【解説】「もう知ってると思い込んでいたんじゃないか」学校から連絡前に関係先へ「息子がいなくなった」と伝えたか 父親・安達優季容疑者の“不可解な行動”を元捜査一課長が読み解く 京都・南丹市04月21日 20:22
京都府南丹市で11歳の安達結希さんが行方不明となり、遺体で発見された事件。
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」は、現場からの最新情報をもとに、これまでに現場を3度取材した元神奈川県警捜査一課長の鳴海達之氏が解説。
捜査関係者によると、安達容疑者は小学校から行方不明の連絡を受けるより前に、関係先に「息子(結希さん)がいなくなった」と伝えていたことが分かりました。
これについて鳴海氏は「家の方でも『もう知っているんだろう』と思い込んでいたんじゃないか」と指摘しました。
■「学校から連絡が来る前に関係先へ連絡」
捜査関係者によると、安達容疑者は小学校から行方不明の連絡を受けるより前に、関係先に「息子(結希さん)がいなくなった」と伝えていたことが分かりました。
結希さんは3月23日、小学校に登校しなかったことで行方不明が発覚しました。
この日の経緯を整理すると、以下の通りです。
・午前11時半:安達容疑者を含む両親が学校に迎えに来る
・午前11時45分(下校時間):卒業式対応で忙しかった担任が母親に「結希さんが来ていない」と連絡
・正午:安達容疑者が110番通報し「車で学校に送り届けた」と説明
■安達容疑者は「『もう知っている』と思い込んでいたんじゃないか」と分析
問題は、学校から連絡が来るより前に、安達容疑者が自ら「息子がいなくなった」と関係先に連絡していた点です。
鳴海氏はこの矛盾についてこう分析します。
【元神奈川県警 鳴海達之氏】「本来ならば、学校は子供がその時間までに来なければ、家庭に電話をするでしょうね。
そこで初めて、その親は『学校行ったのになぜいないんだろう』と気づくのでしょうけど、この場合はおそらく容疑者は、学校から妻に電話が行っていて、家の方でも『もう知っているんだろう』と思い込んでいたんじゃないか」
■「学校まで車で行った」偽装のための行動か
警察の調べによると、安達容疑者が運転する車は3月23日の朝、学校付近で確認されています。しかし結希さんの姿は確認されていません。
スタジオからは「安達容疑者だけで学校に行った可能性」も指摘されました。
鳴海氏は安達容疑者が「車で学校に向かった」意味をこう推測します。
【元神奈川県警 鳴海達之氏】「『学校に送っていく』と言った手前、やはり学校までは行かなきゃいけない。
自分の車で学校のそばまで行って、誰かに見られてもちゃんと送っていったという偽装ができる。そのためだけに行ったんだろうと思います」
■「衝動的に」という言葉を一概に信じてはいけない
安達容疑者は任意の取り調べに対し、「衝動的に首を絞めて殺した」という趣旨の供述をしているとされます。
しかし鳴海氏は、「衝動的」という表現に慎重な見方を示しました。
【元神奈川県警 鳴海達之氏】「『衝動的に』というのは、いま容疑者が話をしているだけであって、それを警察が追認しているかというと、今の段階ではそうではないと思います。
殺意を抱いていく過程があって、いくつかの段階を超えて爆発したときに、人は殺害という行動を取るんだろうと思う。『いつか機会があったら殺してやろう』と思えば、ある程度の計画性があると見てもいい」
また、ジャーナリストの岸田雪子氏は、「衝動的だった」という供述が、容疑者にとって有利に働く側面を指摘しました。
【岸田雪子氏】「計画性があれば、より悪質性が高いと見られがちですよね。『衝動的だった』『全部、場当たり的だった』ということにして、傷害致死のような形で刑罰を軽くするストーリーを描けてしまうんじゃないか」
これに対し鳴海氏は、殺人と傷害致死の線引きについてこう述べました。
【元神奈川県警 鳴海達之氏】「首を絞めて殺したということに傷害致死はないと思う。首を絞めればどういう結果になるか、呼吸ができずに死んでしまうわけですから、生命維持に欠かせない部分を攻撃するということ自体は、殺意が強いとみてもいい」
■厳重なブルーシートの奥で…押収車両を長時間調べる
4月21日午前、南丹警察署の駐車場では朝から押収車両の鑑識作業が続きました。
ビニールーシートで厳重に目隠しされた空間の中で、ヘアキャップ・マスク・手袋を着用した鑑識員らが頻繁に出入りする様子が確認されました。
作業は午前11時過ぎから始まり、3時間以上にわたって続いていました。
捜査本部はすでに「遺体は何らかの乗り物を使って運ばれたとみられる」との見解を示しており、押収車両は事件の鍵を握る存在として位置づけられています。
鳴海氏は今回調べた意義をこう説明します。
【元神奈川県警 鳴海達之氏】「容疑者が『この車を使って遺体を運んだ』と供述しているのではないかと私は思っていて、どの席に座ったのか、繊維片や微物をずっと探してますから、相応の時間がかかっているんだろうと思います」
さらに、3月26日にも車の調べが行われていたことを受け、今回との違いについてこう解説しました。
【元神奈川県警 鳴海達之氏】「自供をした後の作業ですから、ちょっと意味合いが違う。前の捜索とは違ってもっと綿密に調べようということで、もう本当に繊維の一本でも見逃さないような作業をやってるんだと思います」
■遺留品の点在 通勤ルートとの重なり
事件の経緯を振り返ると、遺留品は安達容疑者の自宅から勤務先への通勤ルート上に点在していました。
・3月29日:通学カバンが発見
・4月12日:結希さんが履いていたとみられる靴が発見
・4月13日:小学校から約2キロの地点で遺体が発見
鳴海氏はこの遺留品の配置についてこう見ます。
【元神奈川県警 鳴海達之氏】「朝の時間帯の犯行ですから、その日は会社に行く予定がある。なるべく時間が遅れないように疑われないように、事情もよく知っていて、『ここには人がいるとかいないとか分かっている』ルート上で、点在して遺留物を置いたのではないかと思います」
■今後の焦点「死体遺棄を固めてから殺人へ」
今後の捜査の方向性について、鳴海氏はこう見通します。
【元神奈川県警 鳴海達之氏】「死体遺棄事件をしっかり固めて、一旦、起訴なりをしないといけない。殺人の関係が立件できるようであれば、再逮捕をかければいいわけです。その前段として死体遺棄を固めていかないと、殺人自体もまた崩れる可能性が十分にあります」
また、任意段階の供述の重要性についても言及しました。
【元神奈川県警 鳴海達之氏】「結希さんがいなくなった当日の午前中から午後の話ですから、勘違いしたとか思い違いしたということはありえない。言ったことは全て自分がしゃべったこととして責任を持ってもらわないと困る」
安達容疑者は現在、取り調べに対して落ち着いた態度で応じているということで、警察は詳しく調べを進めています。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年4月21日放送)