【解説】元兵庫県警刑事部長「捜査線上に出てくる一番早い家族が容疑者だった」 神戸マンション遺体遺棄事件 元妻“スピード逮捕”の背景 殺害容疑での立件は「供述を裏付けるプラスアルファあれば可能」06月24日 19:42
神戸市のマンションで西口豊さんの切断された遺体が見つかった事件で、きのう(23日)、警察が死体遺棄容疑で逮捕したのは元妻・望月亜紀容疑者(50)でした。
西口さんが死亡したとされる2011年12月頃から15年近い年月が経っている一方、事件が発覚してから3日後という短期間での容疑者逮捕でした。
この背景について、元兵庫県警刑事部長の棚瀬誠氏は、「警察の捜査線上に出てくる一番早いところ、家族の元妻が容疑者だった」と指摘。
さらに殺害もほのめかしているという望月容疑者の殺人容疑での立件について、死亡から15年という時間が経過していても「供述を裏付けるプラスアルファ出てくれば可能」と述べました。
■共犯の可能性「家の中に隠さざるをえなかったと考えれば、単独犯は素直な見方」
【棚瀬氏】「ご遺体、被害者が元住人であったという点と、そもそもここの家屋が引き続き使われていたことと、出入りがあったということからすると、やはり警察の目線で捜査線上に出てくるメンバーというのは、家族関係や知人。
家族が非常に“早い”わけですけど、そういった意味では身内の犯行であったと。一番早いところがやはり容疑者だったということなんだと思います」
遺棄されていた遺体は、上半身と下半身が切断されていました。望月容疑者が一人で犯行ができたのでしょうか。
【棚瀬氏】「警察も共犯の有無を含めて捜査をしていくことになると思いますが、本件は当時、妻だった容疑者が自宅の中に冷凍庫を設置して、要は隠し込んでいる事件です。
もし共犯者がいて、『屋外に持ち出す』みたいな発想ができるのであれば、わざわざ冷凍庫の中にということにはならないかもしれません。
女性の手であれば、そんなに細かく時間をかけて切断できない。心理的に、ご遺体に向き合わないといけないわけですから。
こういった面を考えると、2つに切断をして、家の中に隠し込まざるをえなかったと考えれば、単独犯というのは素直な見方かもしれないと思います」
■マンション家賃は支払うも電気代は去年ごろから滞る…背景は
望月容疑者は現場の部屋の家賃は支払っていましたが、電気代は去年ごろに支払いが滞っていたということです。
棚瀬氏は、この点について「不思議に思う」と述べつつ、「経済的な困窮」などの可能性を指摘しました。
【棚瀬氏】「そもそも冷凍庫にご遺体を隠して、発覚を免れると、さらに家賃を支払い続けながら、その環境を維持していたのであれば、引き続き電気代を払わなければ、発覚してしまうだろうとこういうことになるわけです。
警察発表でも逮捕当時、無職ということでしたので、ひょっとすると、経済的・資金的にしんどくなってきていたということは考えられるかなと思います。
けれどもやはりこれは、容疑者しかわからない事実ですので、今後しっかり捜査していくということになるんだと思います」
■15年前に死亡も…「およそ殺人の立証というのは可能」
望月容疑者は殺害についてもほのめかす供述をしているといるということです。
殺人事件としての立件については…
【棚瀬氏】「15年前の事件だとすると、やはり時の経過に伴って一般的には捜査が難しくなります。
しかし『死体遺棄』からさかのぼって考えると、もし死因が殺害なのであれば、この死体遺棄というのは、殺人事件の『究極の証拠隠滅』になります。
ですので、死体遺棄事件の動機を調べていき、『殺してしまったから、隠すために遺棄をした』となれば、いわば半分殺人の立証、証拠構造が整っているということになります。
今後は殺人に罪を切り換えて捜査をしていくとなれば、実際にどうやって殺害をしたのか、どのタイミングで殺害したのか、凶器をどこに捨てたのかということを詰めていけば、およそ殺人の立証というのは可能だと思います」
■「殺人の立証が可能」理由「供述裏付ける『なにがしかのプラスアルファ』あれば」
そして「殺人の立証が可能」とする理由については、次のように説明しました。
【棚瀬氏】「例えば“ナイフでお腹を刺したんだ”という供述があったとします。このあばら骨にナイフの傷がついていれば、まさにそのナイフで刺したという犯人しか知らない供述を裏付けるということになります。
仮にナイフが発見されなかったとしても、その供述を裏付ける『なにがしかのプラスアルファ』が出てくれば…そのために司法解剖しているわけです。
そういった観点で証拠が整えば、殺人の立証ができる。こういう構造になっているわけです。
動機、本人の供述というのもまた1つの重要な証拠です。そもそもなぜ遺体を遺棄するに至ったか、そしてその前に、なぜ殺したのかということなのであれば、その動機をしっかり調べて、その動機も納得感のある殺害を立証する動機なのかどうかを詰めていくということになります」
(関西テレビ「newsランナー」2026年6月24日放送)