関西のニュース

コインパーキング7年放置で300万円超 深刻化する「無法地帯」の実態 「止められ損」の被害者が泣き寝入り 放置車両撤去の「自力救済禁止の原則」という壁03月04日 05:00

「危ないで!逃げたらダメ!運転手さん!」 兵庫県警の警察官の声が夜の繁華街に響きます。 日々、警察を悩ませ続ける違法駐車や放置車両の問題。 ことし2月、兵庫県では衝撃的な事件が発生しました。コインパーキングに約7年間車を放置し続けた男が逮捕され、その請求金額は300万円を上回ったのです。 こうした事案は全国で相次いでおり、「newsランナー」が徹底取材を行いました。 ■「323万8200円」7年間放置された驚愕の請求額

2月4日、神戸市灘区で起きた衝撃的な事件。 【記者リポート】「男はこちらの時間貸し駐車場に、なんと7年間に渡り、車を放置し続けたのです」 コインパーキングに車を停め続け、管理会社の業務を妨害した疑いで、運送業の男が逮捕されました。 男が放置していた期間はおよそ7年間。請求金額はなんと323万8200円に上り、車は一度も動かされた形跡がありませんでした。 今、迷惑な違法駐車や放置車両の摘発に力を入れる兵庫県警。「newsランナー」は、その摘発の様子に密着しました。 ■「逃げたらダメ!」緊迫の取り締まり現場

道路沿いにずらりと並ぶ車。これらはすべて違法に駐車や放置された車両です。警察官は1台1台、車の状況を確認していきます。 【警察官】「中に人が乗っていないか、ドアロックの状況などの確認。放置で車内が無人ということも確認」 そして開始から1時間、取材班は緊迫した場面に遭遇しました。 警察が目を付けたのは、駐車禁止のエリアで客待ちをしていたタクシーです。 【警察官】「逃げたらダメですよ。逃げたらダメダメ!逃げたらダメ!運転手さん危ないで!逃げたらダメ!なんで逃げようとするの!免許証、出して」 しかし警察官を無視して、車を発進させようとする運転手。「エンジン止めて、エンジン止めなさい!」という警察官の声が響きます。 本来、横断歩道の前後5メートル以内は駐停車禁止ですが、タクシーは禁止エリアで客待ちをしていました。 タクシー運転手は恨み節をぶつけます。「(違反が)9点になるんで免停に…」「あなた方のおかげでもう会社辞めますわ。僕はもういないと思うので。今までやったら(違反)7点でなんとか会社ごまかせてたけど…、9点になるから…あなた方には関係ないでしょうけど」 しかし違反は違反。後日、反則金を払うことになりました。 ■「ナンバープレートない車が4台連なってます」六甲アイランドの実態

この日、警察が取り締まったのは69件。三宮の繁華街ということもあり、その多くが短時間の駐車違反でした。 一方で、警察によると神戸市内のある地域では、車両の「放置」が問題となっているとのことで、取材班が向かいました。 【記者リポート】「大型トラックが多く行きかう道ですけど、ナンバープレートない車が、4台連なってますね」 神戸市の六甲アイランドで目に付いたのは、ナンバープレートが外された車。 【記者リポート】「割と新しいというか、ボロボロになることもなく、きれいな状態の車という印象があります」 動かなくなって処理に困り放置した、というわけでもなさそうです。 この道を管理している神戸市港湾局に聞くと、「中古車を輸出する業者が一時的に車を置いていたり、単純にいらなくなった車を捨てに来たりしている」とのことでした。 六甲アイランドには海に面した船着き場があり、「悪質な輸出業者が安易に放置しやすい」というのです。 この道を利用する人たちも「どかしたいね、邪魔やわほんまに」や「私らもここに納品するのに順番待ちをするんですけど、二重駐車みたいになって本当に危ない状態が続いた。警察も所有者が分からないものは、勝手に撤去できない」と頭を悩ませています。 ■「自力救済禁止の原則」被害者が背負う重い負担

聞かれたのは、「所有者が分からないと撤去できない」という声。一体どういうことなのか。こういったトラブルに詳しい専門家に聞きました。 らい麦法律事務所の阪口亮弁護士は「勝手に動かすと、民法上『自力救済禁止の原則』というのがあって、私人が自分で実力を行使してはいけないというルールがある。裁判手続きなどを経て解決しないといけないということになっているので、仮に勝手に処分してしまうと、損害賠償請求を受けるリスクなどがある」と説明します。 取材で見えてきたのは、放置車両の被害を受けても、煩雑な手続きを被害者側が背負わなければいけない厳しい実情です。 ■「99万9990円」放置車両バスターの現場に密着

こういった被害者の負担を減らそうと、撤去までの手続きを代行する業者も現れています。 取材班が密着したのは、全国から年間およそ1000件の依頼を受ける「放置車両バスター」。 この日向かったのは岡山市内のコインパーキング。「1年以上に渡って放置されている」という車がありました。 放置車両撤去システムの吉川新一代表は状況を確認します。「ああ、多分これでしょうね。タイヤが全然空気が入ってないです。たぶん営業車でしょうね。ちょっと駐車料金を見ときましょうか」 そして衝撃の金額が表示されました。 【放置車両撤去システム 吉川新一代表】「うわ…出た!え…99万9990円。実際には、この表示されているのが、機械の上限なので、恐らく軽く(100万円を)超えていってると思います」 会社名が書いてあったため電話をかけてみましたが、「おかけになった番号は現在使われておりません」のアナウンス。「もう実態がないのかもしれないですよね、営業されていないとか」と吉川代表は話します。 放置されている車が法人管理の場合、すでにその会社が倒産していると、持ち主をたどることが難しいということです。 ■「経済的に厳しい」放置車両の所有者を直撃

もう1件訪れた別のコインパーキングでは、車検切れの車が放置されていました。 【放置車両撤去システム 吉川新一代表】「去年2月に車検が切れてますね」 この場所に止められたのは「切れる前だと思います。切れたから動かせない」と推測します。 なぜ車の所有者は放置を続けているのか。ナンバープレートなどから所有者を割り出すことができたということで、「撤去してもよいか」家に交渉に向かいます。 帰宅を待つこと4時間。ついに放置車両の所有者本人との交渉へ。 吉川代表は交渉結果を報告しました。 【放置車両撤去システム 吉川新一代表】「お会いすることができました。今一番ネックになってるのが、経済的に厳しいということもあって、今後また自動車に乗り続けることが困難だろうと。自動車の処分の同意をする書面を頂いてきたんで、まずはこちらで自動車を移動すること、処分することは可能になりました」 放置していた男性によると、去年2月に車検が切れた後も6月ごろまでは代金を支払っていたものの、体調を崩したことにより、働けなくなり次第に支払いが滞る状態になったということです。 ■「止められ損」の現状を変える制度作りが急務

吉川代表は現状の課題を語ります。 【放置車両撤去システム 吉川新一代表】「放置車両を発生しないための対策というのは、ほんと正直ないんですね。相談いただく中でも、きょう朝起きて家を出ようと思ったら、勝手に知らない車が停まっているということも、ほんとにあるんですよ」 被害者の「止められ損」になってしまっている現状。 これ以上泣き寝入りすることがないよう、新たな制度作りが求められます。 (関西テレビ「newsランナー」2026年3月3日放送)

この記事をシェアする

最新のニュース

関西のニュース一覧