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「見えない手錠を外したい」家族が当事者の死後に冤罪を訴え裁判のやり直し「再審」求める苦しみ 2組の家族が訴え「せめて父の無念だけでも拭い去りたい。名誉を回復してやりたい。それが遺族に残された最後の道」09月23日 20:49

「殺人犯そのままでなくなった。このままではあまりにもひどすぎる」 「本当に“死後再審”はつらいんです。再審無罪というときに当然に喜ぶべき人がいない」 こう話すのは、冤罪を訴えて裁判のやり直し「再審」を求めながら、その行方を見届けることがないままこの世を去った元受刑者の家族たち。 当事者が死亡した後、家族が請求人となり行われるいわゆる“死後再審”と家族をテーマにしたイベントが23日、神戸市で開かれた。 参加したのは、再審が決まった事件と冤罪の疑いが強いとされる事件の2組の家族だ。 ■「狭山事件」不可解な証拠がいくつも…

「私が小鳥(ウグイス) 縦横無尽にとんで行く 冤罪支援のお願い」 短歌が趣味で、62年間「無実」を訴え続けてきた夫・石川一雄さんが生前に書き残したメモを読み上げたのは、妻の早智子さん(79)だ。 1963年に埼玉・狭山市で女子高校生が行方不明となり、その後、遺体で発見された「狭山事件」。 警察が身代金を取りに来た犯人を取り逃がし、付近の被差別部落を中心に捜査を進めた末に逮捕されたのが、一雄さんだった。 一雄さんは幼いころから「丁稚奉公」に出ていたため、読み書きが苦手だったが、被害者宅に届いた脅迫状は漢字を使った巧妙な文章だった。 こうした不可解な点がいくつもみられたものの、裁判は一審が死刑判決、二審が無期懲役で、1977年に刑が確定した。 ■再審求めたまま死去した一雄さん 妻が遺志を継ぐ

一雄さんは1994年に仮出所後、3度にわたる再審を請求し「無実」を訴えてきた。 2006年に請求した第3次再審請求の判断が20年近く出されないまま、去年3月に急逝した。 その翌月、夫の遺志を継ぎ、第4次再審請求を申し立てた早智子さん。 ことし7月、「検察の抗告の原則禁止」などを盛り込んだ再審制度を見直す刑事訴訟法の改正案が国会で可決されたことにも触れ、早期の再審開始を訴えた。 【石川早智子さん】「改正再審法は、私たちにとってあまりいい方向ではなく“改悪”であるけれど、それでも原則がついていても抗告の禁止が入ったことで、私は絶望の中で立ち上がることができた。 79歳。私も時間がない。(夫は)殺人犯のままで亡くなった。このままではあまりにもひどすぎる。彼の見えない手錠を外したいと思ってます」 ■日野町事件 父の遺志継いだ息子が訴え「名誉を回復してやりたい」

イベントには、ことし2月に再審開始が決定した「※日野町事件」の再審の請求人で、服役中に病死した阪原弘さんの長男・弘次さんも参加し、遺族の無念さを語った。 【阪原弘次さん】「父も『はよ帰りたい』『昔の幸せな生活に戻りたい』と言っていた。その父がいなくなるんです。こんなつらいことはない。せめて父の無念だけでも拭い去りたい。名誉を回復してやりたい。それが遺族に残された最後の道」 イベントは、「狭山事件」の再審開始決定を願い、阪原さんが音頭を取って「エイエイオー」と“勝どき”を三唱して締めくくられた。 ※「日野町事件」…1984年に滋賀・日野町で起きた強盗殺人事件で、阪原弘さんが 無期懲役確定後、服役中に病死。ことし2月に再審開始決定。

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