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「安青錦のようになりたい」諦めかけた横綱の夢 安青錦の活躍と戦地から持ち帰った“土俵”が希望に ウクライナから横綱を目指す11歳の少年03月01日 08:00

2月に東京で行われた『白鵬杯』。元横綱の白鵬さんが主催する世界大会で、およそ20の国と地域から、1700人以上が参加しました。 会場に、ひときわ緊張した様子の少年の姿がありました。この大会に出場するため、ウクライナから来たウラドくん(11)です。 将来の夢は、大相撲の横綱。でも4年前、その夢は消えかけていました。 ウラドくんにとって、ターニングポイントとなったのが、ウクライナ出身で、異例の早さで大関に昇進した大関・安青錦の存在。 【ウラドくん】「安青錦のようになりたいです」 相撲に人生をかける11歳。彼の目に戦争は、相撲はどのように映っているのでしょうか。憧れの力士に近づくために奮闘する姿を追いました。 ■3歳から始めた相撲

白鵬杯の4日前。ウラジスラブ・スタビツキくん、愛称ウラドくんの姿は、愛媛県西予市にありました。 ここは江戸時代から170年以上続く相撲大会が行われるなど、相撲文化が息づく町。 2022年にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって以降、支援の一環として、合宿場の提供などを行ってきました。 ウクライナはもともと格闘技が盛んな国。相撲の選手の育成にも力を入れていて、ウラドくんは今回、日本に滞在する13日間で、少しでも技術を吸収したいと思っています。 (Q:相撲で一番好きな言葉は?) 【ウラドくん】「『のこった のこった』より強くという意味がこめられているらしいから」 ウラドくんが相撲を始めたのは、3歳の時でした。すぐに頭角をあらわし、数々の国内大会で優勝。 ■故郷はロシアの激しい攻撃に…

しかし、2022年に故郷のバフムトは、ロシアの激しい攻撃にさらされ、廃墟と化しました。 ウラドくんは、家族と共に600キロ離れた首都キーウ近郊の町に避難。 相撲ができる状況ではなく、ふさぎこみがちになり、2年が経過。 ■相撲を諦めきれず来日した安青錦関は異例の早さで初優勝

そんな中、大相撲の世界で活躍し始めたのがウクライナ出身の力士・安青錦でした。安青錦は侵攻直後、ドイツに避難しましたが、相撲が諦めきれず日本の知り合いを頼って来日。 ウラドくんと同じ、西予市の土俵で稽古に励んだことも。そして、相撲部屋への入門の道を切り開き、そこから異例の早さで初優勝。大関に昇進しました。 【安青錦関】「両親にも友達からたくさん連絡が来ているらしくて、自分の活躍を見て、相撲に興味を持ってもらう人が増えているので、それは自分にとって嬉しい」 この活躍がウラドくんに相撲への希望を芽生えさせました。 ■大人たちが命がけで戦地から土俵マットを持ち帰り 再び相撲の稽古ができるように

さらにウラドくんを後押しする出来事がありました。 大人たちが、命がけで戦地から土俵マットを持ち帰ったのです。再び相撲の稽古ができるようになりました。 しかし、練習環境は厳しいものでした。空襲警報が鳴るたびに稽古は中断。ミサイル攻撃などもあり、危険な状況は続いています。 ■どうしても欲しかった日本行きの切符

それでも、ウラドくんは懸命に取り組み、白鵬杯に向けた予選を勝ち抜きました。どうしても欲しかった日本行きの切符です。 (Q:相撲のどういうところが好き?) 【ウラドくん】「(相撲の)技が好きです。引き分けなしのルールも好きです。安青錦のようになりたいです。幕内で優勝して横綱になりたいです」 頭から強く当たることに慣れていないウラドくんは、課題である立ち合いを何度も練習しますが、不慣れな土俵に苦戦します。 【西予市立野村中学校相撲部 山下成樹監督】「当たるのがベスト。だけど、いつもやっていないし、慣れてないからちょっとずらす。理想は当たる」 ■ウラドくんの父親は今も前線に

ウラドくんの父親は、侵攻が始まってすぐに徴兵され、今も前線にいます。 父親とテレビ電話をするウラドくん。 【ウラドくんの父親】「元気かい?」 【ウラドくん】「元気だよ」 【ウラドくんの父親】「きょう何を食べた?」 【ウラドくん】「肉と刺身」 【ウラドくんの父親】「お腹は空いていないんだね?」 【ウラドくん】「空いていない。父さんは無事?」 【ウラドくんの父親】「元気だよ。寒いよ。こっちはマイナス13度だ」 【ウラドくん】「マイナス13度だって」 なかなか会うことができない父親と話せる貴重な時間。ウラドくんは穏やかな表情を見せます。 ■「戦争が始まったことが悲しい」

【ウラドくん】「戦争が始まったことが悲しい。お父さんが休暇で家に帰る時が一番嬉しい」 【ウラドくんの母親】「戦争が始まってから、自分の殻に閉じこもるようになりました。故郷を離れ、父親も戦地へ向かったからです。 子供たちがお父さんと直接会って、一緒に過ごす普通の子供の人生を送れることが願いです。昔のようには戻らないけど、これ以上悪くならないことを祈ります」 ■優勝目指した「白鵬杯」 課題を克服するも3回戦で惜しくも敗れる

そして迎えた白鵬杯。目標はもちろん優勝です。 【コーチ】「相手が小さかろうと大きかろうと戦うしかない」 課題だった頭から強く当たるという相撲を取り切り、勝利。 2回戦も勝利し、迎えた3回戦。果敢にぶつかっていったものの体格差のある相手に敗れました。 ■「安青錦と同じくらい強くなりたい」ウラドくんは自分の信じる相撲道を突き進む

大会を終えたウラドくんは、悔しさで涙をにじませながら話します。 【ウラドくん】「勝てることを証明できなかった。負けて悔しい。日本が大好きです。停電や空襲警報や砲撃がないから。安青錦と同じくらい強くなりたいです。ずっと横綱でいたいです」 祖国に再び平和が訪れることを信じて…ウラドくんは自分の信じる相撲道を突き進みます。 (関西テレビ「newsランナー」 2026年2月26日放送)

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