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”便利”が”恐怖”に…急増する「紛失防止タグ」の”ストーカー悪用” 法改正でも追いつかない新たな脅威に「探知機はない」と防犯専門家も警告01月29日 05:00

財布やカギなどの貴重品につけておくだけで、紛失時にスマホで位置を確認できる「紛失防止タグ」。 この便利なアイテムが今、思わぬ形で悪用され、新たな社会問題となっています。 茨城県の殺害事件をはじめ、ストーカー被害の手口として使われるケースが急増しており、その実態と対策を探りました。 ■"紛失防止タグ”を犯罪に利用 ネイリスト女性殺害事件

去年の大晦日、茨城県水戸市でネイリストの女性が殺害された事件。逮捕された元交際相手の男は、女性に対してストーカー行為をしていた疑いがあります。 そして、女性の自宅にあったぬいぐるみから「紛失防止タグ」が発見されました。男はこのタグをぬいぐるみに入れて、女性の自宅を特定したとみられています。 紛失防止タグとは、家電量販店などで販売されている小型の発信機で、財布やカバンなどに取り付けることで、失くした時にスマートフォンでその位置を確認できる便利なアイテムです。 しかし、この便利な機能が思わぬ形で悪用されているのです。 ■相次ぐ被害の実態

取材班が実際に話を聞いた30代女性は、バイクのイベントから帰った後、職場の駐車場で先輩にバイクのナンバープレートの裏に紛失防止タグが付けられていることを指摘されました。 「バイクのイベントに出かけていて、その間に付けられたのか、ナンバープレートの裏につけられていて、手のひらにのるくらいでした」と女性は振り返ります。 【被害に遭った女性(30代)】「高いバイクでもないですし、どこに住んでいるのかなというところだとは思います。もしそれが自宅に置いていたら住所もばれちゃうな...めちゃくちゃ怖いですね」 紛失防止タグを悪用したストーカー事案の相談件数は年々増加し、去年は約600件と毎年過去最多を更新しています。 ■驚くべき位置特定の精度

紛失防止タグはどれほどの精度で位置を特定できるのか。取材班は街中で実験を行いました。 財布に紛失防止タグを入れて、スタッフに持ち歩いてもらい、約10分後にスマートフォンで位置情報を確認すると、スタッフの移動方向が明確に表示されました。 約40分後には大阪・なんばの雑踏の中でもスタッフを見つけることができました。 スマートフォン上の表示と実際の位置にはほとんど誤差がなく、高い精度で位置情報が把握できることが確認されました。 ■GPSとは異なる仕組みと安さが悪用の背景に

GPSを利用した防犯グッズなどを扱う店の担当者によると、従来のGPS機器と紛失防止タグでは仕組みが大きく異なります。 【防犯110番 竹田直樹さん】「GPSに関しては衛星を使って位置の精度がかなり高く取れる形になります。 紛失防止タグに関しては、通信がBluetoothを使ったもので、スマホと連携して使うことを想定しています」 紛失防止タグはGPS機器と比べて通信方法が全く異なるうえに、安く手に入れやすいという特徴があります。 防犯110番の竹田さんは「ご自身を守る、財産を守るためにGPSをお勧めしているので、悪用されるのは許せません」と不快感を示しました。 この手軽さが悪用が増える原因にもなっているようです。 ■バイクに仕掛けられたタグ 警察に届けるも「捜査できない」

取材班はさらに、バイクに紛失防止タグを付けられた30代男性の体験も聞くことができました。 【被害に遭った男性(30代)】「バイクが趣味で、ツーリングに行っていたんですけれど、そのときにおそらく駐車場でフレームの裏側に貼られていたんです」 人気の車種だったという男性のバイクには、知らないうちにタグが仕掛けられていました。 発見後、警察に届け出ましたが、「所有者を特定することができないので、警察としてもこれ以上捜査ができない。指紋も出ていない」ということでした。 ■見つけるのが困難な小さなタグ 「探知機はない」と防犯グッズ専門家

では、このような機器が自分の持ち物に仕込まれた場合、どうすれば気づくことができるのでしょうか。 防犯グッズに詳しい伊藤雄一さんに聞くと、「基本的には無理でしょう。大きさが500円玉くらいなので、どこでも入りますよね」と答えました。 探知機のようなものはないかと尋ねると、「そういうのはないんですよ。バッグを整理整頓するとか、それくらいしかないでしょうね」とのことでした。 ■規制強化と自衛策

この問題に対し、法規制も強化されています。 ストーカー規制法が改正され、これまで対象だったGPSでの位置情報の取得に加え、紛失防止タグによる位置情報の無断取得や取り付ける行為も規制の対象となりました。 テレビ朝日の元アナウンサーで弁護士の西脇亨輔さんはタグをよく使うといい、「これまでGPSというのはそれ自体が位置情報を出す機械であるというところで規制されていたが、紛失防止タグは、周りにある他の人のスマートフォンなども使いながら、ネットワークで位置がわかるという仕組みが違うこともあって、今までの法律では網をすり抜けていってしまった」と説明。 さらに「新しい技術は出てくると誰かが悪用する、どうしてもいたちごっこになっていく部分がある」と指摘し、「タグの業界も含めて社会全体で考えていかなければならない」と話しています。 また、ストーカーなどの悩みを抱えている方には「まず警察に相談するとさまざまなアドバイスをくれる」とアドバイスしています。 ■スマートフォンの設定で心当たりない紛失防止タグを検知可能

バッグの中身を全て出して、見覚えのないものが入っていないかチェックするなど、面倒でも一手間かけることで被害を防げる可能性があります。 また、スマートフォンの設定で、心当たりのない紛失防止タグを検知する機能を活用することも対策の一つです。 (関西テレビ「newsランナー」2026年1月28日放送)

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