関西のニュース

「人類皆殺しにしかねない」元開発者が警鐘のAI “AI著作物”で前例なき裁判 文学賞も席巻 突きつけられた深刻な問い09月17日 10:10

大阪でAIをめぐって前例のない裁判が起こされました。 さらに文学界では、AIを使った小説が文学賞を受賞する事態に。 利便性の高さが注目される一方で、AIは今、世界規模で深刻な問いを突きつけています。 外部システムへの不正侵入、著作権をめぐる法的空白、そして文学賞の選考を揺るがす大量応募。便利さの裏側に潜む“落とし穴”は、もはや対岸の火事ではありません。 私たちが直面し始めているAIの落とし穴に徹底取材で迫ります。 ■ 「AIが人類を皆殺しにしかねない」 世界を揺るがした投稿

今月、世界中のSNSに衝撃的な投稿が拡散しました。 【Xより】「AIが2020年代末までに私たちを皆殺しにしかねない」 大手AI開発企業の元研究者が書き込んだこの言葉は、またたく間に世界中へと広がりました。 実は今、AIの危険性をめぐる議論が各国で加速しています。 ことしに入り、オープンAIやアンソロピックなど大手企業が開発したAIが、勝手に外部のシステムに侵入したり、サイバー攻撃を仕掛けたりする事態が相次いで発生しました。 事態の深刻さを受け、「あえて開発を遅らせる必要がある」と各企業の代表らが声をそろえるまでになっています。 ■生成AIでヘアモデルの画像を制作・販売する会社

AIをめぐるトラブルは、国内でも起き始めています。 大阪市にあるコンテンツ制作会社「Sai」は、生成AI「チャットGPT」などを活用してヘアモデルの画像を制作・販売しています。 モニターに向かう片野正也代表は、AIへの指示をこう説明しました。 【Sai 片野正也代表】「まずはこの画像の『目的と雰囲気』っていうのを入れて、人物は『どういう人物』なのか、『年齢とかどこ出身で性別』を入れたり。(髪の)ピンク色をまずは指定して」 指示を出すたびに、画面上の人物の髪色や雰囲気があっという間に変化していきます。 こうして生み出された画像は1枚1000円から2万5000円で販売されており、全国およそ4000もの美容院の広告などに使われています。 街の人々にその画像を見せると、反応は驚きのものばかりでした。 【街の人】「え?実物に見えます」 【街の人】「(AIか)疑っちゃうというか、ほんまにこの髪型にしてくれるんかなと」【街の人】「AIって見分けられたら、AIすぎるところには行かないかなと思うけど、見分けつかなかったら、行っちゃうかもしれないです」 ■ AI画像が招いた「前例のない裁判」

ところが今、Saiはこの画像をめぐって前例のない裁判を起こしています。 【Sai 片野正也代表】「我々の作った画像。対して右側が酷似していると考えている画像」 同社がAIで作成した画像を、「千葉県の美容院が無断でAIを使って再加工し、ネット上に掲載した」というのです。 著作権が侵害されたとして、2600万円の損害賠償などを求める裁判へと発展しました。 美容院側の代理人は「生成AIで作った画像がたまたま似たものだった」とした上で、「生成AIで作ったもので著作権はない」と争う姿勢を示しています。 生成AIの急成長が生み出した、これまでにはなかったトラブルです。 ■文学賞への応募が急増 背景には生成AIの普及

AIの波は文学界にも押し寄せています。 SF小説の文学賞「ハヤカワSFコンテスト」を主催する早川書房では、応募数に異変が生じました。 【ハヤカワSFコンテスト担当 早川書房 金本菜々水さん】「前の年(2025年)に比べ、応募総数が倍以上で、初めて1000件を超えてしまいましたので、ちょっとこれはまた今までとは様子が違うということで」 急増の背景には、生成AIの普及があるとみられています。 同コンテストでは現在、AIの使用を執筆者の責任において認めています。しかし応募数が増えすぎたことで選考が追いつかなくなる事態が想定され、今後は1人1作品の応募に制限する方針を打ち出しました。 ■ 文学賞を席巻するAI小説 3週間で100本を執筆・応募

生成AIを使って小説を執筆する作家、葦沢かもめさんは、4年前にAIを活用した作品で「日経」星新一賞の一般部門優秀賞を受賞しています。 葦沢さんのパソコンには、自身の作風や文章の特徴などを記した資料が保存されており、AIがそれを参照するよう設定されています。 まずAIに「小説のコンセプトを作成するよう」指示すると、3つの案が提示されます。 その中から気に入ったものを選び、次に世界観やキャラクター設定を作らせ、さらに本文の執筆を指示すると、十数分でAIによる小説ができ上がります。 その後、気になる部分をAIとともに修正していく…。このような手順で葦沢さんは3週間で100本もの小説を執筆し、応募したといいます。 【生成AIを使う作家 葦沢かもめさん】「実際にやってみせることで、ある種、警鐘を鳴らすというか、そういったことがこれからできてしまう時代に、どういうふうに文学賞は対応していけばいいのかとか、それって大丈夫なんだっけとか、考えてもらえるきっかけになればいいのかなと思ってやったというところ」 さらに葦沢さんは、AIと創作の関係をより長期的な視点でこう描きます。 【生成AIを使う作家 葦沢かもめさん】「自分自身が死んでもちゃんと、AIの作家としての自分は残る。半永久的に書き続けることができたら、自分自身が、AI自身が成長していくことで、自分自身も納得できる作品が書けるんじゃないかな」 ■ 法律の見直しは急務 専門家が指摘する根本的な課題

文化庁の分科会でAIと著作権の議論を進める神戸大学大学院法学研究科の島並良教授は、現行の著作権法のあり方そのものが問われていると指摘します。 【神戸大学大学院法学研究科 島並良教授】「創作自体を人以外のものがする時代になって、根本的な近代著作権法のあり方を、今後も続けていくのかどうか問われている時代が来た。 クリエイター産業を支えている人たちの生活が立ち行かなくなるような法制度っていうのは、やはりどこか間違ってると。 他方で権利があまりにも強過ぎると、これだけ社会的に有用な生成AIっていう技術そのものがうまく使われない、あるいは死んでしまうということにはなってしまいます」 クリエイターの生活を守ることと、社会的に有用なAI技術を育てること。その両立をどう図るかという難題に、法整備は追いついていないのが現状です。 (関西テレビ「newsランナー」2026年9月16日放送)

この記事をシェアする

最新のニュース

関西のニュース一覧