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斎藤知事いまだ変えぬ「告発文書対応は適正」認識 第三者委「作成者探しは公益通報者保護法違反に当たる」指摘も 告発した元局長の同僚“第三者委報告”「従わないとか受け入れないというのはあり得ない」と憤り07月08日 10:29

兵庫県の斎藤知事をめぐる疑惑をまとめた告発文書を作成した元県民局長が亡くなって、7月7日でちょうど2年となります。 県が設置した第三者委員会は、斎藤知事にパワハラに当たる行為があったことや、告発文書の作成者探しをしたことが「公益通報者保護法違反に当たる」などと結論付けました。 しかし斎藤知事はこうした指摘を受け入れず、県の対応に問題はなかったという認識を変えていません。 取材に応じた元局長の同僚は「行政の世界ではありえない」と憤り、専門家も疑問を呈する中、知事からは考えを変えようという姿勢は見えてきません。 ■知事を告発した元局長 自ら命を絶ってから2年

2024年3月、斎藤知事の“パワハラ”などの疑惑を記した告発文書の存在が発覚しました。 県の内部調査で、当時の西播磨県民局長が作ったことが分かり、県は懲戒処分を下しました。 このとき斎藤知事は記者会見で「業務時間中なのに嘘八百含めて文書を作って流す行為は、公務員として失格です」と強い言葉で元局長を非難していました。 県議会は告発文書について調査する「百条委員会」を設置。 追及を止めようと、知事の側近が元局長のプライベートな情報を漏えいするという事案も起こり、元局長は委員会で証言する直前、「一死をもって抗議する」との言葉をし、自ら命を絶ちました。ちょうど2年前の7月7日でした。 議会から不信任とされた斎藤知事は、失職して再び選挙へ。NHKから国民を守る党の党首・立花孝志被告(※)が、自分ではなく斎藤知事を支援する、いわゆる「2馬力選挙」を展開し、再選を果たします。 同時に、斎藤知事を追及していた議員らへの誹謗中傷が巻き起こり、竹内英明議員も辞職後に命を絶ちました。 (※立花被告は竹内議員の死後、竹内議員に対する名誉棄損の罪で逮捕・起訴) ■第三者委は告発文書が「外部への公益通報」に当たると認定も…

知事が再選した後の2025年3月、告発文書について調査するため兵庫県が設置した第三者委員会は報告書を県に提出し、斎藤知事のパワハラを16件中10件で認定しました。 さらに、告発文書が「外部への公益通報」にあたり、側近らが文書の作成者を探した行為は、「公益通報者保護法違反」だと指摘しました。 記者会見で、委員の1人は「知事自身が設置を決めて発足したので、『結果が不利だったら聞かない』ということは、あり得ないのかなと思います」と語っていました。 しかし、斎藤知事は、「告発文書が公益通報に当たる」指摘された点について、現在も受け入れていません。 【斎藤知事(今年1月)】「第三者委員会の指摘、報告は受け止めていますけども、県としては、適正、適法、適切に行ってきたという認識で変わりはありません」 ■斎藤知事を巡って「賛成派」と「反対派」双方が…

一方、刑事罰を伴う選挙違反や公金の不正支出などの疑惑については、検察が嫌疑不十分で不起訴処分としました。 このため「すべての疑惑が嘘だった」と誤解する人もいます。 斎藤知事の定例記者会見が実施される日、会見場すぐそばの歩道橋の上では、知事に反対する人たちの「斎藤やめろ、斎藤やめろ」という抗議の声と、支持する人の「斎藤がんばれ、斎藤がんばれ」という声があがっています。 また5月に開催された「神戸まつり」では、来年開催される「ワールドマスターズゲームズ」をPRするため、パレードに参加した斎藤知事に向かって抗議活動の声があがりました。 【抗議の声】「斎藤辞めろ!」 ■記者に匿名で届いた本 告発文書は「公益通報の保護要件も満たさない」と記述も

ある日、告発文書問題を取材している記者の元に、匿名の送り主から通販サイトを通じて「この本を記事にしてほしい」というメッセージが添えられた1冊の本が送られてきました。 「兵庫県知事中傷『怪文書』事件」などと題されたこの本は、元官僚の片木淳弁護士が自費出版したもの。 告発文書について、「賞賛に値する兵庫県の初動」、「『公益通報』とは到底いえず、『怪文書』の類にすぎない」などという記述があります。 この本によると、報道機関など外部への公益通報の場合、「通報者を保護する体制の整備は適用されない」といい、さらに告発文書は「公益通報の保護要件も満たさない」としています。 片木弁護士に取材を申し込んだところ、「多忙のため、取材に応じるのは難しい」と所属事務所を通じて回答がありました。 そして、斎藤知事も「真実相当性が確認できなかったことから、当該文書は公益通報者保護法上保護される3号通報ではないと考えております。初動の対応から懲戒処分の実施に至る一連の県の対応は適切だったと考えております」と主張しています。 ■告発文書問題巡る書籍の「出版ラッシュ」

告発文書問題をめぐって、本の出版が相次いでいます。神戸市の大型書店では、特設コーナーが2カ所設置されました。 出版ラッシュのきっかけとなったのが、公益通報者保護法に詳しい上智大学の奥山俊宏教授の本で、事実関係を積み上げ、法律の中身を解説しながら、告発文書問題を検証しています。 出版元には、発売したことへの誹謗中傷もあったそうです。 【出版社の担当者】「最初には4000ぐらいしか作ってなくて、それが完売すればいいかな、ぐらいな感じだったんですけども。(5月の)連休中に結構話題になって、連休明けたらすぐに全部初刷がなくなってしまって、それで慌てて増刷して」 難しく堅いテーマにも関わらず、発行部数は1万8000部に至りましたが、出版前には社内でも議論が巻き起こったと担当者は話します。 【出版社の担当者】「社内で議論してみると、結構社内でも違う意見の人がいて、それこそ『あれはもうオールドメディアの敗北だというふうに捉えるべきだ』みたいな意見の人もいて、険悪になるぐらい議論になったんですけれども」 ■「国の機関・地方自治体のガバナンスは30年前と変わっていないのでは」

東京の書店で行われた、出版記念イベント。著者の奥山教授はもともと、研究者や行政関係者が参照できる「教科書」のつもりでこの本を書き始めました。 しかし実際には、多くの一般市民が買い求めていて、奥山教授にとっては「うれしい誤算だった」といいます。 【イベントの来場者】「こういう法律があったんだ、いい法律だな、というふうに改めて認識したんですけど、ある意味で言うと、兵庫県がリアルタイムでぶっ壊していったというふうな過程がここ2年間ぐらいのことかな、というふうに思っています」 【奥山教授】「法の支配というのは、どんなに偉い人であっても、組織のトップであろうと、あるいは王様であっても、法には従わなければならないという原則です。今だったらまだ日本では、それを治すことが、治癒することができると思います」 ここに、奥山教授が本を書いた最大の理由があります。公的機関に法律を守らせるための仕組みが、民間企業に比べて弱いのではないか、という問題意識です。 【奥山教授】「様々なガバナンスの改革が、民間の企業ではこの30年行われてきました。それに比較して、国の機関あるいは地方自治体のガバナンスというのは、未だ30年前とさほど変わっていないんじゃないか。 法制度を民間並みに是正するということが今や求められていると思います。今のままだと、まさに斎藤知事のように、法令違反を平然と継続するということがまかり通ってしまう」 ■閣議決定でも「通報者を探すための調査」が禁じられていると明記

斎藤知事の対応は「公益通報者保護法違反」にあたるのか。そもそも法律では、告発した人を探し出してもいいのでしょうか。 高市総理大臣は2026年6月、野党議員の質問主意書に対する答弁書を閣議決定しました。 一般論として、この法律をどう解釈するか、という質問に、「通報者を探すための調査」が禁じられていると明記。 さらに「別の目的を掲げているのは表面上のみであり、実際には通報者探索目的で調査していたのであれば、『正当な理由』のない通報者探索に該当し得る」と指摘しました。 一方で、別の目的で調査した結果、たまたま通報者が分かるケースは、問題ないとしています。 調査の目的について、これまで斎藤知事は、「誰がこの文書を作成したのかということ、なぜ作成したのかの意図などを、しっかり事案として把握することが大事だということを指示しました」と説明してきました。 ■「誹謗中傷性の高い文書」斎藤知事の認識は変わらず…

そして、2026年6月の会見で改めて質問すると… 【斎藤知事】「作成者を、どなたかということを特定して、さらなる事実関係の調査確認を行うということ、そして文書内容が真実と信じるに足る相当な理由があるかどうか確認するということは、法律上禁止されるとは考えておりません」 【記者】「結局『通報者探しがメインだったじゃないか』ということにもなりかねないんですけれども、そうすると答弁書のいうところの『正当な理由のない探索』にピタリ一致するわけですけども。このあたり、目的はどうだったんでしょうか」 【斎藤知事】「先ほど幹事社さんの答弁(質問)にお答えした通りですね」 【記者】「百条委員会で一番最初に『誰が作成したのか』を調査の目的として挙げたこととういうのは間違いだったんですか?撤回しないんですか?」 【斎藤知事】「ですから、文書については多方面に不利益を及ぼすという懸念が非常に高い、誹謗中傷性の高い文書だというふうに認識しましたので、しっかりと調査対応するということにさせていただいています」 ■元局長の同僚 第三者委の報告「従わないとか受け入れないというのはあり得ない」

何事もなかったかのように振る舞う斎藤知事に、怒りに震える人もいます。元局長のかつての同僚が、匿名で取材に応じてくれました。 【元局長の同僚】「『お悔やみ』という言葉を繰り返し、未だに心にもなく口にしますけれども、謝罪というのは一切しない。 その謝罪というのがなぜ必要かというのは、公益通報者保護法違反をして、公開パワハラまでして、というところは明らかなわけですから。 元局長にしても竹内県議にしても、自分に歯向かったという言葉が適当かどうか分かりませんけれども、自分に対して指摘してくるということを許せないんでしょう、子供ですから。幼児性の表れじゃないかと思います」 第三者委員会の報告書を反故にしたことも、常識では考えられないことだといいます。 【元局長の同僚】「行政の世界ではあり得ないですよね。自分たちでは客観的な判断がし得ないことについて、第三者の意見を求めるということで、当時はそういう趣旨で設置されたものですから。 それから出たものに対して、従わないとか受け入れないというのはあり得ない。そうすると第三者委員会を設置する意義がなくなってしまいますので」 元局長の死から、2年が経ちました。第三者委員会の結論を受け入れ、元局長の懲戒処分を撤回し、デマの拡散を止め、名誉の回復を図る。斎藤知事がその方向へ動く気配は、ありません。 (関西テレビ「newsランナー」2026年7月7日放送)

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