関西のニュース

【解説】金融のプロに全部聞く これから家を買う人は住宅ローン「固定」か「変動」か “30年ぶりの高水準”「金利のある世界」到来09月08日 05:30

住宅ローンをはじめ、預金、企業活動など、私たちの暮らしのあらゆる場面に影響を及ぼす日本の金利上昇。 超低金利時代の終わりとも言われる今。私たちは『金利のある世界』とどう向き合うのか。 「newsランナー」に金融の専門家である日本総研の藤山光雄所長が出演。長期金利が上昇する中、私たちはこの状況をどう乗り切ったらいいのか、解説します。 ■バブル崩壊後から続いた低迷 なぜ今金利は上がるのか

長期金利の推移を振り返ると、バブル景気の時期には一時8%台まで上昇していました。 その後、バブル崩壊とともに金利は急落し、長らく"超低金利時代"が続きました。しかし近年、その潮目が変わりつつあります。 藤山所長は「金利は経済の体温計と言われています」と説明します。 【藤山氏】「バブル崩壊後、日本の景気低迷が続く中で賃金も物価も上がらない状況が長く続きました。ところここ数年、物価や賃金が少しずつ上昇に転じ、それに連動する形で金利もじわじわと上がってきている」 さらに足元では、物価上昇が加速していることに加え、高市政権の財政政策への懸念も重なり、金利上昇のペースが速まっているとのことです。 ■住宅ローンは「固定」か「変動」か 試算が示す現実

金利上昇の影響を最も身近に感じるのが、住宅ローンです。「newsランナー」では具体的な試算を行いました。 4000万円の住宅を購入し、変動金利で住宅ローンを組んだ場合、金利が1.2%から1ポイント上昇すると、月々の返済額は約2万円増加。支払い総額では800万円もの増加になるという計算です。 4000万円で購入したはずのマイホームが、実質的には5700万円にまで膨らむ…その数字の重さは、住宅ローンを抱える多くの家庭に響くものがあります。 では「固定金利」と「変動金利」、どちらを選ぶべきなのでしょうか。 藤山所長は「なかなか難しいところではありますが、今のところ固定金利に比べて変動金利との差がまだあるので、変動金利の方が低めなのかなという気はします」と述べました。 一方で、今後の金利動向については「今のペースでどんどん上がり続けるとは見ていない」としながらも、「財政への懸念や物価上昇への懸念から、日銀の利上げはもうしばらく続くと思われ、金利が上がる時期はもう少し続く」と指摘しました。 ■家の購入タイミング 専門家はどう見るか

では、これから家を購入しようと考えている人はどうすればいいのでしょうか。 藤山所長は「すぐに買いたいという場合には、これから金利が上がってきそうですので、今買うというのがいいかもしれない」と話しました。 ただし同時に、こうも付け加えています。 【藤山氏】「住宅ローンは20年、30年借りるものですので、そのくらいのスパンで見ると、金利が上がり続けるわけではなく、景気の循環に応じて上がったり下がったりします。あまり焦って買わなくても良い方は、よく考えていただきたい」 ■物価・給与・預金 金利上昇が家計に与える3つの影響

金利上昇の影響は住宅ローンにとどまりません。物価上昇、給与、そして定期預金…私たちの家計のあらゆる側面に波及します。 まず物価について藤山所長は「落ち着く方向に向かうことが期待できる」と述べました。日銀が利上げを行う目的の一つが物価上昇の抑制であり、金利が上がると円高方向に動きやすいため、輸入コストが下がり物価が落ち着く可能性があるためです。 ただし、注意が必要な点もあります。景気が悪化した状況で物価だけが上昇し続ける"スタグフレーション"のリスクについても、藤山所長は「そういう景気の悪いパターンになるリスクもある」と認めています。 給与については「上がりにくい」という見通しです。 企業は現在、資源価格の上昇や人件費の高騰でコストが増加しています。そこに金利上昇が加わると、銀行からの借入金利も上昇し、事業活動全体のコストがさらに増えます。 「急激に金利が上昇すれば、給料にまわしていく余裕がなくなってしまうかもしれない」と藤山所長は警告しました。 一方で、定期預金については「お得になる」と明るい見通しを示しました。これまでほぼゼロに近かった預金の利息が、金利上昇に伴って増えてくるためです。藤山所長は「安全に運用する一つの選択肢になり得る」と述べました。 ■“金利のある世界”を生き抜くために今すべきこと

藤山所長が強調したのは、私たちの意識を根本から変えることの重要性です。 【藤山氏】「これまで金利のない世界だったわけですが、これから金利のある世界になるということで、それをぜひ意識していただきたい」 どこから借りるか、どこに預けるか、どのような金融商品で運用するか…かつては深く考える必要がなかったこれらの選択が、これからは家計に大きな差をもたらす可能性があります。 「銀行も金利で競争しますし、貸し出しもいろいろ金利が変わってくる。金利は難しいというイメージがあるかもしれませんが、賢く生活していくためには、金利に少し意識を持って、いろいろと知識を得ていただきたい」と藤山所長は呼びかけました。 (関西テレビ「newsランナー」2026年9月7日放送)

この記事をシェアする

最新のニュース

関西のニュース一覧