「今昔史上、一番無理やで!」同じ場所から撮影不可能な建物は「日本最古の民家」 “国宝”指定間近の家を守る52代目当主 地域で受け継がれる「農村歌舞伎」とは 神戸市北区の歴史再発見【兵動大樹今昔さんぽ】09月05日 13:00
一枚の写真から街を再発見する「兵動大樹の今昔さんぽ」。
今回は、神戸市北区・神戸電鉄谷上駅前からスタートです。
神戸市営地下鉄を使えば、三ノ宮まで約10分とアクセス抜群!
それでいて、駅を降りると緑が広がる風光明媚なベッドタウンです。
そこで兵動さんが受け取ったのは、1959年(昭和34年)に神戸市北区で撮影された1枚の古い写真。茅葺き屋根の一軒家の前に男性が立ち、背景には山と木々が広がっています。
【兵動大樹さん】「無理やできょうは!日本昔話みたいな空気感や…。誰が分かんねん」
手がかりがほとんどない写真ですが、場所を見つけることはできるのでしょうか?
■「農村歌舞伎」に「千年家」
駅前で出会った1歳2か月のお子さんを抱いたお母さんに街の印象を聞いてみると、「人が優しい。子どもにとっても、とてもいい街」とのこと。
三ノ宮まで10分の利便性と、自然に囲まれた子育て環境の両方を兼ね備えた魅力的な街のようです。
そんなお母さんに写真を見せてみると「農村歌舞伎」というワードが飛び出しました。
【兵動大樹さん】「農村歌舞伎!?初めて聞いた!」
さらに喫茶店の店主からは、「箱木千年家」という情報も出てきました。
話を整理すると、西の方に「千年家」と呼ばれる文化財があり、東には、過去に「千年家」があったものの、それは焼失。そのほか、「農村歌舞伎舞台」があるのだそう。
■ 江戸時代から続く「農村歌舞伎舞台」に潜入!
教えてもらった場所へ行くと、兵庫県重要有形民俗文化財「上谷上農村歌舞伎舞台」と書かれた建物がありました。棟札には文久3年(1863年)と記されています。
地元のボランティアの方が手作りした模型を使って舞台の仕組みを説明してくれました。
この舞台の特徴は「床几(しょうぎ)回し」と呼ばれる回転装置。
複数の人の力でグルグルと回すことで、素早く舞台転換ができる仕掛けなのです。
農村歌舞伎とは、江戸時代から明治時代にかけて娯楽の少ない農村で、地域の人々によって行われた歌舞伎のことです。
次第に廃れてしまいましたが、近年は地元の有志によって上演が復活しています。
兵庫県には全国およそ2000の農村歌舞伎舞台のうち、170棟ほどが残されているのだそうです。
■どっちの千年家?
ボランティアの方に写真を見てもらうと、「箱木千年家」ではなく「阪田千年家」だと思うと回答。
ちなみに千年家とは、江戸時代の人が「千年ぐらい経っている家」ということで呼んだことがきっかけなのだそうです。
昭和30年代に火災で焼失してしまった「阪田千年家」があった場所に向かい、お宅を訪ねてみましたが出会うことはできず…。
近所の方に聞いてみると、写真の場所は「箱木千年家」なのではないかと新たな指摘が!
■52代目当主が登場!
最後の手がかり「箱木千年屋」を目指してさらに西へ。
衝原(つくはら)エリアに到着すると、「箱木千年家」の看板を発見しました。
ところが平日は休館日…。
神戸市文化財課に連絡を取ると、なんと箱木家の52代目当主・箱木利隆さんとともに駆けつけてくれました。
■“国宝”指定間近の日本最古の民家
特別に中を見せていただくと、14世紀(室町時代)の建物がそのまま残っている圧巻の空間が広がっていました。
日本の中でも「最古」の民家だと証明され、近々、「箱木千年家」は国宝にも指定される見込みです。
そして写真に写っていた男性は、なんと箱木家51代目・利隆さんの父親だったことも判明しました。
【兵動大樹さん】「国宝に住んでたんですね!」
【箱木利隆さん】「意味が分からないですね…」
■ 同じ場所からの撮影は……ダムの底!
ここで衝撃の事実が明らかになりました。
箱木家住宅は、ダムの建設に伴い、昭和52年(1977年)にいまの場所へ移築されていたのです。
元の場所は現在、ダムによって生まれた湖の湖底に沈んでいます。
【兵動大樹さん】「同じ所から写真を撮りたいとなると、ダムですか」
【神戸市文化財課・担当者】「全く同じ地点だったら、おそらく湖の中になります」
【兵動大樹さん】「今昔史上、一番無理やで!」
今回は、元の場所が湖に沈んでいるため、現在の箱木家住宅を撮影して締めくくりとなりました。
14世紀から続く日本最古の民家を52代にわたって守り続けている箱木家。
国宝指定も間近とされるこの貴重な建物を、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。土日祝日に一般公開されています。
(関西テレビ「newsランナー 兵動大樹の今昔さんぽ」2026年7月31日放送)