【解説】総額は「1億円超」高野山「宿坊」営む複数の宗教法人が申告漏れ 宿坊は「宿泊費・食事抜きで1000円以下なら非課税」も「1000円超なら宗教法人でも課税」に09月10日 18:15
世界遺産の高野山で宿坊を営む複数の宗教法人が、大阪国税局から集団で申告漏れを指摘されていたことがわかりました。
申告漏れの総額はなんと1億円超えだということです。
一般に、「非課税」と思われがちな宗教法人ですが、宗教活動以外の収入は課税対象で、宿坊の場合は「宿泊費が食事抜きで1000円超なら課税対象」になるということです。
■宿坊を運営する複数の宗教法人が申告漏れ「総額は1億円超」
総本山・金剛峯寺をはじめとする117の寺院が建ち並ぶ世界遺産・高野山。
宿坊とは、もともと寺や神社の宿泊施設のことで、僧侶や参拝者向けの施設でした。
ここに泊まる体験などが日本を訪れる海外からの旅行客の人気を集め、1泊10万円を超えるような施設もあります。
そこに国税局のメスが入っていたことがわかりました。
関係者によると、宿坊体験の実態を把握するため大阪国税局が去年、宿坊を運営するおよそ50の宗教法人のうち、10数の法人に対して税務調査を実施したところ、その半数以上で宿坊の所得を過少申告するなど、申告漏れがあることを把握。
総額は1億円を超えるということです。
■住職の家族が宿坊で得た収入などを私的に支出していたことも判明
さらに金剛峯寺の隣にある「総持院」では、住職の家族が2022年からの3年間で、宿坊で得た収入などを私的に支出していたことも判明。
国税局はおよそ9000万円の所得税の源泉徴収漏れと重加算税を含めたおよそ4000万円を追徴課税したということです。
きょう=10日も多くの外国人観光客が訪れる高野山。
宿坊を利用した海外からの観光客は「穏やかで、商業的な感じはありませんでした」と話す一方、「宿泊費は高くないですか?」と聞いたところ、日本語で「まあまあ」という答えが返ってきました。
■宗教法人でも…課税・非課税の違いは
宗教法人は「非課税」というイメージがある中で、なぜ今回のような事態が起きたのでしょうか。
まず、宗教法人の収入はすべて非課税というわけではありません。課税対象となるものもあります。
非課税なのは、お布施やお賽銭などの宗教活動による収入です。一方、グッズ販売や駐車場経営などは課税対象となります。
そして宿坊は、国税局のホームページによると、「食事抜きで1000円以下」なら非課税に。「1000円を超える」と課税対象になるのです。
■国税局関係者「明らかに営利目的ととれる実態もある」指摘
申告漏れが起きた背景について、国税局の関係者は「インバウンド需要などで、宿坊がかなり高額になり、明らかに営利目的ととれる実態もある。宗教活動と営利目的での収益では明確に分けて考える必要がある」と説明します。
また宗教ジャーナリストの鵜飼秀徳さんは、次のように原因を指摘します。
「宗教にかかわる人の中には社会に出たことがない人が多く、お金のことをしっかりわかっていない人もいる。税金や法律などをきちんと学ぶことが必要」(鵜飼さん)
■菊地弁護士「今回のような調査は『目に余るものがあった』ということでは」
関西テレビ「newsランナー」のコメンテーター・菊地幸夫弁護士は、宗教法人の税務調査について「税務当局も手を出しにくい領域」と指摘し、今回の「異例さ」を解説しました。
【菊地幸夫弁護士】「『信教の自由』は、憲法で認められている宗教活動の自由です。『国から干渉を受けない』という意味で非課税なのです。税務当局も手を出しにくい領域ではあります。
だから今回のような調査はやっぱり、『目に余るものがあった』ということだと思います。
背景の1つとしては、宗教法人は今、檀家が少なくなっていって、純粋に宗教だけではなかなか経営・運営が難しいところもあるのだろうと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2026年9月10日放送)