【解説】改正「再審法」 参議院の委員会通過でも残る懸念 採決前の討論でも「不十分」との声も “抜け道”“救済につながらない”との指摘が残る07月16日 20:38
いわゆる“再審法”の改正案が16日、参議院の委員会を通過しました。
果たして冤罪被害者の救済につながるのでしょうか。
午後4時40分、参議院法務委員会で自民、維新、参政党などの賛成多数で可決された裁判のやり直しに関する刑事訴訟法の規定、いわゆる「再審法」の改正案。
今後、本会議で成立する見通しで、1948年の制定以来、初めての改正となります。
■再審まで58年…袴田事件 懸案“証拠開示”と“検察の不服申し立て”は…
「再審法」をめぐっては、一家4人殺害事件で死刑判決を受けた袴田巌さんが、逮捕から58年を経て再審=やり直しの裁判で無罪が確定するなど、冤罪被害者の救済に時間がかかりすぎることなどが問題視されています。
その要因として、証拠開示の規定がないことや裁判所の再審開始決定に検察が不服申し立てを繰り返すことが課題となっていました。
改正の議論の中で、一部の自民党議員らは検察の不服申し立ての全面禁止を求めましたが、検察庁を所管する法務省は応じず、「十分な根拠がある場合に限り不服申し立てができる」とすることで決着。
また、捜査機関が保管する証拠については、検察官に提出を命じる規定が盛り込まれましたが、再審請求の理由との関連性がある場合に限られていて、現在よりも開示範囲が狭まると指摘されています。
■法改正求めていた弁護士「悔いは残るけど…」
16日の採決に先立ち、委員会では高市総理は改正案によって”現状よりは良くなる”との姿勢を貫きました。
一方で出席した議員からは「今の案では不十分だ」との意見が相次ぎましたが、衆議院で通過した改正案は修正されることなく参議院の委員会も通過しました。
【立憲・打越さく良議員】「さらなる修正が必要だと、総理、その決意をおっしゃっていただけないでしょうか」
【高市早苗総理】「本法律(改正案)は、間違いなく再審制度を大きく前進させるものであるということで、今国会で成立させていただきたい」
法改正を訴えてきた弁護士は採決前に複雑な心境を口にしました。
【日弁連・再審法改正推進室長・鴨志田祐美弁護士】(16日午前)「もっと、ワクワク感を持って今日を迎えられたら良かったなと。なかなかそうはならなかった。
悔いは残りますよ、悔いは残るけど、だからと言って今までの歩みを全否定していたら何も先には進まないので…」
■改正「再審法」で冤罪被害者は救済されるのか 記者解説
16日に委員会可決された「改正再審法」。日野町事件の再審決定や一連の国会議論を取材してきた、関西テレビ司法キャップの水本翔記者が進展と課題について指摘しました。
【水本記者】
これまで、裁判をやり直す規定がほとんど定められていなかったため、今回の法改正で“運用のルール”ができたことには大きな意味があります。
しかし、冤罪被害者が早期の再審開始を望むなか、検察が「十分な理由がある」と主張すれば不服の申し立てを繰り返すことができる、いわば“抜け穴”が残された状態にもなっています。
■弁護団による“公開”を罰則付きで禁じる新規定 “救済につながらない”との指摘も
<証拠開示の在り方にも様々な懸念が指摘されている>
【水本記者】
日野町事件で服役中に死亡し、その後再審が決まった阪原弘さんの遺族・弘次さんは、捜査機関が保管している証拠リストを開示することの必要性を訴え続けましたが、今回叶いませんでした。
無実を証明するための証拠が捜査機関の中に埋もれたままとなる懸念が残されています。
今回、新たに出てきた証拠を裁判の目的以外に使用することを罰則付きで禁じる規定が作られました。
例えば、袴田事件では再審で捜査機関が持っていた「5点の衣類」のカラー写真が開示され、弁護団がメディアを通じて広く訴えたことで、当時の捜査の問題点が明らかになり、冤罪救済に向けた社会的な動きにつながりました。
しかし今後は、検察が開示した証拠をメディアが報じることが禁じられるため、改正されたことが、”むしろ冤罪被害者の救済には繋がらない”との指摘もあります。
今回の改正案は5年ごとに見直しの検討をすることが明文化されていて、私たちが関心を持ち続け、国会の場で今後も審議されることになるかどうかが問われることになります。
(関西テレビ「newsランナー」2026年7月16日放送)