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息子が海外勤務で過労死 実際の残業「約150時間」 海外赴任中は労働基準法が原則適用されず 日本企業に求められる“安全配慮” 遺族と過労死を起こした企業が共同で“管理マニュアル”作成06月07日 10:30

2026年5月29日、大阪市で異例の記者会見が開かれました。 登壇したのは「息子を長時間労働による自殺で失った母親」・上田直美さんと、「勤め先だった企業の役員」です。 海外で働く場合、たとえ日系企業の社員であっても、原則として日本の労働基準法は適用されません。 この現状に対し、上田さんは「二度と同じことが起きてほしくない」という思いで、過労死を起こした企業と共同で、海外赴任する社員の健康を守るための「管理マニュアル」を作成しました。 ■会社側は「過労死ライン下回る」も…実際の残業時間は約150時間だった可能性

直美さんの息子・優貴さんは2018年に大阪市に本社を置く日立造船(現カナデビア)に入社し、3年目、優貴さんはタイのごみ焼却プラントに関わる仕事を任され、渡航しました。 滞在予定は4カ月間で、優貴さんにとって初めての海外での仕事でした。しかし、渡航から約3カ月後、直美さんは突然、息子の死を知らされることとなりました。 直美さんは「過労が原因ではないか」と考えましたが、会社側はシフト表を提示し「死亡直前の月の残業時間は過労死ラインとされる月80時間を下回っていた」と説明しました。 しかし、直美さんが優貴さんのスマートフォンやパソコンを解析すると、深夜まで仕事をしていた履歴があり、実際の残業時間は約150時間だった可能性があることがわかったのです。 また、同僚などの証言から、海外での慣れない業務の中、繰り返し上司から叱責を受けていたことも判明。 2024年、労働基準監督署は「優貴さんは過労により自殺した」として、労働災害と認定しました。 ■海外で働く場合は日系企業社員でも日本の労働基準法は適用されない

海外で働く場合、たとえ日系企業の社員であっても、原則として日本の労働基準法は適用されません。 外務省の調査によると、日系企業の海外拠点は約8万8000カ所。 単身で現地に赴任するケースが多く、距離が離れた日本の本社が労務管理できていないことが常態化しています。 ■うつ病を発症し、赴任から3カ月後に自殺 13年間の闘い

こうした問題は、優貴さんだけにとどまりません。 験馬綾子さんは13年前、川崎重工業でエンジニアとして働いていた夫・浩司さん(当時35歳)を失いました。 2013年、浩司さんは中国の合弁会社への「出向」を命じられ、単身で渡航しました。 出向のため、所属していた川崎重工では「休職」扱いのはずでしたが、実際には出向先の業務と川崎重工から依頼される業務の両方に追われ、「二重雇用」の状態が続いていました。 二つの会社からの指示に板挟みとなった浩司さんは、うつ病を発症。赴任から3カ月後、浩司さんは中国で自ら命を絶ちました。 ■一審敗訴の絶望の中で「社会の問題だ」と気づいた

日本の労基署は浩司さんの労災を認定しましたが、川崎重工は「業務は過重ではなかった」と責任を認めませんでした。 綾子さんは2022年、川崎重工におよそ1億円の損害賠償を求める裁判を起こします。当時は、顔と名前を伏せていました。 しかし、一審判決は「浩司さんが過重な業務に従事していたとは認められない」として訴えを棄却。 絶望を覚えた綾子さんは、顔と名前を公表することを決断します。 【験馬綾子さん】「最初は個人的なことだと思っていました。でも、これは社会の問題だと教えていただいて。今働いている人にも関わることだと思って、覚悟を決めて公表するに至りました」 ■「出向元の安全配慮義務を認めた前例はない」和解が切り開いた道

そして2026年4月、川崎重工との和解が成立しました。 和解金が支払われる形での、実質的な「勝訴」です。 【験馬綾子さん】「裁判を続ける中で、ようやく夫の死と向き合えるようになりました」 和解の内容は明かされませんでしたが、代理人は「出向元の企業の安全配慮義務を明確に認めた判例はこれまでにない」と述べており、今後の企業の海外勤務のあり方に一石を投じる形となりました。 ■「ゴールではなく、スタートライン」マニュアルに込めた願い

綾子さんの闘いを見守ってきた上田さんもまた、「同じ悲劇を繰り返したくない」という思いから、旧・日立造船に海外赴任する社員を守るための管理マニュアルの作成を持ちかけました。 そして、何度も話し合いを重ね、2026年5月29日の共同会見での公表に至りました。 マニュアルには、海外での業務内容などの事前告知、宿舎での報告書の作成も労働時間として扱うこと、定期的なカウンセラーとの面談など、上田さんが強く要望していた項目が盛り込まれました。 【息子を亡くした上田直美さん】「私はこのマニュアルをゴールではなく、スタートラインだと思います」 海外での仕事が当たり前となった今、日本企業の変化が求められています。 (関西テレビ「newsランナー」 2026年6月4放送) ■#いのちSOS(特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク) 0120-061-338(24時間) ■よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター) 0120-279-338(24時間。外国語対応) ■いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟) 0120-783-556(毎日16時から21時。毎月10日午前8時から翌午前8時) ■こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 電話をかけた所在地の都道府県・政令指定都市が実施している「こころの健康電話相談」等の公的な相談機関に接続します。 子供向け相談窓口 ■チャイルドライン(特定非営利活動法人(NPO法人) チャイルドライン支援センター) 0120-783-556(毎日ごご4時からごご9時) ■こどものSOSのそうだんまどぐち(文部科学省) 0120-0-78310(24じかん) ■子どもの人権110番(法務省) 0120-007-110(平日午前8時30分~午後5時15分)

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