関西のニュース

「前はジャーって出てたのに」貯水率低下など受け『21年ぶり給水制限』奈良県内24市町村・88万人に影響 気象予報士「これから梅雨ごろ雨量“平年並みか平年よりも少し多い”」も「“劇的”解消は考えにくい」04月02日 19:31

全国各地で起きている深刻な水不足。福岡県の寺内ダムでは水が干上がり、愛知県の宇連(うれ)ダムでは先月、貯水率が0%となるなど異常事態になっています。 水不足は関西でも。奈良県橿原市では”水不足です”と書かれた横断幕が街中に。 実は奈良県、県のほぼ中央に位置する大滝ダムの貯水率が低下したことなどを受け、水の供給量を7%カットする「給水制限」を、21年ぶりに実施しています。 影響は24市町村であわせておよそ88万人に及びます。 ■「前はジャーって出てたのに」と街の声

奈良の街を歩くと、住民はすでに変化を感じ取っていました。 大和高田市のある女性は「市のLINEで見た。3月31日からって書いてますね」と話します。 別の女性は「(水の勢いが)ちょっと緩くなったんちゃうかな。前はジャーって出てたから。私出し方が悪いんかなと思うくらい」と首をかしげました。 ■「小麦粉と水がベーカリーにとって命」

水不足の影響は、日常の食卓にも及んでいます。 大正14年創業のウエダベーカリーでは、水不足と小麦の価格高騰が重なり、不安が高まっています。 【猶原秀和社長】「食パンひとつの粉に対して、大体50%とかの水を練り込んで、もちもちしたパン生地を作るんです。 小麦粉と水がベーカリーにとって命なんで、水が制限されると大変なことになります。『うち商売やっていけんの?パン作れんの?』みたいな感じ」 ■福祉施設では「お風呂を週2日に」

高齢者が日々利用する福祉施設にも、節水の波は押し寄せています。 かぐや姫のふるさとといわれる、奈良県広陵町にある福祉施設の大浴場では、浴槽のお湯をすべて抜いて節水を実施しています。 1日におよそ2万リットルを使う大浴場は、先週から週5日の利用を週2日に制限しています。 掲示には「奈良県からの節水協力の呼びかけにより、今後のダム貯水量次第では全面休止の可能性もある」との内容が記されていました。 知らずにやって来た女性は「お風呂入ろうと思って来たんですけど、休みいうの知らんから来ちゃって。やっぱり大きいといいですわ。家やとこんなちっちゃいからね」と話しました。 ■夏野菜も心配、特産イチゴも"水が命"

地元野菜や特産品の生産現場にも、影響の影が忍び寄っています。 広陵町の地元産野菜を販売する「はしお元気村」の青木敏志館長は「ナスとかキュウリは、これから出てきますし、(野菜は)地元産ですから、水不足になれば大変ですよね」と語りました。 さらに深刻なのが、奈良県のブランド品種「古都華(ことか)」などを栽培するイチゴ農園です。 およそ1万株の栽培に、多い日で1日3トンもの水が必要となるといいます。 【幸せいちご園 上平和真さん】「日射比例といって、太陽の強さに応じて水の量を流していく機械を使っています。水を切ってしまうと本当に1日で枯れてしまう。それぐらい水は大事です」 根の成長具合に応じて水量を細かく調整するなど、無駄を出さない工夫はしているものの、上平さんは複雑な心境を語ります。 【幸せいちご園 上平和真さん】「節水しないといけないとは分かっているんですけれど、イチゴ栽培においては、どうしても水をやらないと、イチゴの実がならないので。節水も意識しつつ、必要な水はやっていきたいと」 ■ダムの底に眠る"幻の村"が姿を現した

水位の低下は、意外な"発見"ももたらしました。 大滝ダムは67年前、伊勢湾台風による被害をきっかけに建設が決まりました。建設場所が村の中心部だったため、多くの住民が移転を余儀なくされました。 ダムの完成によって役場をはじめ、およそ400の建物が水の底に沈みました。今回、水位が大幅に低下したことで、その痕跡が久しぶりに水面上に姿を現したのです。 石垣、錆びたガードレール、そして大きな橋…。まるで遺跡のように、かつて人々が暮らした村の面影が、泥の中からよみがえっていました。 紀の川ダム統合管理事務所の名村圭司建設専門官は「貯水率が低下していることで、皆様には節水へのご協力をぜひともお願いしたい」と呼びかけます。 ■「春の水不足」はなぜ起きたのか

夏を迎える前に起きた“春の水不足”は珍しいことなのでしょうか。気象予報士の片平敦さんは「そんなに例があることではない」と述べ、次のように分析します。 【片平敦気象予報士】「去年の記録的な『空梅雨』だったり、台風による雨が少なかったり。これが影響して、さらに冬場の太平洋側の記録的な雨不足。 ここもさらに効いてきてしまったので、春になって雨が少ない、水が少ないという状況になっています」 複数の"雨不足"が積み重なった結果が、この春の危機として表れているといいます。では、このまま夏を迎えても大丈夫なのでしょうか。 【片平敦気象予報士】「今のところ、これから梅雨ごろにかけての雨の量は、平年並みか平年よりも少し多いという見通しになっています。 ただ、3カ月ぐらいかけてそういう(雨が降る)状況になるので、例えば1日、2日雨が降ったからといって劇的に解消するかというと、なかなかそこまでは考えにくい」 (関西テレビ「newsランナー」2026年4月2日放送)

この記事をシェアする

最新のニュース

関西のニュース一覧