猛暑・豪雨・台風…ことしは「新たな時代の異常気象の序章」か ネギが倒れブドウが割れる秋の実りもピンチ 進む気象の“極端化” 2050年にはどうなる? 専門家&気象予報士が徹底解説09月26日 11:00
ことしの夏は40度を超える「酷暑日」が各地で。
そして8月には60年ぶりとなる10個の台風が発生。
さらに局地的な豪雨による被害も…。
これまで経験したことのない“異常気象”に見舞われる日本列島。
さらに日本だけにはとどまらず…ネパールで起きた土石流など、異常気象は世界各地でも。
農家を直撃する深刻な被害を取材。
専門家たちが口をそろえる"新たな時代の序章”という言葉でした。
将来、お花見や紅葉狩りができなくなるかもしれません。
日本の気候の未来を徹底取材しました。
■2050年の天気予報が警告する未来
ある動画が話題を呼んでいます。
「2050年8月8日の天気予報」と題されたその映像は、未来の気象を予測したものです。
動画の中では、「海水温が高く、極めて多くの水蒸気が流れ込み、記録的な大雨も予測されています。大阪湾では最大で5メートルを超える津波のような高潮が発生する恐れがあります」という予報が語られます。
現在の気候変動の延長線上にこうした未来が待ち受けているとすれば、その警告は決して絵空事ではありません。
■食卓を直撃する異常気象 京都・九条ネギに35トンの被害
相次ぐ異常気象の影響は、すでに私たちの食卓にも及んでいます。
取材班が訪れたのは、京都のブランド野菜・九条ネギを生産する「ロックファーム京都」です。
本来であれば収穫の時期を迎えているはずの畑に広がっていたのは、ネギが次々と倒れてしまっている無残な光景でした。
夏前に作付けしたネギは、7月ごろの異常な暑さの影響で根が深くまで成長しませんでした。そこに連日の長雨が重なり、土が柔らかくなってしまったことで、畑のネギが倒れ、腐っていく状況になっていたのです。
【ロックファーム京都 河村嶺部長】「スーパーに並ぶ商品としたら、完全に規格外。大事に育ててきているネギですので、やっぱりショックは大きいですね。僕も経験の中で初めてですね」
廃棄せざるを得なくなったネギはすでに35トン、金額にして2500万円ほどに上っています。
さらに別の畑では、雨が多すぎて土台づくりすら進まず、ネギの植え付けが大幅に遅れている状況も確認されました。
【ロックファーム京都 河村嶺部長】「通常であれば土台を作って、今ごろネギが植わっている時期なんですけども、ことしはすごく雨が多くて、できていない状態です。影響はかなり長引くと思います」
■秋の味覚シャインマスカットにも…
長雨の影響は、旬を迎えているはずの秋の味覚にも及んでいます。
濃厚な甘さとジューシーな果汁が特徴のシャインマスカットを生産する農園では、まさに収穫のピークを迎えているはずが、実が割れてしまう被害が続いています。
【有田巨峰村森園 森誠社長】「9月に入って雨がずっと降っていたので、水分を吸いすぎて、大きくなろうとするので割けてしまう。そんなところが傷んでいる。ことしは特別多いのかな」
実が割れると品質のランクが下がり、収益に大きな影響が出ます。近年の異常気象に対応するため、水の与え方を変えたり、袋をかぶせて実を守るなどの対策を講じてはいますが、追いつかないのが現状です。
【有田巨峰村森園 森誠社長】「気候の変動に対して、対策が後手後手になることが非常に多い。追いつかなくなってきている」
■専門家が指摘する“気象の極端化”と「スーパーエルニーニョ」
年々暮らしへの影響が大きくなっている異常気象。その背景には何があるのか。取材班は2人の専門家にそれぞれ見解を聞きました。
気象庁の異常気象分析検討会にも参加する京都大学防災研究所の榎本剛教授は、根本的な原因として地球温暖化を挙げ、こう話します。
【京都大学防災研究所 榎本剛教授】「雨になれば大雨になる。熱波とか極端な干ばつ、降らないときは全然降らない。"気象の極端化"が進んでると思います」
■水温がさらに高まった状態「スーパーエルニーニョ」
さらに三重大学大学院の立花義裕教授は、もう一つのキーワードを指摘します。それが「スーパーエルニーニョ」です。
エルニーニョ現象とは南米沖の海面水温が平年より高くなる現象で、水温がさらに高まった状態をスーパーエルニーニョと呼びます。
【三重大学大学院 立花義裕教授】「エルニーニョがスーパーエルニーニョになると、まず1つは猛暑はあります。それ以外には豪雨が起きる。もうひとつは台風です。台風の強度が増す。ことしは温暖化とスーパーエルニーニョの掛け合わせが起こった典型的な年。もうこれからの新たな時代の異常気象の序章かなと思っています」
■スーパーエルニーニョとは
スタジオでは、片平敦気象予報士が詳しく解説しました。
温暖化とスーパーエルニーニョの関係についてこう説明します。
通常のエルニーニョ現象では南米・ペルー沖の海水温が高くなる一方、インドネシア側の海水温は低くなります。
ところが温暖化の影響で海全体の温度が底上げされると、本来低くなるはずの海域まで温かくなってしまい、雲のできる場所が変わって台風が強化されたり、各地で豪雨が発生したりする一因になると指摘しました。
【片平敦気象予報士】「やはり背景にある大きな原因の1つが温暖化だろうと。(2050年の天気予報に)向かっているというか、入り始めてると思ったほうがいいですね」
■お花見ができなくなる!?
そして異常気象が続いた場合、日本の季節そのものが大きく変容すると警告します。
気温の上昇によって夏が極端に長くなり、場合によっては半年程度続くような事態になりかねないといいます。その結果、春と秋が大幅に縮まり、3月や11月でも熱中症の恐れがあるといいます。
さらに「サクラが咲かなくなるかもしれない」とも指摘します。
サクラは冬の寒さによってつぼみが目覚め、春に開花する仕組みを持っています。冬が温かくなれば、その仕組みが機能しなくなり、お花見さえできなくなる可能性があると話しました。
■政治ジャーナリスト青山氏「災害への対応など、政府は考え方を変えなければいけない」
気象の極端化で災害の規模が大きくなっている現状を受け、スタジオ出演した政治ジャーナリスト・青山和弘氏は「政府は災害に対する考え方を変えなくてはいけない」と指摘します。
【青山和弘氏】「災害が起きた際の復旧にどれだけ予算がかかるか、もう分からなくなってきてる。
政府もいろんな考え方を改めなきゃいけないタイミングに来てるんじゃないかなと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2026年9月18日放送)