関西のニュース

「『お父ちゃん、やったね』。父に報告ができるのは感無量です」と遺族 42年前発生・強盗殺人「日野町事件」無期懲役刑で服役中に病死男性『裁判やり直し』決定 検察の不服申し立てで地裁判断から「8年」経過02月25日 20:29

異例の決定です。最高裁判所はきのう=2月24日付で、42年前に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件について、無期懲役刑が確定した男性の裁判のやりなおしを認めました。 男性はすでに死亡していて、「死後再審」は戦後初めてとみられます。 ■最高裁が再審の開始を決定「父に嬉しい報告ができるっていうのは感無量です」

滋賀県に住む阪原弘次さん。無期懲役の判決を受け、受刑者のまま亡くなった父・弘さんの裁判のやり直しを求め続けてきました。 最高裁判所はきのう=24日付で、有罪の重要な証拠の信用性に疑問が生じ無罪を言い渡すべき新たな証拠があるとして再審の開始を決定しました。 再審開始の決定の知らせを、阪原さんが真っ先に伝えたのは、88歳になる母親でした。 【阪原弘さんの息子・阪原弘次さん】「通知きたんやろ?よかったなぁ。よかったなぁ」 【阪原弘さんの妻・つやこさん(88)】「よかったなぁ。嬉しかったわ。もうちょっと頑張ろうな」 無期懲役以上で服期中に死亡した人の裁判がやり直されるのは戦後、初めてとみられます。 (Q.お父様に伝えたい言葉は?) 【阪原弘さんの息子・阪原弘次さん】「『お父ちゃん、やったね』。父に嬉しい報告ができるっていうのは感無量です」 ■酒店経営者の女性への強盗殺人の疑いで阪原弘さんが逮捕

事件が起きたのは1984年。滋賀県日野町で、酒店を経営していた女性が行方不明になり、草むらから遺体となって見つかりました。 そして、町内の別の場所からは、店にあった金庫が見つかりました。 発生からおよそ3年。捜査は難航し、迷宮入りかと思われたころ、警察は被害者の店の常連客だった阪原弘さんを強盗殺人の疑いで逮捕したのです。 決め手は任意での取り調べで犯行を「自白」したことでした。 ■「『はい、私がやりました』と言ったとき3人の警察・刑事はにっこり笑い…」

裁判では「自白は警察に強要されたもの」として、当日のアリバイなどを主張し無罪を訴えましたが、2000年に最高裁で「無期懲役」が確定。 体調を崩し、一時病院に入院していた弘さんを支援者が撮影した映像が残されています。 【阪原弘さん】「自白も、私はするつもりはなかったんですが、(警察に)ひどい暴行を受け、3人がかりの暴行で、もうとても… これはもう私一人では済まさん。家族までも犯人扱いにされると思い、私が『はい、私がやりました』と言ったときには、3人の警察・刑事はにっこり笑い… 法律みたいなものは、私にはそんなものはわかりません。みなさん、私はこれから、どうしたらいいんでしょうね…」 弘さんは無実を訴え、再審を請求したものの、実現しないまま服役中に75歳で病死しました。 ■「盗まれた金庫の発見現場」までの案内示す証拠写真に「帰り道」混ざる

その後、息子の弘次さんら遺族が、再び再審請求を行い、「ずさんな捜査の実態」が明らかになります。 この事件では、盗まれた金庫の発見現場まで、弘さんが案内できたとすることが有罪の決め手の一つでした。 しかし裁判所に提出された「金庫まで案内する様子」を示す証拠写真について、不審に感じた弁護士の要請を受け、裁判所が検察にネガフィルムの開示を要請。 すると帰り道の写真が混ぜられていて、証拠のねつ造ともいえる事態が判明したのです。 これらが決め手となり、2018年に大津地裁が再審の開始を決定。2023年に大阪高裁もこの判断を維持しました。 【阪原弘次さん(2018年)】「30年目にしてやっと再審開始の決定を頂きました。本当に夢のようです」 ■棄却決定が来てないかと…毎日ポストを確認していた息子・弘次さん

しかし、検察が再び不服を申し立てたため、高裁の決定以降、またしても動きが止まります。 【阪原弘次さん(去年10月)】「(不服申し立てに)棄却決定が来てないかと思って毎日ポスト確認してます。最高裁判所から通達がきてないかと思って…来てないですね。つらいですね」 弘次さんが急ぐ理由は、高齢になった母の存在。夫の無実を訴え続け、88歳になりました。 (Q.最高裁判所の決定を待っているのは、どんな気持ちですか?) 【阪原弘さんの妻・つやこさん(88)】「しんどいですね。『わかってもらえたよ』って言えるように、無理して頑張って生きようと思って、頑張っています」 ■最高裁「捜査の信用性に疑問が残りこれを前提とした有罪判決は維持しがたい」

大阪地裁の決定から8年。最高裁はきのう=24日付で、再審の開始を決定しました。 最高裁は、弘さんの犯人性を認める上で重視した金庫の発見場所へ案内したとされる捜査の信用性に疑問が残り、これを前提とした有罪判決は維持しがたいと指摘。 また、本人のアリバイ主張についても虚偽と認めるには合理的な疑いが残るなどとして無罪を言い渡すべきことが明らかな新証拠があると判断しました。 弘次さんは、70年間手付かずの再審法の改正を訴える集会に参加していたところ、待ちに待った知らせが届きました。 【阪原弘さんの息子・弘次さん】「(地裁の再審開始決定から)8年間もひっぱって。一次再審で開始決定が出ていたら、父は生きていたし。 今は20名を超える子供、孫、ひ孫、玄孫まで生まれています。それに囲まれて幸せに暮らしていたと思います。 (検察は)できたら意味のない抗告をするのであれば、もうやめていただきたい。そうしたら1日も早く再審で苦しんでいる方々が救われるので」 ■妻・つやこさん「『みんなに助けてもらって、わかってもらえたよ』と言いたい」

滋賀の自宅にも決定を伝える通知が届きました。 【阪原弘さんの妻・つやこさん(88)】「死んでも魂は生きてるじゃないですか。喜んでくれると思います、弘もね。 それが嬉しい。『みんなに助けてもらって、わかってもらえたよ』って言いたいです」 最高検察庁は、「特別抗告が棄却されたことは遺憾であるが、改めて証拠関係を精査した上、再審公判に適切に対応するものと承知している」とコメントしています。 (関西テレビ「newsランナー」2026年2月25日放送)

この記事をシェアする

最新のニュース

関西のニュース一覧