被害者の妻「『死刑にしたいか』とよく聞かれますが答えは『いいえ』。一生、命を奪ったことに向き合っていってほしい」保護司殺害事件で意見陳述 被告は目を伏せる場面も02月24日 18:18
滋賀県大津市で担当の保護司だった新庄博志さん(当時60歳)を殺害した罪などに問われている飯塚紘平被告(36)の裁判員裁判で、検察側は24日、無期懲役を求刑しました。
この日の裁判では被害者参加制度を利用している新庄さんの妻が意見陳述し、飯塚被告に対し「あまりにも命を軽視しすぎるのではありませんか?」と問いかけました。
また「『死刑にしたいか』とよく聞かれますが、答えは『いいえ』です」と述べ、「飯塚君には一生、かけがえのない命を奪ったことに向き合っていってほしい」と訴えました。
■「被疑者が飯塚君だと知った時 正直信じられませんでした」
【新庄さんの妻の意見陳述より】
「私の人生最大の悲しみと、恐怖にうちのめされたあの日から1年9か月。
夫の周りにいた、たくさんの人たちの人生が変わってしまいました。
事件当日、大阪から新幹線を使って大津に向かいました。
やっと夫に会えたのは数日後、大津北(警察)署に安置されている姿でした
変わり果てた姿に、最初、夫だとはわからず一旦部屋を出ることになりました。
慣れ親しんだ夫とは全然違うものでした。
被疑者が飯塚君だと知った時、正直信じられませんでした。本人なりにしっかりした考えを持った子だなと思っていました」
こうして新庄さんの妻が意見を述べている間、飯塚被告はじっとまっすぐ前を向いたままでした。
■「あまりにも命を軽視しすぎるのではありませんか?」
【新庄さんの妻の意見陳述より】
「飯塚君、何も感じませんか?お母様を想う気持ちを持っていましたよね?
飯塚君、あなたと笑いながら食事をしたり、話した時間を思い出してください。
夫もあなたとの時間を楽しんでいたと思います」
ここで飯塚被告は目を伏せました。
【新庄さんの妻の意見陳述より】
「あなたにとっては、そんな時間も意味のない茶番だったというのでしょうか。
人の命を奪う。それも善良な一市民の命を奪う。
あまりにも命を軽視しすぎるのではありませんか?」
■「『死刑にしたいか』よく聞かれます。私の答えは『いいえ』です」
【新庄さんの妻の意見陳述より】
「『ご主人を殺めた人を死刑にしたいか』とよく聞かれます。私の答えは『否(いな)、いいえ』です。
何があっても変えられない大事なものを失くしてしまったことを、深く深く考えてほしい。
飯塚君には一生、かけがえのない命を奪ったことに向き合っていってほしい」
■事件は「私の人生で最大の間違い。本当に申し訳ございませんでした」と被告
一方、飯塚被告は裁判の最後で次のように話しました。
【飯塚被告の最終意見陳述より】
このような事件を起こしてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです。
挫折挫折の5年ほどです。うまくいかないことばかりで自分がイヤになりました。
守護神に「保護司を殺せば状況を打開できる」と言われ、信じて凶行に及んでしまいました。
新庄さんに恨みはないのに、自分のストレスをぶつけありえないことをしてしまいました。
この事件を起こしたことは私の人生で最大の間違いです。取り消せるなら取り消したい。謝るしかできません。本当に申し訳ございませんでした。
■飯塚被告 起訴内容認めるも「守護神様の声に従ってやりました」責任能力が争点
飯塚被告は、おととし5月、大津市で保護司をしていた新庄さんの左胸や首などをナイフと斧で複数回突き刺して殺害した罪などに問われています。
これまでの裁判で、飯塚被告は起訴内容を認めたうえで「守護神様の声に従ってやりました」と話し、弁護側は、幻聴の影響などで責任能力に問題があったと主張しています。
きょう=24日の裁判で検察側は無期懲役を求刑し、弁護側は有期刑が相当と主張しました。
判決は来月2日に言い渡されます。