草除去に関する補助事業があるものの全額補助ではなく、負担は農家に重くのしかかります。
現地を取材した田中リポーターは、農家の悲痛な言葉を伝えました。
【田中良幸リポーター】「ことしは米の価格が下がっていて、そんな中で迎えた印旛沼の堤防決壊による水の被害。水が引いたと思ったら今度は水草ということで、農家の方はもう本当に『とどめを刺される思いだ』、そんな言葉を口にされていました」
こちらの農家では、台風25号による堤防決壊に伴う水没でおよそ20トンのコメが全滅し、被害額はおよそ2,000万円に上ったといいます。
来月には来年の米作りに向けて田んぼを耕し直さなければならない状況で、水草の除去にかかる手間と費用が追い打ちをかけています。
農業を続けていけるのかどうか、不安を口にする農家の声も聞かれるといいます。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年10月16日放送)