【現場報告】「雷みたいなドーンって音」住宅が倒壊し道路封鎖 20年近く人が住んでいなくても「空き家」に該当せず 壁を共有する「長屋」が抱える課題は 大阪・生野区は空き家率22.8%10月06日 20:39
大阪市生野区で人が住んでいない住宅が倒壊し、周辺の道路が封鎖される状況が続いています。
倒壊した住宅は、20年近く人が住んでいなくても「空き家」には該当しなかったと言います。
現場から関西テレビ・秦令欧奈アナウンサーが、倒壊による被害の状況や“長屋”が抱える問題について報告しました。
■住宅が密集している場所での倒壊 極めて危険な状態
【関西テレビ・秦令欧奈アナウンサー】
大阪市生野区の倒壊した建物前にいます。
このあたりは、非常に住宅が密集している場所になります。目の前にも住宅があって、その敷地内にまでがれきが入り込んでいる状況です。
正面から倒壊した住宅を改めて見ますと、崩れ落ちた外壁には窓もあって、亀裂も大きく入っています。
2階部分は奥まで見通せる状態で、椅子や蛍光灯のようなものが確認でき、生活感も残っています。
3階部分は手前に大きく傾いており、かろうじてバランスを保っているように見える極めて危険な状態です。
■「心臓止まりそうだった」 倒壊の前日には“ミシミシ”という音
倒壊した住宅に隣接する住宅の住人は、取材に対してその瞬間をこう振り返りました。
【倒壊した家屋の隣人】「雷みたいなドーンって、すごい音だった。びっくりするどころじゃない。心臓止まりそうだった」
隣人は倒壊の兆候について「うちの家との間にヒビが入ってた。崩れるよって言ってたら案の定」と語りました。
倒壊前日には雨が降っており、家の中にいても“ミシミシ”という音が聞こえていたといいます。
■20年近く人が住んでなくても、「空き家」には該当しない理由
倒壊した住宅には20年近く人が住んでいなかったとされています。しかし、大阪市はこの建物を法律上の空き家には該当しないと判断しています。
その理由は、この建物の構造にあります。
隣の住宅との間の壁が共有されており、さらにその隣の住宅も、またその隣も同様です。つまり、住宅が壁を共有する長屋で、合わせて1棟とカウントします。
長屋全体のうち、どこかに人が住んでいれば、たとえ倒壊した住宅に20年近く人が住んでいなくても、空き家には該当しないという判断です。
実際、生野区の空き家率はすでに22.8%と高い水準にあります。この倒壊した住宅は、その22.8%に含まれていません。
現場周辺を歩くと、長屋が非常に多く、場所によっては一般的な一戸建て住宅よりも長屋が圧倒的に多いエリアもありました。
■目の前には幼稚園 早急な対応が求められる
現場から車で5分ほどの場所にも、倒壊の危険がある建物を確認しました。その建物は幹線道路沿いに位置しており、車や人の往来が多い場所です。
近くには小学校があり、目の前には幼稚園もあります。もし、倒壊した場合には甚大な人的被害が生じる恐れがあり、一刻も早い対応が求められる状況です。
大阪市は今回の倒壊について、この建物の倒壊部分を個別の建物と判断し、強制撤去などの処置を検討しているとしています。
一方、隣の住宅の住人は現在、危険な状態のため自宅での寝泊まりができず、別の場所で生活を続けています。
■今後同じような悲劇を繰り返さないように
今回の問題について、政策研究大学院大学教授の安田洋祐氏は、次のように指摘しました。
【安田洋祐氏】「法律上、1棟でも住んでいる人がいたら長屋自体が空き家に該当しないというのは理解できるが、実態から考えると、長屋の空いている部屋は、ほかに住んでいる人がいた場合、そこで何か起きたときに与えるマイナスの影響は大きい。
通常の空き家以上に、近隣住民が気づいたら速やかに補修するなど、行政がある程度介入できるように変えていかないと、今後もこういった悲劇が繰り返されてしまうかもしれない」
また、安田氏は「今回をきっかけに、特例として空いている長屋の部屋にも行政が間に入って調整や補修ができるようになってほしい」と話しました。
行政による一刻も早い対応が求められています。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月6日放送)