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【台風6号】「空振りじゃなく素振り」台風6号で初活用“新たな防災気象情報” 自治体がどう動いたか 現場を夜通し取材して見えた06月03日 20:50

「暗くなってからだと余計に危ない。空振りになっても、より安全な方向にいくことを徹底的にやっていきたい」 こう語ったのは、和歌山県那智勝浦町の堀順一郎町長です。 2026年6月2日から3日にかけて、台風6号が和歌山県に上陸しました。 この台風が、気象庁が先週から運用を始めた「新たな防災気象情報」の、初めての本格的な活用の場となりました。 関西テレビ「newsランナー」は、那智勝浦町の防災対策室に夜通し密着。住民の命を守るため、自治体がどう動いたかを徹底取材しました。 ■「レベル3」が変えた判断のスピード

「新たな防災気象情報」とは、気象庁が発表する警報などの情報に"レベル"を付けることで、自治体や住民が避難の基準を判断しやすくした仕組みです。 今年5月28日から運用が始まり、河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の4つの災害を対象に、レベル1(早期注意情報)からレベル5(特別警報)まで段階的に示されます。

台風上陸前日の6月2日午後、那智勝浦町の防災対策室では、職員たちが机を囲んで資料を確認していました。 防災対策室の毛利秀基室長は「新しい気象情報の"レベル3"に相当するので、避難に時間を要する人の呼びかけをしたらどうかなと」と話します。 注目すべきは、この時点で気象庁がまだレベル3警報を発表していなかったという点です。 今回から新たに始まった「時系列情報」と呼ばれる数時間後の見通しを活用し、那智勝浦町は早い段階で警戒レベル3の「高齢者等避難」を発令することを決定。 午後3時には防災無線で「お年寄りの方など避難に時間がかかる方は避難を開始してください」と呼びかけました。 ■「レベル3になったら避難、自分らみたいな年寄りはね」

午後3時10分、避難所に最初の住民が姿を見せました。 「自分の足に自信がないから早めに(避難した)」と話す女性は、新たな情報の変更を把握していました。 「レベル3になったら避難、自分らみたいな年寄りはね」という言葉は、住民への浸透を示す一場面でした。 住民も自治体も、新たな防災気象情報を活用して早め早めの避難行動につなげていたのです。 ■線状降水帯直前予測の"不具合" 深夜の緊急相談

順調に見えた対応でしたが、課題も浮き彫りになりました。 気象庁から「今回から始まった"線状降水帯直前予測"が適切に発表できない不具合が判明した」との連絡が入ったのです。 その後、和歌山県南部に実際に線状降水帯が発生しましたが、職員は気象庁からの電話で情報を得ることはできました。 そして日付が変わった午前0時53分、気象庁が「レベル4土砂災害危険警報」を発表。那智勝浦町は2つの地区に「避難指示」を発令し、災害対策本部を設置しました。

さらに午前3時16分には、住民から「水があふれていて避難所に行けない」と緊急の相談が入ります。 樫尾光俊消防長は「車の中にいるらしい。どこへ避難していいか分からないということで、あのあたりは水に浸かってきているような通報で、誘導してもらっていい?」と隊員に指示を出しました。 およそ30分後、「誘導完了です」との報告が入り、住民は無事に避難所へたどり着くことができました。 ■初活用の成果と残された課題

一夜明け、大きな被害は確認されませんでした。 毛利室長は初活用を次のように振り返りました。 ・よかった点:早め早めの「避難情報」発令につながった ・課題:「レベル3警報」「レベル4危険警報」で住民がとるべき行動の広報が必要 【那智勝浦町防災対策室 毛利秀基室長】「初めての新しい名称での各種警報でしたので、住民の人にレベル3がどういう行動をとるのか、レベル4はどういう行動をとるべきなのか、十分伝わっているのかどうか、最初なので気になったところです」 地域の防災訓練や広報・ホームページなど、さまざまな場面での周知が今後の課題として挙げられています。 ■「"空振り"じゃなくて"素振り"」 橋下氏の受け止め

元大阪府知事・大阪市長で弁護士の橋下徹氏は「那智勝浦町の職員の皆さんには本当に頭の下がる思いですし、全国の自治体もみんな職員が夜を徹してやってくれているから、住民の安全安心が守られている。世界でも最高レベルだと思います」と称えました。 避難情報の発令が"空振り"になることへの懸念については、次のように指摘します。 【橋下徹氏】「"空振り"じゃなくて"素振り"なんです。やることによっていろんなことが確認できる。とにかくまず発令をして、仮に問題がなかったとしても、それで1つ確認ができたということで"よし"とするという住民側の意識も重要です」 また、市長経験者として「避難勧告を出すのでも本当に大変。だって全部止まっちゃうから。だけどやっぱりやらなきゃしょうがない」と、自治体の決断の重さも率直に語りました。 (関西テレビ「newsランナー」2026年6月3日放送)

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